立派な国立競技場を自画自賛したのは安倍首相だった。

今度の国立競技場建設計画の見直しでは、いかにも、安倍首相がより安上がりの国立競技場を造る努力をしているかのように見える話しになった。


しかし、『今までに見たこともない美しく立派な競技場を建てて皆様を迎えたい』と、世界に向かって自画自賛して語ったのは、他ならない安倍首相だったのである。


●年間3万人以上が自殺して年々人口が減少している国。

何時、どうして、安倍首相の考え方が変ったのか分からない。だが、『結果オーライ』として国民はこの変節を評価すへきだろう。それはそうなのだが、日本の政治の現状を考えるとそれでいいとは決して納得できないものがある。


非常に多額の国家予算を投じ、その後の維持費も年額十億以上の負担を国がしなければならないというのは、いかにも無駄だと思うのである。なぜなら、日本が年間3万人以上の人々が自殺して、産まれる子どもが少なく、年々人口が減少している国であるからだ。


●経済大国の貧しい社会保障をどうにかしなければならない。


普段は特別の問題意識がない人ならば、日本は世界有数の豊かな国だと思っているのではないか。しかし、それは、国家の経済力(GDP)だけをみて『世界第3位の経済大国』だと認識しているからだろう。



ところが、豊かな生活を保障している社会保障給費がGDP(国民総生産)に占める比率はスエーデン=38.5%、ドイツ=25.3%、イギリス=21.1%に比べると、日本はわずか11.9%にすぎないのである。


●社会保障ランキングではなんと中国、韓国の次の17位


日本は、社会保障への予算はGDPのわずか3.4%で、これは1980年当時の4.1%より減額しており、イギリスの12.4%の4分の1に過ぎない。ちなみにスエーデンは8.1%である。


民間のマーサーという会社が先進18か国の年金指数を計算してランキングしたところ、1位=デンマーク(指数82.9)、2位=オランダ(同78.9)、3位=オーストラリア(75.7)、7位=イギリス(64.8)、9位=アメリカ(59.0)となり、日本はなんと17位(44.4)になった。


●日本の年金制度はやっと先進国入りしているだけなのだ。


あえて周辺順位をあげれば、中国15位、韓国16位、そしてインドが最下位の18位で指数42.4である。この指数は、・公的年金が十分に支払われているか、・平均寿命と支給開始年齢の関経はどうか、・年金制度の見直し機能や透明性ははかられているか、などを評価したものである。


日本の年金制度は中国、韓国よりも乏しく、ようやく先進国入りしているだけなのである。経済力(GDP)では世界第3位であり実力では世界一と自負している日本が社会福祉政策では、これほど遅れていることを国民は知らされていないのてはないか。


●5年後の東京オリンピックでは社会福祉でも銅メダルを!


今度の東京オリンピックを否定するものではない。立派な国立競技場を建設するのも必要だと思う。それはそうだが、5年後の東京オリンピック開催では、社会福祉でもせめて銅メダルを取れる位になっていてほしいのである。


その頃には、生活苦による自殺者も減って人口減少傾向も歯止めがかかっている、正に国民が一致して『富む者も貧しい者も、健やかな者も病める者も』こぞって、世界のスポーツの祭典を祝い楽しめる国になって欲しいと切に望む『者』ある。