1986年にロブ・ライナーが1986年に監督した『スタンド・バイ・ミー(Stand By Me)』は、スティーヴン・キングの「The Body」を映画化した少年期の初秋を描いたロード・ムービーになります。

 

1985年、作家のリチャード・ドレイファス(役名:ゴーディ・ラチャンス〈38歳〉)は、幼馴染のリヴァー・フェニックス(役名:クリス・チェンバーズ)の訃報が載った新聞記事を読むと、12歳だったオレゴン州キャッスル・ロックに住んでいた1959年の勤労感謝の日の体験に思いを馳せます。

ウィル・ウィートン(役名:ゴーディ・ラチャンス〈12歳〉)はリヴァー・フェニックス、コリー・フェルドマン(役名:テディ・ドチャンプ)、ジェリー・オコンネル(役名:バーン・テシオ)と共に、秘密のツリー・ハウスに集っています。

ジェリー・オコンネルは皆に、兄のケイシー・シーマツコ(役名:ビリー・テシオ)が友人のゲイリー・ライリー(役名:チャーリー・ホーガン)と、町はずれで行方不明の少年の遺体を見たことを話しているのを偶然耳にしたことを話します。

ケイシー・シーマツコとゲイリー・ライリーは盗難車に乗っていたことから、警察に遺体発見を告げていないことも知っています。

4人の少年達は、地元の英雄に成る為に、遺体捜索に出発することを決意します。

リヴァー・フェニックスが父親のピストルを持ち出した後、リヴァー・フェニックスとウィル・ウィートンは町の乱暴者キーファー・サザーランド(役名:エース・メリル)とリヴァー・フェニックスの兄ブラッドリー・グレッグ(役名:アイボール・チェンバーズ)に遭遇してしまいます。

キーファー・サザーランドは煙草の火でリヴァー・フェニックスを脅し、そしてウィル・ウィートンが亡兄ジョン・キューザック(役名:デニー・ラチャンス)から貰ったNYCヤンキース帽を奪ってしまいます。

線路を歩いて目的地へ向かう捜索行を開始した4人は、ウイリアム・ブロンダー(役名:マイロ・プレスマン)と番犬チョッパーの敷地に不法侵入している時に捕まりそうになります。

ウイリアム・ブロンダーは、コリー・フェルドマンの退役軍人の父親を変人扱いし、コリー・フェルドマンの左耳の火傷は父親の所為だと言って馬頭します。

激怒したコリー・フェルドマンは、ウイリアム・ブロンダーに飛び掛かろうとしますが、皆に制止されます。

道中、リヴァー・フェニックスは父親の嘲笑にも拘わらず、ウィル・ウィートンの文才を活かす道に進むべきだと励まします。

高架橋で列車に轢かれそうになりながらも、その夜一行は、コヨーテや不審者に備える為に交代で見張りをしながら森の中で野宿することを決めます。

焚火を囲みながらウィル・ウィートンは、肥満気味の架空の少年・デビッド’ラード・アス’ホーガンについての創作話を語ります。

夜半、リヴァー・フェニックスは、ウィル・ウィートンに家族の評判に結び付けられる自身の苦衷を告白します。

以前、彼は学校で牛乳費を盗んだ際、教師に自白して返金したものの、教師がその事実を公にせず着服したことにより停学にさせられた経緯を、悔し涙と共にウィル・ウィートンに話します。

翌日、4人は近道の為に蛭(ヒル)まみれになりながらも沼地を渡り、遂に線路脇の遺体を発見します。

すると、車で乗り付けたキーファー・サザーランドと仲間達が現れ、遺体の第一発見者は自分達であるから立ち去れと4人を脅します。

リヴァー・フェニックスが拒否すると、キーファー・サザーランドは飛び出しナイフを抜きますが、その時、ウィル・ウィートンの威嚇射撃音が響きます。

キーファー・サザーランドはウィル・ウィートンに銃を渡すよう要求しますが、ウィル・ウィートが拒否するとキーファー・サザーランドは復讐の言葉と共に、仲間と立ち去ります。

4人は、遺体発見で名声を求めるのは間違っていると判断し、匿名で警察に通報することを決め、翌朝、彼らはほぼ無言で帰宅の途に着きます。

1985年、リチャード・ドレイファスは’あの週末の出来事’を綴った回顧録を執筆しています。

後に弁護士になったリヴァー・フェニックスとリチャード・ドレイファスは、やがて互いに連絡を取らなくなっていましたが、喧嘩の仲裁に入ったリヴァー・フェニックスは刺殺されてしまった記事を目にします。

 

