戦闘機を満載した空母がエトロフ島から出航してオアフ島の真珠湾に集結していたアメリカ海軍の艦隊を奇襲。

今から75年前の11月26日に、現在はロシアが領有している択捉( えとろふ)島の中央部にある単冠(ひとかっぷ)湾から日本の航空母艦4隻が出航した。目指すは、ハワイ・オアフ島の真珠湾である。

 

このくらいの事は、プーーチン大統領も承知だろう。戦闘機を満載した空母は荒波の北太平洋を南下して、12月8日の早朝にオアフ島の真珠湾に集結していたアメリカ海軍の艦隊を奇襲したのだった。これを戦線布告なしの騙し撃ちのように語られるが、そんなことはない。

 

長門は元寇に際して元の使者杜世忠がやってきた港。

アメリカは日本の封じ込め作戦によって、日本軍は必ず攻撃してくる、と考えていたのであって、それが、12月の8日でハワイだという予想をしていなかっただけだったのである。日本は必ず東南アジアに攻めてくると予想していたのであり、事実、ほとんど同時に日本陸軍がイギリスの植民地のマレー半島のゴタバルを奇襲し上陸する作戦を展開していたのである。

 

また、プーチンがやってきた長門は鎌倉時代の元寇に際して元の使者杜世忠がやってきた港でもある。この時、すでに戦争(文永の役)に突入した後であり、幕府の時宗は使者一行を斬首としている。その地にロシアからプーチンがやってきて北方領土問題を安倍首相と話し合ったわけだ。

 

『日本との領土問題は存在しない』と主張するロシア

もっとも、ロシア側は『日本との領土問題は存在しない』と主張しているのだが。そして、この日露首脳会談の後、安倍首相はハワイに行き12月27日に真珠湾アリゾナ記念館を慰霊訪問してオバマ大統領と会談することになっている。

 

特別に奇縁を感じるわけではないが、この一連の外交日程に歴史というものの巡り合わせの妙を思うのである。プーチンは2時間以上も遅れて到着したが、その理由はシリア問題に対応しなければならなかったからだ、とされている。

 

日本はクルミア、シリア問題をどうするつもりか。

ロシアは、シリアの反体制軍に対する空爆でヨーロッパ諸国から批難されており、ウクライナ問題に続いて経済制裁を受けそうな情勢である。その問題を日本の安倍首相に否応なく示すのが遅刻の狙いだったのではないか。

 

領土返還とか平和条約とか言っているが、日本はこの問題をどうするつもりか、『まさか、ウクライナの時のようにヨーロッパとアメリカに同調するのではないだろうな』と、プーチンは2者会談で安倍首相に詰め寄ったのだと思う。

 

●実質的な元住民の権利回復を実現すべきだ。

ロシアと日本の親善は、ヨーロッパやアメリカと一線を画して外交的に独立をしないと、上手くできないのである。安保体制を機軸にしたアメリカべったりの外交ではロシアと平和条約を結べないし、従って北方領土問題の解決はできないことになる。

 

返還は無理であっても、元住民が里帰りする自由とそこで経済(漁業)活動ができるような実質的な元住民の権利回復を実現して欲しいものだ。住民にとって重要なのは国境線ではなく安全に生活ができる土地なのである。