昼下がりの午後、散歩に出ようとしている父を見て、

 

母が一言。

 

「くるみも一緒に行ってきたら?」

 

 

父の体調は安定してきて、外を一人で散歩することも増えた。

 

でも、母は、やっぱり心配らしい。

 

 

ラジオの時間だった私だが、

 

たまには、いいか、と思い、腰を上げた。

 

 

いつもは無口な父と、並んで歩いた。

 

歩きながら、二人で、たわいもないことを話した。

 

 

父は、私と同じスピードで、歩けるようになり、

 

苦しそうでもなかった。

 

 

なんでもない時間だったが、

 

なんだか、すごく、いい時間だった。