大阪府の松井知事は『大阪は増税などしないで教育無償化を実施している』と語る。

今度の総選挙は、突然の解散といい争点がよく分からないことといい、どうもおかしな選挙だと思う。しかも、直接に日本の問題ではないのに、安倍自民党総裁は『北朝鮮の脅威から日本を守る』と言い出して、まるで戦争前夜のような選挙になってしまった。

 

当初、『消費増税で得る増収の一部を教育無償化に充てる』 そのことを国民の了解を得るために解散したと語っていたが、それも国防問題によって打ち消されてしまった。もっとも、大阪府の松井知事に『大阪は増税などしないで、すでに教育無償化を実施している』と、言われてしまって、そんなことを総選挙の争点にできないことになってしまったから仕方ないだろう。

 

●増税か増税中止か、という問題で、増税分を教育費に使うというのは奇妙な言い分。

2%の消費増税は、2年後の19年4月からとなっているが、これ自体が景気を悪化させることになるとして野党は反対している。だから、争点としては増税か増税中止(再々延期)か、という問題なのである。増税分を教育費に使うというのは奇妙な言い分である。

 

そして、反対する野党は増税すする前に行政改革で経費を節減すべきだと主張している。それは、増税前にやらなければ財政再建ができないことだと、されている。増税しても政府、官公庁の経費を削らなければ、経費増加で増収分を使い込んでしまうのが、世界の通例になってきたからである。

 

●消費税を増やして財政を健全化したいと財務省は考えているのは亡国の財政政策。

だが、政府の財政は税収が約50兆円に対して予算が約70兆円で、年額20兆円も不足(赤字)になっているのである。赤字国債を発行して不足を補っているが、そのため、財政赤字が年々増えて、とうとう1000兆円以上になっているわけである。

 

この赤字体質をなんとか消費税を増やして補い、財政を健全化したいと財務省は考えているのだが、これは、亡国の財政政策である。消費税は1%で約2.5兆円となるとされているが、仮に不足している20兆円を消費増税でう埋め合わせようとすれば、あと8%増税して消費税を16%としなければならないことになる。

 

●消費増税で貧乏人がもっと増えて労働人口の半数、つまり3500万人へと増加する

しかし、そんなことをすれば、日本の消費は激減してしまい、日本経済が破綻することになるだろう。そして、経済(GDP)が収縮するのだから税収を70兆円にするには、消費税20%以上にしなければならなくなるはづだ。

 

その間に、格差はますます拡大して富裕層の現金的資産は現在の1700兆円から2000兆円と膨張するのではないか。日本の低所得層(貧乏人)がもっと増えて、労働人口の半数、つまり3500万人へと増加してしまうと予想されるのである。

 

●増税しなければならないのならいやになるほと貯め込んでいる所から徴税すべきだ。

年収300万円以下を低所得層としているが、これは税込みであり、実収入は場合によるが200万円~250万円になってしまう。この様な低所得者からも税金や年金、保険料等を徴収しているのである。

 

消費税は、生活費全般にかけられるので、これを増税すればぎりぎりの生活がさらに追い詰められることになる。日本の消費が減少して経済が停滞するのも当然なのである。もし、どうしても増税しなければならないのならば、個人の資産総額1700兆円、企業の内部留保400兆円と貯め込んでいる所から徴税すべきである。

 

●日本は思い切った税制改革を断行し滞留資金の活用を図る必要がある。

このような余分な滞貨は、いわゆる『死に金』である。使われなければその滞貨は経済的には何も役割を果たさない。ただ、所有者個人の私(死)財として滞留しているだけのことである。それを政府が課税して予算に組み込み、有効に使うことで経済は活性化するのだから、日本は思い切った税制改革を断行し滞留資金の活用を図る必要がある。

 

日本は過去に所得税を最高税率6000万円に75%としていた時代が21年(1962~1983年)間あった。もっとも経済成長が高かった時代である。経済格差が少なく、人々は活気に満ちて働いていた。

 

お金というものは必要な分だけ貯めておけるもので余剰になったら政府に返上。

現在のようにわずか4000万円超えに45%の最高税率では、税収不足になるのは当然である。その不足分を生活に困窮している人々から消費税として徴収するというのは、考え方が 間違っている。経済社会は能力と運に恵まれれば幾ら高収入を得てもいいと思う。

 

だが、政府が国家を運営していくのに必要な費用は、その国の制度や風土の中で能力と運に恵まれて高収入を得た人々が率先して負担すべきなのである。元来、お金というものは必要な分だけ個人のものとして貯めておけるもので、余剰になったら政府に返上することになっているのである。

 

●格差を是正できるのは富の再分配機能を持つ政府の税制だけだ。

それを政府がやらないと、資金の持つ集金力が作用してお金持ちがさらに大きな資金を持つようになってしまう。それは、個人の能力とは関係ない集金力となって格差拡大を社会にもたらすことになる。

 

この格差を是正できるのは、富の再分配機能を持つ政府の税制だけだということを我々は忘れてはならない。そして、これを断行しなければ格差是正はならず、少子化も防止できないのである。このような重要な政策課題がなぜ総選挙で議論にならないのか、不思議である。