せめて、皆が車両から立ち去るまで待って欲しかった。

『やめなさい』と止めた女性に『逃げなさい』と逆に警告してガソリンを被った自身にライターで火をつけた--。71才になる焼身自殺男は、年金が少ないことに強い不滿を持っていたそうだ。


しかし、『逃げなさい』といえる心があるのなら、もうちょっと、皆がその車両から立ち去るまで待ってから火を放って欲しかった。そうしてくれなかったので、優しくて誰からも好かれていた整体師の女性(桑原佳子さん 52才)が巻きこまれて窒息した。


●新幹線のぞみ225号は16両編成で約850人が乗車。


桑原さんは順調な生活のお礼参りに単身伊勢宮へ行く途中だったとされている。その不慮の死を悼み、心からご冥福をお祈り申し上げます。また、この自殺事件で同乗していた人々の25人が重軽傷を負われたことにお見舞い申し上げます。


お見舞いと言えば、この新幹線の列車(のぞみ225号)は16両編成で約850人が乗車していた。さらに、この列車が小田原駅の手前7㎞付近で緊急停車して、消火と現場検証のために約3時間停車したため、上下43本が運休した。


●有害な煙をできる限り早く外へ出す方法が必要だ。


当日の21時までに最大4時間半の遅れが発生し、のべ約9万4000人の輸送に影響が出た。すべて、あらぬ所での焼身自殺の被害者である。新幹線の安全対策が問い直される事件になった。


自分は専門家がではないので、特別有用な提案はできないが、一つだけ思いつくのは、有害な煙をできる限り早く外へ出す方法を対策する必要があると言うことである。


●窓を割る金槌を数か所に備えて救命の役に立てるのは?


完全に密閉されている車両なので難しいが、できれば天井の何か所かを撥ね上げる装置が欲しいと思う。それが無理だというなら、窓を割る金槌を数か所に備えておき、それで窓が割れるように(現在は割れないのでは?)しておけば、今度のような場合に救命の役に立つのてはないだろうか。


ドイツでは、高速バスなどで脱出用として必ず金槌が装備されている。原始的なようでいて、安価で有効な安全対策だと思う。安全対策としては、乗客や手荷物の管理などいろいろと対策しなければならないことがあるようだ。


●約9万人の利用客の被害をもっと縮小することがてきないか。


しかし、自分が感じたことは、この事件で被害を受けた約9万人の利用客の被害をもっと縮小することがてきないものだろうか。という疑問である。長時間にわたって停車しているのは、警察による現場検証が行われているからだ、と現場から中継しているNHKのニュースで伝えられた。


それを聞いていて、まず思ったのは反対車線の上りはなぜ通過しないのか、と言う疑問だった。『注意して徐行すれば通過可能なのてはないか』 そして、また、しばらくすると、『現場検証なら徐行しながらでもできるのてはないか』とも感じた。


●そこに停車したままでなければ現場検証できなかったのか?


停車した所と事件の関係は全くないので、その場所に停車したままでなければ現場検証ができないというわけではなかった。列車の中に死者だけではなく負傷者が大勢いるのだから、その医療のためにもなるべく早く小田原まで列車を走らせなければならなかったのではないか。


事件は収束したが被害はなお進行中なのである。すでに医師などは到着していたのだろうが、やはり、列車を早く小田原に到着させて病院へ被害者を入院させる必要があったのである。


●こんな場合の二次被害をできる限り減らす研究が必要だ。


また、そうすることで、いち早く先頭車両を閉鎖してと225号を運行するか、代替え車両を投入するか。いずれにしても運行再開を早期に行う努力がなければならないと思う。


年金に不滿を持つ老人の焼身自殺は、それはそれで注目すべき問題である。しかし、その不慮の事件によって日本の大動脈が長時間分断され、9万人以上の人々の生活に被害を及ぼすと言うのは、やはり『これではまずい』として、こんな場合の二次被害をできる限り減らす研究が必要だと思う。