音楽好きの映画ファンには..ブルース(1960)、ブルー・ハワイ(1961)等のエルヴィス・プレスリーの傑作ミュージカルで知られるノーマン・タウログ監督が撮ったワーズ&ミュージック(1948)は、作詞家ロレンツ・ハート(ミッキー・ルーニー)と作曲家リチャード・ロジャース(トム・ドレイク)コンビの人生を描いた絢爛豪華なオールスター・ミュージカルとして気になる作品ではないかと考えます。

ジュディ・ガーランド、レナ・ホーン、シド・チャリシー、ジーン・ケリー、ジューン・アリスン、ジャネット・リー、ヴェラ=エレン、メル・トーメ、ペリー・コモ、ベティ・ギャレットがリチャード・ロジャースの名曲を歌い、踊り、演技するだけでなく、成功の陰で悩み続けるロレンツ・ハートとリチャード・ロジャースの友情が巧みに描かれたミュージカル・ファン、音楽ファンには興味の尽きない作品ではないかと思います。

本作では、リチャード・ロジャースが後にコンビを組むオスカー・ハマースタイン2世との作品ではなく、「With a Song in My Heart」、「Where or When」、「Manhattan」、「Blue Moon」、「Lady Is a Tramp」、「There’s a Small Hotel」等のロレンツ・ハートとの作品に的を絞っておりますが、これらのスタンダード曲が綺羅星の如き出演陣によって次々と歌い踊られるだけで、自分の様な音楽好きは幸せになってしまいます。

ミュージカル・シーンはその全てが見所だと思いますが、所謂「裏庭ミュージカル」の名コンビであるジュディ・ガーランドとミッキー・ルーニーが「I Wish I Were in Love Again」を踊りながらデュエットするシーンは、大向こうから声がかかりそうな感じがします()。

この映画でミッキー・ルーニーはロレンツ・ハートという人物の描写において、明るさの中に創作や恋愛の苦悩や身長のコンプレックスなどの翳を滲み出させることにより、彼等の芸術作品が互いの才能を深い所で認め合うことで生み出されていたことが表現されている様に思います。

 

)ジュディ・ガーランドとミッキー・ルーニーの最後の映画共演作品とのことです。

 

§『ワーズ&ミュージック