同盟国が攻撃されたらどうするのかは緊急の課題ではない。

政治家が自分のやらなければならないことを後回しにして、どうでも良いことを無理矢理やろうとしているのは、なぜなのだろうか。そのような課題に気がつかないのか、出来そうもない重大問題を避けようとしているのか。


現在、国会でというか、国民を巻きこんで大騒ぎになっている集団自衛権の行使などは、その典型的な例である。他国から同盟国が攻撃された場合に、日本はどうするのか、という問題は、日本にとって緊急の課題ではない。


●早急に対策しなければならない問題は『少子化』である。


この問題の仮想敵国は、中国なのだがどう考えても中国が同盟国のアメリカを武力攻撃することは、現実的な問題とは言えない。そうした場面がいつか発生するかもしれないが、現在はありえないことである。


そんなことより、現実に発生していて早急に対策しなければならない問題が日本にはあるではないか。それは、『少子化』という重大な社会現象であり、解決することが難しい政治課題である。


●日本の人口は約1億2,730万人だが70年後には半減する。


現在の日本の人口は約1億2,730万人だが、45年後の2060年には8,674万人に減ってしまうと予測るされている。70年後には約半減してしまうというのである。


この問題は、すでに1975年に出生率が2.0%となって日本の少子化が明らかになり、『少子化問題』が注目されるようになった。この出生率は、1人の女性が15才~49才の間に産む子どもの数を計算するもので合計特殊出生率と呼ばれている。


●ヨーロッパ諸国は対策を実施して人口減少をくい止めた。


その出生率が1989年に1.57%Jとなり、現在は、1.4に落ち込んでいるのである。子どもは男女2人でつくるのだから、これでは人口はどんどん減っていくわけだ。


この問題に早くから国家の重大事として取り組んでいるヨーロッパ諸国は、ある程度の成果を上げて人口減少に歯止めをかけている。特に、二人め以上の出産育児に税金控除と助成金を支給するとか、婚外子に対する補助制度など全面的な少子化対策に力を入れているフランスの政策が注目されている。


●少子化の原因は貧困と未婚であり政治の失敗による。


『子どもを産めば産むほど経済的に楽になる』という政策は、人口が経済発展の重要な要素であるとすれば、もっともな対策である。このような対策は、日本でも出来ることなので、いろいろと議論する前に実行しなければならない。


それと同時に、なぜ、少子化になってしまったのか、という社会現象について政治家は深く考えてほしいと思う。少子化は、貧困化であり、未婚化であり、出産と育児、教育に対する政治の無理解が原因になっていることに政治家は思いを致さなければならないのである。


●こんな重大で深刻な問題が目の前に横たわっているのに、同盟国が攻撃されたらどうする、などど間の抜けたことを言い出して、埒の明かない議論をやっている日本の首相にこそ、『そんなことを言っていないで早く子どもをつくれ』、と申し上げたいと思う。