遅すぎた発表、またやらかした日本年金機構のミス2449件。

2449--これは、またしてもやらかした日本年金機構のミスの数である。例の個人情報流出事件で、心配になって機構の専用電話窓口へ問い合わせた人に『あなたの情報は流出していない』との回答したにも関わらず、実際には流出被害があった人が全国で計2449人もいたのである。


これは、6月中旬ごろ、個人情報が流出した全員におわびの文書を送付して、問い合わせがあった人に確認したところ、誤った回答(流出していない)がされていたことが判明したという。


●「お客さまへの説明を優先した」と、半月も失敗を隠していた。


7日(火)の民主党の個人情報流出対策会議で薄井副理事長から「お客さまへの説明を優先した」と発表が遅れたことを説明した。しかし、実際には先月中旬の年金機構による回答確認作業で発覚していたので、半月も再三の失敗を隠していたことになる。


日本金機構は、社会保険庁が年金記録喪失事件で国民の信用を失ったとして、これに代わる特殊法人として発足した。人員は公務員ではないことになったわけだが、経営陣が一新されただけで、組織や構成人員はそっくり引き継いでいる。


●イヤなことを後回しにする癖は全く改められていない証。


結局、このような自分勝手な考え方で失敗隠しをやっているという点で、体質は変わっていないことが分かる。『お客様への対応を優先した』と言うが、一人であれこれやっているわけではないではないか。


国民全体への発表とお客様への対応は同時進行でやれるはずである。これは、イヤなことを後回しにする怠け癖は、『新組織』になっても全く改められていない証である。


●日本の役所の至る所で無責任体制が蔓延しているのでは?


このような『お役所仕事』のたるみは、日本年金機構だけのことではないのではないか。実は日本の役所の至る所で無責任体制が蔓延しているのではないかと、不安になる。


特に国家公務員の仕事は、ほとんどが外注で処理されている。そのため、外郭団体がいろいろとつくられていて、それが中央官庁から様々な事情で押し出された天下り理事によって運営されている。


●行革を主張する政治家は検察特捜部に失脚させられる。


社会保険庁は、あれだけの大失敗によって日本年金機構に変身させられたが、それでも仕事ぶりは何ら変わっていないのである。日本の官庁は敗戦でも特別の改革はしないで済んだ。


その意味では、明治時代から温存されてきたのである。行政改革などと一時は政治問題にもなったが、改革を主張する政治家は、なぜか検察特捜部に徹底チェックされて失脚させられた。


●行政改革は検察庁から着手しなければならないのだが。


検察も一つの役所だから行政改革など受け入れられないのだろう。そう考えると、日本の行政改革は検察庁を改革することから着手しなければならないである。しかし、これをやれる政治家はいないのではないか。


だから、日本の役所(行政組織)は襟を正す機会がないままに今後も無責任な運営が続けられることになる。つまり、戦後70年、いや明治から約150年も手つかずの巨大組織は、今後も無責任体制が続くことになり、これが日本衰退の大きな原因になるのだと思う。栄枯盛衰は世のならいか。