米澤穂信さんの「ボトルネック」を読んだ。
ユーモアある文章に、小さな謎が積み重なっていく過程と、米澤さんらしさを感じられて満足。
いや、まあ米澤さんを語れるほど知らんのだけど。

まずはボトルネックあらすじ。

「兄が死んだと聞いたとき、ぼくは恋した人を弔っていた。」

主人公リョウが兄の死を告げる電話を受けたのは、想い人が転落事故で亡くなった崖を訪れていた時だった。
そこでリョウは急なめまいを覚え、崖から落ちてしまう。

リョウが目を覚ますとそこは崖から遠く離れた地元の公園だった。
どうしてここにいるのかと不思議に思いながら自宅へ戻ったリョウを出迎えたのは、見知らぬ女子だった。
女子が「この家の娘だ」と言うので、リョウは「この家の息子だ」と言い返す。
彼女と話をしていくにつれてリョウは、生まれてこなかった姉の存在を思い出す。
両親は子どもを二人欲していて、姉が流れてしまったことで自分が生まれてきた。
やがてリョウは、姉が生まれて自分が生まれなかった世界に来てしまったことを悟る。

リョウは元の世界へ戻る方法を探すうちに、自分がいた世界と姉がいる世界の微妙な違いを見つけていく。

ここまであらすじ。

「ボトルネック」読むことになったのは、米澤穂信さんの本読みたいなーと思い、自分のひねくれ体質から普通に面白そうな本を避けた結果(失礼)。
裏表紙からもどんな話になるのか想像できなかったので読んでてワクワクした。

ここで少しネタバレになるけど、




リョウは自分のいない世界で想い人と再会を果たす。
自分がいなければ彼女は死ななかったのかと絶望するが、やがて彼女の死に隠された真相を知ることになる。


自分がいない世界で、自分がいた世界の謎を解くって展開になった時は感動した。
まあそうなるんだろうなとは思ってたけど、本当にそうなると感動する。

ただ結末がなかなか後味悪い。
一応どちらとも取れるようにはなっているけど……いや、これはもうBADエンドだ。

ともかく「ボトルネック」面白かった。
大掛かりなトリックとかがあるわけではないのでミステリーとしてはまあまあだけども、自分がいた世界/いない世界のパラレルワールドで謎解きって設定がすごい。

Kindleで持ってる小市民シリーズをまた読み返したくなったし、米澤さんの普通に面白そうな本も読みたくなった。