ベートーヴェン 『 交響曲第5番・第4番 』 ケーゲル / ドレスデン・フィル | くるくるりの 今日も一日

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ベートーヴェン 作曲


 交響曲 第5番 ハ短調 作品67


 交響曲 第4番 変ロ長調 作品60



 ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団

 指揮 : ヘルベルト・ケーゲル




ケーゲルという指揮者にも多くのファンがいます。それで中古CDを私は買うことだできたのでしょう。このベートーヴェンの2つの交響曲はどちらもとても良い演奏を聴かせています。第9番の演奏(ドレスデン・フィル)で第4楽章の2重フーガが遅めのテンポで私は好きだったので、この第5番と第4番のディスクも買ってみました。


申し遅れましたが、私の買っているCDのほとんどは中古CDです。ほとんど9割以上が中古でございます。



第5番、第4番とも、メリハリのきいた演奏です。

私の考えているメリハリ、というのは、弓で演奏する性格上、リズムの取りにくい弦楽器パートがテンポ感よく演奏していて、リズム感がばっちりで、そこにティンパ二やトランペットが音楽にきちんとアクセントを付けている、音の動きの鈍かろう低音弦楽器も乗り遅れずにテンポを維持している。その上でテンポが落とされたり、自然に遅くなることも感じられず、オーケストラが生き生きしている以上に、音楽そのものが生き生きして聴こえて感じられる、ということです。


そうして、テンポがきちんと守られながらリズムにアクセントが加わり、その上で弦楽器や管楽器の音色がさまざまに変化すると、叙情的にも感じられるような、もうそうなってくるとオーケストラの楽しさ、醍醐味なのです。ベートーヴェンの音楽はさらに構成がありますから、ただ美しく生き生きと演奏していればそれで誰もがよし、とは言ってくれず、なかなか大変なのです。


ケーゲルのこれは、たとえば第4番のスケルツォ(第3楽章)のテンポが遅めである、ということを言えるわけですが、この第4番の交響曲は ( よく第7番や第8番が「リズムの交響曲の代表」のようにに言われますが ) リズムの変化や3拍子なのに2拍子のかたまりに聞こえたり、工夫があるわけです。そこをきちっとゆっくりめのテンポで演奏するか、スケルツォな感じで数小節をひとまとめに演奏するか、どちらもできるわけなのですが、ケーゲルは遅めのテンポをとります。遅め、と言っても、これくらいのテンポで演奏する人のほうが多いわけで、音をきっちりスラーの指示に従って区切っているので、一層そう聴こえます。



第5番はこれはもう、楽譜のとおりにやるとこうなるわけです。第1楽章の第1主題で8分休符にフェルマータ(音符や休符をある程度まで伸ばしてよい、アウト・テンポ)があるわけではないので、こうなります。そうして、チェロやヴィオラから始まる部分でも音がまばらにならずに私は好きです。



私はメリハリのある演奏はとても好きですが、それと同じくらいか、それ以上に柔らかい音、豊かな響きが好きです。それはどんなに曲想が悲しいものであっても、音楽をやる喜びや音楽を聴く喜びが聴こえてくるような気がするからです。ケーゲルという指揮者が自殺なさったからそう感じるのかも知れないのですが、ケーゲルのディスクを聴きながら、そんなことを考えることもあります。


ケーゲルにはベートーヴェンの第9番の録音もあります。ところで、この第4番と第5番の録音は、私には、 左、 右、 奥、 という3つの音のかたまりで私には聴こえていました。それもおもしろく聴こえました。