読書感想文は苦手だった。
何を書けばいいのか分からない。
それなりに感想が思い浮かぶ時もあるけど、面白かった面白くなかった以外に感想が思い浮かばない時もある。むしろそっちのほうが多い。
面白かったのでブログに感想書きたいと思っても、書くことが思いつかずにボツってこともしばしば。
以前まではそういう時は自分の実力不足を悔いるだけで終わってたけど、これからはちょっとずつでも感想を書いていこうと思った。

そのための一歩として、久々に映画「インファナル・アフェア」を見た。
好きな映画ベスト10を挙げるなら確実に入れる作品。
この大好きな作品なら感想書けるだろう。
そう思って映画見ながら、頭の中で感想をこねくり回してみたけど……ダメだ。
劇場公開からもう十数年が経っていて、その間に他人の感想を見すぎた。
思い付いた感想はちゃんと自分でも思ってることだけど、なんか自分の言葉じゃない気がする。

とりあえずインファナル・アフェアや同じ現象を起こしそうなものの感想は後回しにして、それ以外の感想文で数をこなしていこう。

ということで、ここ2、3日読んでいた行成薫さんの新作の話。
この新作ではあるキャンペーンがおこなわれていた。
期間限定で無料で読めるようにして、読んだ人からタイトルを募集するというものだ。
別におれは名付け親になるつもりはなかったけど、無料で読めるなら読んどこうという気持ちでダウンロードした。
読んだらブログに感想文書くぞーと思いながら読んでいくうちに「でもこういうキャンペーンがあって読み始めたなら、応募はせずともブログでタイトル案あげるべきだよな」と勝手に変なプレッシャーを感じ始めた。

この新作は、廃園が決まった遊園地の最後の一日を舞台にした全五篇くらいのオムニバス。
その三篇目まで読んだところで、時が来た。

読み始めるのが遅かった。

無料開放期間が終わってしまったのだ。
もう、読めない。
閉園時間が来る前に強制退園。

おれがこの本との思い出につけるタイトルは、

「遅すぎたスタート」