2014年、沢村凜さんの小説「黄金の王 白銀の王」と出会った。
今まで読んできた本の中で一番好きな作品、そしてこれから読む中でも間違いなく一番好きな作品だと思った。
それからほぼ年一で読み直しては感動してる。
読まずとも思い返しては感動してる。
読み直して、思い返して、良い本に出会えたなと思うたびに小さな痛みも感じていた。
ものすごく大好きな一冊だが、特別な一冊と呼べなかったからだ。
「人生を変えた一冊」とか「運命の一冊」とか、そういう風に呼びたい。
しかしそう呼ぶには、なすべきをなし、薫衣様が側にいると思えるようにならないといけない。
どうしたらそうなれるのか。
その答えは出せないまま、2021年10月、何度目かの再読。
読んでいる途中で、道が見えた。
穭様や薫衣様の困難には遠く及ばないどころか、世の中の大半の人も簡単に進んでいくような道。
だけどおれにとっては途方もなく困難な道だった。
しかし、困難を理由に義務を怠ることは許されない。
迪師の教えを胸におれはなんとか最初の一歩を踏み出し、
ついに「黄金の王 白銀の王」を「人生を変えた一冊」と呼ぶ権利を得た。
「黄金の王 白銀の王」と出会ってから7年と5ヶ月ほどが経ってからのことだった。
それからさらに半年が経つ。
そろそろまた「黄金の王 白銀の王」を読んでもいいのかもしれない。
前回読んだ時よりも薫衣様に一歩近付いたおれで。