前回の続き、福山市立動物園2日目です。

 

奇数日はメスの展示。カラカルは、青っぽい瞳が特徴的な美猫のカーラさんが担当です。カーラさんも、朝9時半近くに行くとすでに出勤していました。

 

ガラスのすぐ前まで近づいてくれます。子供連れやグループだと、一緒に記念写真が撮れるほど。おもてなしをしているのかどうかはわかりませんが、結果的におもてなしをしているように見えるカラカルさんです。

 

カーラさんも朝は熱心にパトロール。ゆったり歩き回っているかと思いきや、何かでスイッチが入ったのか走り出すワンシーンもありました。そしてパトロールが終わると、落ち葉の敷かれた木箱で、香箱を組んでお昼寝タイムです。

 

お昼が近づいたころ、カラカル舎前に担当飼育員さんがやってきました。これから餌やりタイムなのだそうです。

 

「カーラちゃん、懐きますか?」と聞いてみると、「懐く、という感覚は私たちにはないですね」とのこと。カーラさんはバックヤードではよく飼育員に威嚇するらしいです。

 

放飼場内に餌を仕掛けるため、カーラさんはいったん退場。ドアが開いて中に入る様子を見ていると、確かに飼育員さんの方に向かって「シャーッ!」とやっています。

 

入れ違いに人間用のドアから担当さんが出てきて、鶏頭をあちこちに配置。「最近は上がらなくなってしまったんですが、一応置いてみます」と、高いところの擬岩にも鶏頭が置かれます。

 

そうか。カーラさんは今年の4月で14歳。まだおばあちゃんではないけれど、徐々に高齢の域にさしかかっています。去年は人間用ドアの上で寝そべる「天空のカーラさん」が見られたけれど……。

 

さて、戦闘開始。担当さんが退場してカラカル用のドアが開くと、カーラさんは一目散に、目につくところの鶏頭にかぶりつきます。スピーディーに咀嚼して、次の餌へ。

 

あっという間に回りきります。が、高いところに置かれた鶏頭は、30分経っても手付かずのまま。私が他の動物を見に行っている間に担当さんが置き直し、完食していました。その際の説明によると、カーラさんの脚の検査では特に異常は見つからなかったとのことです。

 

2回目の餌やりタイムも終わり、カーラさんは再び木箱でお昼寝。木箱が絶妙な位置に置かれているので、「カラカルが寝てしまって退屈」といったことはありません。動きはなくても、耳の房毛が風でそよそよしています。

木箱のフチにあごをすりすりするカーラさん。気持ちよさそうです。

 

大好きなカラカルと過ごす一日はあっという間で、カーラさんのご退勤の時刻が近づいてきました。お昼に餌をもらっていたからか、帰宅を焦る様子はありません。とはいえ多少はそわそわしていて、「いよいよだな」というのがこちらにも伝わります。

 

先ほどの担当飼育員さんが上がってきてバックヤードに。もうすぐご帰宅だな、と寂しく思っていると、カーラさんが一瞬だけ「じゃあね」とばかりにこちらへ宝石のような青い瞳を向けました。

 

カーラさんにはやはり、おもてなしの精神があるのではないか?

カーラさんのいろいろな一面に、心を掴まれっぱなしの一日でした。