ズデ二ェク・コシュラー指揮  ストラヴィンスキー | くるくるりの 今日も一日

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くるくるりの 今日も一日 GES-9231



ストラヴィンスキー 作曲


  バレエ音楽 『春の祭典』


   バレエ音楽 『ペトルーシュカ』



チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

指揮 : ズデニェク・コシュラー





 「 ストラヴィンスキーのような不協和音の音楽で、リズムやアクセントまで合わなかったとしたら、なにを楽しみに聴けば良いとおっしゃるのですか?」


 「 いえいえ、不協和音というのはきれいな和音に対して不協和だというだけで、何度も聴いていると和音の範疇です。だからといってリズムがずれてもいい、ということではないけれども。」



コシュラー指揮、チェコ・フィルのストラヴィンスキーというディスクを見て、「いったいどんな演奏をしてるのだろう?」 と私は感じます。とてもローカルなストラヴィンスキーになっているのだろうか?とか。しかし、コシュラーという人はブザンソン・コンクールの優勝者であり、ほかのコンクールでは、クラウディオ・アバドと優勝を分け合ったことのある指揮者なのです。にも関わらず、私にはズデニェク・コシュラーというと東京都交響楽団やNHK交響楽団とドヴォルザークばかり指揮していたイメージがありました。


チェコ・フィルというオーケストラの合奏する力はアンチェルの演奏などで想像できましたが、ストラヴィンスキーはちょっと想像できませんでした ( もっともそのアンチェル指揮でチェコ・フィルのストラヴィンスキーがあるのです )。また、ストラヴィンスキーの作品が色とりどりというか色彩的なものであることを知ったのは、「 ペトルーシュカ 」 の実演を聴いてからなのですが、それまで私はストラヴィンスキーはリズムと不協和音ひとすじの、どちらかと言えばモノクロームの音楽というイメージをもっていました。


このチェコ・フィルの演奏は私のそのモノクロームの印象とそう違わず、色彩的な演奏とはちょっと呼べないのですが、しかし濃淡があるような ( 音楽ですから強弱というべきかもしれませんが )、それは弦楽器かも知れません。弦楽器と木管楽器の組み合わせの部分、そこにトランペットが入ってきたりホルンが加わったり。なぜこういう書かれ方をしているのに、ストラヴィンスキーとバルトークの音楽とはこうも違うのかが私には面白いです。



よくわからない話になってしまいましたから、ちょっと変えます。この演奏は、オーケストラがバリバリミシミシ言っておもしろいです。打楽器が良い音です。また、金管楽器のタンギング ( 舌うち ) がたいへんおもしろく聴けます。そうして、それぞれの管楽器の担当しうる音の中でも最も低い音域 ( 特にフルートの最低音 ) のために時間をとっているところが素晴らしいです。


『 ペトルーシュカ 』 はピアノの独奏があるのですが、ピアノの音とオーケストラのさまざまな楽器の音色のやりとりや楽器の仕組みの違いなどを想像しながら聴くのもおもしろいです。そうして、曲はおしまいに向けて、実に美しい音楽になっていき、やがて唐突に終わってしまいます。




ズデニェク・コシュラーという名前に惹かれて買ったディスクの1枚です。私はコシュラーという指揮者はとても職人のような感じで、しかも人の良さそうな丸顔の店主に見えて、とても好きな指揮者でした。コシュラーの指揮した演奏はヤナーチェクやドヴォルザークなどのチェコ、スロヴァキアの音楽のほかに、R・シュトラウスの 『 ツァラトゥストラかく語りき 』 が廉価盤に見えます。