中国がアメリカ艦船を攻撃したら直ちに自衛隊を出動させる?

どんな事があっても、戦争だけは避けなければならない。もし、戦争になってしまえば、勝っても負けても、日本はミサイル攻撃に晒されて、多くの人が犠牲になってしまうだろう。


安倍首相は、中国軍がアメリカの艦船を攻撃してきたら、直ちに自衛隊を出動させてアメリカ海軍を支援すると考えている。そのために、日本は集団自衛権を行使できるような法整備をしておかなければならないと、言うのである。


●日本がやらなければならないことは『仲裁』することだ。


だが、冷静に考えてみれば、そんなことを瞬間湯沸器のようにやってしまったら、第三次世界大戦の勃発!ということになる。日本がそんな時にやらなければならないことは、双方の中に割って入って『仲裁』することである。


なぜ、中国がアメリカ艦船を攻撃したのか、その理由を確認することから始めなければならない。『戦争と、--武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する(憲法9条の1)』と、日本は憲法に定めている。

●日本は戦争を止めさせる仲介役をやらなければならない。


従って、日本としては、戦争の一方の味方をするのではなく、戦争を止めさせる仲介役をやらなければならないのである。安倍首相は、どこかで戦争になったらどちらかの支援をして、自国の安全を守るとしているが、そんなことをすれば戦争は拡大するばかりである。


敗戦後、アメリカの資本主義陣営に属して、アメリカの属国のような外交をしてきた日本が、今更、独自外交とか平和外交をやろうとするのは、困難なことだと思う。


●戦争になれば日本はアメリカに加勢するということではダメ。


しかし、敗戦後70年経って世界屈指の経済力を得ることができた日本が、地球という人類の世界で悪魔的な戦争をなくそうとするなら、戦争になったら日本もアメリカに加勢するという考え方は改めなければならない。


同盟国が攻撃されて日本も危なくなると判断すれば、同盟国を軍事的に支援する、というのは、まるでヤクザの縄張り争いのような考え方である。そんなことをして、その次はどうなるのだろうか。


●中国や北朝鮮とは必ず戦争になると決めてかかっている。


両国とも次々と仲間を糾合して戦うことになり、『第三次世界大戦』へと戦禍を瞬く間に拡大させてしまうに違いない。つまり、安倍首相の集団的自衛権の行使には、その次の展望が見えていないのである。


まるで、中国や北朝鮮とは必ず戦争になると決めてかかっているような取り組み方である。いざ、となった場合の自衛のための武装は日本でも必要だろう。相手国の指導者が乱心してしまう場合もあるのだから。


●中国が戦争しないのは日本に『抑止力』があるからではない。


だが、それは家の玄関に並べて見せびらかす軍備ではなく、押し入れの中に隠しておくものである。そして、争いのネタを探し廻るのではなく友好親善を進める外交努力を積み重ねなければならない。

安倍首相は、相手が嫌がることをあえてやり、相手が怒ったら止めてしまう、といった優柔不断な外交姿勢である。これでは、平和を語る資格がないと思う。中国が日本やアメリカと戦争をしないのは、こちらが『抑止力(強い戦力)』を持っているからではないのである。


●アジアの平和のために日本は外交力が必要なのである。


戦争などに利益があると思っていないからだ。戦争をする必要が中国には全くないのである。中国は14億人以上の国民の生活を豊にするための経済発展に力を注いでいる。

東シナ海での中国の進出も戦争してまで遂行しようとしているわけではない。尖閣諸島を日本に独占されてしまったので、ここを占有しようと考えているのだろう。こんな場面でこそ、日本は中国と話し合う外交力が必要なのである。


●アメリカが中国から莫大な借金をしていることを忘れるな。


もし、アメリカと中国が戦争になってしまい、日本がアメリカ軍を支援することになれば、中国の第一目標は隣国の日本になってしまうだろう。そうなれば、アメリカが日本を支援する形になってしまうという奇妙な戦争になる。


そして、アメリカはいつの間にか日本を『後方支援』するだけで中国と仲直りする、といったことになりかねないのではないか。アメリカが中国から莫大な借金をしていることを考えると、そうなってしまう危険が大きいのである。


●日本が敗戦後70年を迎えて、やらなければならないことは、アメリカからの独立である。それをやり遂げることが、アジアの平和に必要であるし、日本が平和外交を積極的に世界に押し進めるための必須条件なのである。