全編に流れる50’sのメロディがBGMを超える相乗効果を醸し出し(※1)、エンディングに主要登場人物のその後が語られる本作は、『アメリカン・グラフィティ』(監督:ジョージ・ルーカス 1973)の流れを汲むベトナム戦争前夜のスモール・タウンの青春群像劇ではないかと考えます(※2)。

『アメリカン・グラフィティ』が1962年に高校を卒業する青年達(17歳~18歳)を描いていたのに対し、本作では12歳の少年達の1959年初秋の冒険譚がオマージュ的に描かれております。

そのことは、『アメリカン・グラフィティ』でカート・ヘンダーソンを演じたリチャード・ドレイファスが38歳のゴーディ・ラチャンス(兼ナレーション)を演じていることからも、製作陣が両作を紐付けていることが窺い知れるとい思います。

様々な監督がファンに愛される映画を撮ってきたスティーヴン・キング作品ですが(※3)、1947年生まれのスティーヴン・キングが12歳だった1959年を描いたこの作品は、少年が大人へ向かう前夜をノスタルジックに描いていることから、僻見ながら、大林宣彦監督の『転校生』(1982)や『天国にいちばん近い島』(1985)に似た情調を自分は感じます。

それは、少年期のロード・ムービーに共通する大人への滑走が、情緒的に描かれているからではないかと考えます(※4)。

『アメリカン・グラフィティ』や『遠い空の向こうに』(監督:ジョー・ジョンストン 1999)等に描かれた、スモール・タウンから離れた回想者(=主人公)のノスタルジアが、兄の死による父親マーシャル・ベルとウィル・ウィートンの関係や、偏見に苦衷するリヴァー・フェニックスとの共鳴を絡めることにより、観客の心の襞(ひだ)に滲み込むのかも知れません。

フットボール推薦で炭鉱町を出ることになった『遠い空の向こうに』のジェイク・ギレンホールの兄と同じく、有望なフットボール選手で理解者の兄ジョン・キューザック(役名:デニー・ラチャンス)を交通事故で失った父親の嘆声交じりの視線に苦しめられるウィル・ウィートンの懊悩(おうのう)には、胸の痛みを感じずにはおれません。

全編に流れる音楽が相乗効果を伴う青春群像ロード・ムービーのマスターピースとして、これからも観続けて行きたい映画です。

 

(※1)

◆エヴリディ / バディ・ホリー

◆レット・ザ・グッド・タイムス・ロール / シャーリー&リー

◆カム・ゴー・ウィズ・ミー / デル・ヴァイキングス

◆ウィスパーリング・ベルズ / デル・ヴァイキングス

◆ゲット・ア・ジョブ / シルエッツ

◆ロリポップ / コーデッツ

◆ヤケティ・ヤック / コースターズ

◆火の玉ロック / ジェリー・リー・ルイス

◆ミスター・リー / ボベッツ

◆スタンド・バイ・ミー / ベン・E.キング

 

(※2)川本三郎は著書「この映画見た?」(新書館、2000年、pp49~50)の中で、本作を含めたアメリカン・ニュー・シネマ期以降の恋愛無き男性映画の系列について論じております。

 

(※3)『キャリー』(監督:ブライアン・デ・パルマ 1976)、『シャイニング』(監督:スタンリー・キューブリック 1980)、『ショーシャンクの空に』(監督:フランク・ダラボン 1994)、『グリーンマイル』(監督:フランク・ダラボン 1999)、etc.

 

(※4)エンディング:

☆『スタンド・バイ・ミー』→「12歳の頃の様な友人は、その後誰も出来なかった・・・。」(リチャード・ドレイファスのエンディング・ナレーション)

☆『転校生』(監督:大林宣彦 1982)→「さよなら、俺 さよなら、私」(エンディング科白)〈旅:尾道⇔向島〉

☆『天国にいちばん近い島』(監督:大林宣彦 1985)→「さようなら 幼い日日 ありがとう 天国にいちばん近い島」(エンディング・テロップ)〈旅:浅草⇔ニューカレドニア〉

 

§『スタンド・バイ・ミー』

ジョン・キューザック、ウィル・ウィートン

リヴァー・フェニックス、ウィル・ウィートン↑

ウィル・ウィートン、リヴァー・フェニックス、ジェリー・オコンネル、コリー・フェルドマン↑

ウィル・ウィートン(左)↑

キーファー・サザーランド↑

ウィル・ウィートン、ジェリー・オコンネル、リヴァー・フェニックス、コリー・フェルドマン↑

ウィル・ウィートン、リヴァー・フェニックス、ジェリー・オコンネル、コリー・フェルドマン↑

 

ウィル・ウィートン↑

ジェリー・オコンネル、リヴァー・フェニックス、コリー・フェルドマン、ウィル・ウィートン↑