1967年公開のジャック・ドゥミ監督によるロシュフォールの恋人たち(Les Demoiselles de Rochefortは、同監督のシェルブールの雨傘(1964)のカトリーヌ・ドヌーヴ(役名:デルフィーヌ)を主演に据え、ミシェル・ルグランが再び音楽を担当したミュージカル映画になります。

本作は2009年にデジタル・リマスター上映されたことで当時話題になりましたが、シェルブールの雨傘』同様、色彩美に溢れた本作を美しい画像で鑑賞出来ることに歓びを覚えます。

カトリーヌ・ドヌーヴとの実の姉フランソワーズ・ドルレアックが双子の姉(役名:ソランジュ)を演じ、ジーン・ケリー(役名:アンディ・ミラー )とジョージ・チャキリス(役名:エチエンヌ)も出演している豪華なミュージカル作品です。

この映画はシェルブールの雨傘とは違い、セリフに全編メロディが付いてはおらず、ミュージカル・ダンスも多く組み込まれていることから、MGMに代表されるハリウッド・ミュージカルへのオマージュをより感じさせる作品になっていると思います。

この作品でカトリーヌ・ドヌーヴはダンサーを目指すバレエ教師役としてキュートな踊りを披露しますが、姉のフランソワーズ・ドルレアックが音楽家志望であることにより、ジャック・ドゥミが踊りと音楽(歌)というミュージカルの2つの柱を、ハリウッドを代表するジーン・ケリーとジョージ・チャキリスといった新旧の花形ダンサーを起用して描いた、煌びやかな仏製ミュージカルだと思います。

映画では、港街ロシュフォールに開店した楽器店に音楽家志望の姉フランソワーズ・ドルレアックが出入りすることで、些細なことで疎遠になってしまった母ダニエル・ダリュー(役名:イヴォンヌ )とかつての恋人ミシェル・ピコリ(役名:シモン・ダム)の復縁と、姉の恋と夢が成就するというハッピー・エンドの恋愛ミュージカルになります。

作中、カトリーヌ・ドヌーヴ似の女性を理想像として描いた兵役中の画家志望の男性 ジャック・ペラン(役名:マクサンス)が母の経営するカフェの常連客として登場しますが、夢を叶えるためにはパリに行かねばならないという姉妹と、夢はパリ(彼方の地)だけではなく自分達の住むロシュフォール(身近)にもあるという、この映画の伏線を匂わす存在としてジャック・ペランが味わい深い役を演じているのではないかと思います。

この映画で個人的に魅かれる部分は、ミシェル・ルグランの音楽と共にシェルブールの雨傘でも魅了された色彩の美しさですが、この作品では陽光輝く港町が舞台であることから、青と白を基調とするキャンバスにピンクや黄色等の暖色系の中間色を用いることで、ラブ・ロマンス・ミュージカルが夢見る様な柔らかいタッチで描かれていると思います。

ミシェル・ルグランの素晴らしい音楽とジャック・ドゥミの映像美、そしてジーン・ケリーとジョージ・チャキリスのダンスが堪能出来る仏製ミュージカルの名作として好きな映画です。

 

 PS ミュージカル舞台化作品を何度も観た池田理代子の傑作ベルサイユのばら(1979)の実写映像をジャック・ドゥミが監督したという事実に感慨を覚えます。

欧州(南独)滞在時にアニメーション・シリーズと共に実写映画がTV放映されていたのを数回観ました。

 

§『ロシュフォールの恋人たち』

 

 

 

 

 

 

ジーン・ケリー(中央)↑

ジョージ・チャキリス(中央)↑