壊れやすいものを

 

手にした途端

 

不安でたまらなくなった

 

 

いつか

 

失くしてしまいそうで

 

怖かった

 

 

壊れやすいものを

 

壊さないように

 

そっと そっと 抱きしめて

 

生きていこう

 

 

そう誓ったのに

 

いつしか それが

 

邪魔になった

 

 

壊れやすいものを

 

手に持っているかぎり

 

 

他の何かは

 

つかめない

 

 

そう思ってしまうと

 

もう 自分の衝動を抑えることが

 

できなかった

 

 

私は 壊れやすいものを

 

両手に振り上げ

 

叩き壊した

 

 

バラバラになった その姿

 

 

愛なんて こんなに簡単に壊れるものだと

 

見せつけてやりたかった

 

 

誰に?

 

愛がすべて、と語る奴らに

 

いいえ 私自身に

 

 

壊れた欠片を 拾い集めて

 

途方に暮れる

 

 

それは 壊れてもなお

 

キラキラと美しくて

 

私を魅了する

 

 

それでも もう

 

元の形に戻ることはない

 

 

私は また いちから

 

壊れやすいものを作るだろう

 

 

手にした途端

 

崩れ落ちてしまうものを

 

 

必死で 作り続けるだろう

 

 

壊れやすいもの

 

それが 愛の形になるまで