昨年2023年の11月23日に亡くなってしまった、福山市立動物園にいたカラカルのカール氏。命日が勤労感謝の日なのは、放飼場を絶えずパトロールしていたカール氏らしいな、と少々思います。天国でゆっくり休み、また充実した活動をしてくれていたらいいな。

(2023年3月。落ち葉ベッドでお昼寝するカール氏)

 

個人的には忘れられないカラカルさん。その筋肉質で濃褐色の背中で「生きるとは」「愛とは」を教えてくれました。今回はカール氏の生前の動画や画像で思い出に浸る回にします。過去のブログでボツにした画像も引っ張り出してきました。

 

 公式X最後の登場で貴重な鼻息が収録される!?

 

 

園の公式X(旧Twitter)より。ヘッドホン推奨。いったん画面右側に消えて、また引き返してきて柵ごしに「フンフン」とにおいを嗅ぐ、カール氏の鼻息が聞こえます。いたって元気そうに見えますが、亡くなる10日前の投稿ですね。

 

 放飼場をゆったり歩くいつものカール氏

 

カール氏の没後、たまたまYouTubeで見つけた動画。「そうそう、カール氏ってこんな感じだったよね」と感じさせる、ゆったりパトロールモードの姿です。丸太にマーキングしてあちらへ行き、こちらへ戻ってくるあの感じ。22秒ぐらいのところの、来園者に視線を送ってくれるけれど立ち去ってしまうところなんかも、カール氏らしい部分です。

 

 丸太を愛してやまなかったカール氏

 

 

公式Xから。カール氏はよく、放飼場に横置きになっている丸太を抱きしめてスリスリしていました。愛用のぬいぐるみか何かを可愛がっているみたいにも見えましたね。メスのカーラさんと違って客にはあまり視線をくれないので、「ああっ、あの丸太になりたいっっっ!!!」と思ったものです。

 

 

と思っていたら、飼育員さんも同じことを考えていたようです。

 

 草を食べるカール氏

 

 

ネコ科動物は肉食ですが、毛づくろいで飲み込んだ毛を吐き出すために草も時々与えられます。こちらはカール氏が草を食べているところ。全身が映っています。がっしりした体格をしていますね。

 

 

さらに近いアングルで見た、草を食すカール氏。この後頭部がまた可愛らしくていいんだよなぁ。個人的に、この広めのおでこが好きでした。ブルーとグリーンの中間の美しい瞳をしています。

 

 

ここからは、私が初めてカール氏に会った2021年4月の投稿に出てこなかった写真で、思い出を振り返ります。

 

 丸太を愛でるカール氏

 

例の横置き丸太で爪とぎをするカール氏です。やはりお気に入りの丸太なのか、顔が幸せそうですね。2021年当時の落ち葉ベッドは、手作り木箱ではなくオレンジ色のトロ箱でした。

 

そして丸太にスリスリするカール氏。後ろ脚がたくましいなぁ。

 

 擬岩の上の王者

 

パトロール中のカール氏。映り込みが激しいのでボツになっていましたが、こうして擬岩の上でにおいを確かめてはマーキングしていたな、と。カール氏らしさを思い出す一枚です。

 

擬岩の上から視線をこちらに向けてくれました。王者の風格が漂っていますね。

 

 水を飲んでは尿でマーキング

 

カール氏は水を飲む姿もよく見られました。よくマーキングで尿スプレーするから水が足りなくなるのだろうか、と思っていたものです。写真右上の丸太の真ん中あたりによくスプレーしていましたね。

 

これは何の写真?と思われるかもしれませんが、ガラス面にかかったカール氏のスプレー跡です。記念に撮っていました。カール氏はトロ箱の向こうを歩いています。

 

 丸太の裏でくつろぎモード

 

鼻をペロッとするひとコマ。カール氏のおでこが広くてつり目なところが、娘のクルンちゃんにも受け継がれているな、と思います。当時のカラカル舎の配置では、こうしてお気に入り丸太の裏で過ごすシーンも見られました。

 

体を起こしたカール氏。凛々しいまなざしです。バーで出会うカウンター越しのイケメンにも見えます。

 

だんだんくつろぎモードになっていきます。耳の房毛が風になびいていますね。

 

そしておやすみモードになったカール氏。脱力すると顔がおにぎり型になりますね。

 

 おまけ:掲示物とカール氏

 

念願だった福山市立動物園のカラカル舎に来れた!ということで、掲示物の写真も撮っていました。カール氏ご出勤中。ガラス越し、右側にパトロール中のカール氏がひっそり写っています。

 

この貼り紙が個人的には好きです。カーラさんとクルンちゃん。フラッシュを跳ね返しているイメージなのか、カーラさんの目から光が出ています。遠足の子供が「何これ、怖~い!」と言っていたほどのインパクトですが、注意喚起の貼り紙がうるさくならない、ユーモアのある工夫がいいですね。

 

 落ち葉ベッドで片側に寄るカール氏

 

2023年3月の投稿で載せきれなかったカール氏の姿もどうぞ。

 

広々とした木箱の落ち葉ベッド。なぜか左側半分にコンパクトにおさまっています。

 

ふんわり丸くなっています。

 

起きて毛づくろいをするカール氏です。

 

 おわりに:最後に撮ったカール氏

 

2023年10月某日(偶数日)。この日がカール氏に会った最後の日となってしまいました。

 

基本的にパトロールで動き回っていることが多かったカール氏。活動中の写真はうまく撮れません。そんな午後、擬岩の上でゆったりし始めたので、すかさずスマホを構えました。「こういうのが撮りたいんだろ?ほら座っておいてあげるから」とカール氏が言ったかどうかはわかりませんが、撮ったというか、撮らせてもらった一枚、といった感じです。

 

そういえばカール氏が擬岩に座る際、お尻を浮かすようにしてから足をこちらに方向転換させ、以前よりひと手間かけて用心深く座っている様子でした。この頃にはすでに死因となった腫瘍があり、本人(猫)にも違和感があったのだろうか。専門家ではないのでわかりませんが、「あれっ、カール氏も老いたのかな」と思ったのは事実です。

 

カール氏はカーラさんのように愛想よく振る舞ってくれるわけではありませんでしたが、時折心が通じたと思われる場面もある、不思議な存在感のあるカラカルさんでした。

 

コロナ禍のどさくさで落ち込んでいる時に出会い、黙々とパトロールする姿に「生きる力強さ」を教えてもらいました。生きている間に会えたのは短い時間でしたが、人生観が変わる、充実した瞬間でした。

 

もし私が出会ったのがあのカール氏ではなく、別のカラカルが「カール」と名づけられて出会っていたのだったらどうだったのだろう?とややこしいことを考えると、地球上のすべてのカラカルが幸せであってほしいと願わずにはいられません。それは私のエゴでカラカルびいきにすぎないのかもしれませんが。どうあれ、今後も日本の動物園のカラカル、そして世界のカラカルを見守っていきたいです。