学校が三学期の時期になると、柔道を思い出す。
中学と高校時代、三学期の体育の授業で柔道をやっていたからだ。

と書き始めてみたけど、やっぱ11月くらい、二学期だった気もする……
とにかく、今日は柔道の話。

柔道は嫌いだった。
だけどもっとやりたかった。

柔道が嫌いだったのは、本気を出せなかったから。
なぜ本気を出せなかったかというと、おれが本気を出したら怪我人が出るかもしれないからだ。
そう言うと中二病感が出てしまうが、実際のところは下手な技のかけ方で怪我をさせたら嫌だなっていう後ろ向きな思いによるもの。

技のやり方を教えてもらい、技練習をやる。
練習は止まった状態で技をかけ、相手は適当なところで技にかかってくれる。
だけど本番は動き回るなかで技をかけ、耐えようとする相手を倒さなくてはならない。
そんなムリヤリにやったら怪我をさせるんじゃないかと思うと、なかなか本気で技をかけることはできなかった。

中学時代は体格で階級が分けられていて、負けたくないなって気持ちから少しは頑張っていた気がする。
まあ、「なんとなく技かけて相手が倒れてくれたらいいな」って気持ちを頑張っていたと言っていいのか分からないけど。

高校時代はもうそんな気も持っていなかった。
自分のいた専門科は男子が六人しかいなかったため階級は分けられなかった。
自分以外の五人のうち、まず三人はひとまわり体格が大きいので勝てない。
うまいこと技かかっちゃったら体重に引っ張られておれが吹っ飛ぶ。
体格近い二人のうちの一人は柔道経験者だから勝てない。
残りの一人は部活に励む高校球児かつクレーマー気質だったので誤って怪我させたくない。
そんな環境から頑張る気はなかった。
アクション映画が好きだったから、脳内で演出を加えながら相手の攻撃を耐え、ほどよいとこで綺麗に投げられるのは嫌いじゃなかった。
だけどいまだに、本気でやったらどうなってたかなと思い返してはモヤモヤしてる。

こんな思い出話をしたら、あなたはなんて言うだろうか……。

???「そんなモヤモヤ、背負い投げ~!」

柔道の授業に真面目に取り組む生徒をカツ丼とすると、勝つ気がなかった僕は、

ドンだけ~!