マッチで火をつけて置きなから自分で消し止めている奴が首相だ。

『マッチポンプ』--自分がこれを聴いたのは、たしか20才の頃だったと思う。何だいそれは? とたずねたら怪訝な顏で『知らないのか、マッチで火をつけて置きなから自分で消し止めている奴のことだよ』 と説明されたのである。

 

何につけても馬鹿正直だった自分にはちょっと衝撃的なことだった。ついでに、馬鹿正直と言うのは、他人が迷惑するようなことを事実だからと言ってしまう馬鹿のことだと、母に教わったこともある。

 

●安保法制を数の力で制定した時から予定されていた参戦。

この言葉が正確に現したしたものではないが、最近の安倍首相のやり方は、この『マッチポンプ』のようなものだと思う。新年そうそうから軍備増強を主張して敵地攻撃の能力を持たなければ国民を守れないと言い出している。

 

これは、戦争大好き国家のアメリカと共同して、いわゆる北側(共産圏)と戦争しようとしているという意味である。そうなることは、違憲だと大反対してきた『集団的自衛権の行使』を日本は行使できると閣議決定して、それを行使するために必要な安保法制を数の力で制定した時から予定されていたのである。

 

●安倍首相の軍備増強は世論の風に吹かれて推し進められている。

そして、戦争するのに必要になる公文書の秘密を守る『特定秘密保護法』と、反対運動を摘発する共謀罪『組織的犯罪処罰法=テロ等準備罪』を、これまた大反対を押し切って成立させている。安倍首相の戦争準備は着々と進んでいるのである。

 

都合のよいことに、というべきか安倍首相の幸運として、北朝鮮の核兵器開発、ミサイル開発が次々に明らかになって、安倍首相の軍備増強は世論の風に吹かれて推し進められている。しかし、国民が明確に認識しておかなければならないのは、北朝鮮の核兵器やミサイルはアメリカ対策であり、日本には向けられていないことである。

 

北朝鮮と韓国は国境を確定する平和条約を結べず休戦中。

自由主義国の韓国とアメリカは、独裁共産主義国の北朝鮮と戦争しているのである。これは、日本が敗戦してまもなく、アメリカが朝鮮半島の共産化を恐れて武力介入することで始まり、ソ連(現ロシア)、中国が参戦することになった。

 

戦線は押しつ押されつして、ついに、半島を半分に切る北緯38度線付近を国境として戦争停止することを合意したのである。停戦したものの北朝鮮と韓国は国境を確定する平和条約を結べず、休戦中となったままで今日に至っているわけである。

 

●ロシアと中国がアメリカと友好的な関係になったのも北朝鮮の核兵器開発の原因。

従って、両国は今なお休戦しているだけで臨戦体制となっているのだ。そして、韓国にはアメりカが大規模に駐留軍をおいて北朝鮮と対峙している。北朝鮮は、このような韓国と話し合っても埒があかないとして、直接、アメリカと話し合いたいと要求してきたが、アメリカは相手にしてこなかった。

 

それで、話し合いに応じないアメリカが核武装と弾道ミサイルで北朝鮮を狙っているのならわれわれも同様の武装をする必要がある、ということになったのである。この間に、ロシアも中国もアメリカと友好的な関係を結ぶようになった。これも、両国の武力を頼りにできなくなって核兵器開発に走るようになった原因になっている。

 

●集団的自衛権を行使できることにした時から予定していたシナリオ。

もし、日本政府が集団自衛権を行使できないままだったら、現在のアメリカの攻撃的な北朝鮮政策に対して『われわれは無関係だ。話し合いで解決すべきだ』と言えたのである。だが、『アメリカの戦争は即日本の戦争』となる集団的自衛権を行使するとしてしまったので、北朝鮮も日本を火の海にする、と言い出したのである。

 

つまり、安倍首相が敵地攻撃ができる巡行ミサイルをアメリカから買う、と言い出したのは、集団的自衛権を行使できることにした時から、すでに予定していたシナリオなのである。このように、安倍首相は、国民に悟られないようにして日本を軍国主義国家に変身させようとしているのである。

 

●日本にどこの国がどのように攻めてくるのか、具体的な危機はない。

しかし、日本はこの20年の間に国力を大幅に低下させている。教育行政も社会保障も次第に劣悪になっており、必要のない国防に5兆円以上も使う必要はないのである。日本にどこの国がどのように攻めてくるのか、具体的な危機など何一つないのである。

 

それなのに、『Jアラート』とかの警戒警報を発令することにして避難訓練までやり始めたのである。いくらなんでもやりすぎだ。こんなことをやっていると、日本は何かの拍子に戦争に巻きこまれてしまうかもしれない。そのための憲法改定だとしたら、ばかばかしいことである。実に恐ろしきは発火した火を消せない『マッチボンプ』と言うべきか。