1983年にオープンした「シネ・ヴィヴァン六本木」のオープニング上映作はジャン・リュック・ゴダールのパッション(1982)でしたが、今考えても、あの時代にあの豪華なミニ・シアターがあったことと、丁度その時期に映画好きの大学2年生であった自分の幸運を考えます。

映画は、劇中劇ならぬ映画内映画の撮影に関する内容ですが、撮影する映画の中で過去の名画を人間が再現していくという興味深いものでした。

再現される絵画はレンブラント(「夜警」)、ゴヤ(「裸のマハ」、「5月3日の銃殺」、「カルロス4世の家族」)、アングル(「小浴女」)、ドラクロワ、ヴァトー等の作品ですが、それとは別にW・ファスビンダー監督のリリー・マルレーン(1981)のハンナ・シグラが出ていたことが個人的に嬉しかったです。

あの時代は、六本木にCD&レコードの「WAVE」も開店し、ある種先端文化を牽引するエリアだったと思います(現在は乃木坂の美術館やヒルズの美術館がその方面を牽引している感じがします)。

あと、1983年は東京生活にも慣れたことで時間的に余裕が出来たこともあり、乏しい懐をやりくりして色々な映画やコンサート、寄席通いをしていた時期でした。

同年日本封切りの映画は、カルメンという名の女』(監督:ジャン・リュック・ゴダール)、『戦場のメリークリスマス(監督:大島渚)、ディーバ(監督:ジャン=ジャック・べネックス)、楢山節考(監督:今村昌平)等で、コンサートはマイルス・デイビス(tp)、ギル・エヴァンス(key,arr.)、カウント・ベイシーOrch.、デビット・ボウイ、ザ・バンド、JATP()等を体験しましたが、今ここに書き出している人達の多くが鬼籍に入っていることに時代の流れを痛感します。

 

 ()Jazz At The Philharmonicの略。ノーマン・グランツがプロデュースしたジャム・セッションを売りにしたジャズ・イベント。<1983年来日ミュージシャン→エラ・フィッツジェラルド(vo)、オスカー・ピーターソン(p)、ハリー・エディソン(tp)、ズート・シムズ(ts)、ジョー・パス(g)、JJ・ジョンソン(tb)等>

 

§「シネ・ヴィヴァン六本木

 

 

 

 →2017年8月に引越し前のブログに掲載していた内容の加筆・再掲載です。