一日一品江戸料理-157:「揚出し大根」(『大根一色料理秘密箱』より)
揚出し豆腐や茄子は知っていても、大根というのは、ちょっと聞き覚えがない
のではないでしょうか。
天明2年(1782年)に刊行された『豆腐百珍』がベストセラーになっって以降、
“百珍物”と呼ばれる、一種類の素材で百通りの調理法を紹介する料理本が
ブームになりました。
この、「揚出し大根」が掲載されている『大根一色料理秘密箱』も、そんな
百珍ブームに発売された一冊です。
素揚げした大根の甘さと温かさ、上に乗せた大根おろしの辛さと冷たさ。
適度に残る歯ごたえ。
これらの持ち味が渾然一体となったこの料理。
薬味に黒胡椒を使う点も洒落ています。
なぜこの料理が、現代まで残らなかったのだろう?と疑問がわくほど、
秀逸な一皿だと思います。
「揚出し大根」
■材料
・大根…1/8本
・胡麻油…適量
・醤油…大さじ1
・黒胡椒…適量
・大根おろし…適量
■作り方
1)大根の皮を剥いてかまぼこ型に切り、ごま油でじっくりと、
全体に焦げいるがつくまで素揚げする。
2)器に盛り、醤油をかけて大根おろしと黒胡椒を乗せる。
◎この料理は、下記の本でも紹介させていただきました。
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