☆あけまして、2024!☆ | あまがえるクロロのあまやどり II




皆さま、2024年、明けましておめでとうございまーーーす!!Happy New Year!



当ブログ常連の皆さまは、これが何の記事か分かっていますよね(笑)



今年も元旦の朝、初日の出の前に、紅白歌合戦のマイクとイヤモニの



考察を徹夜で書き上げる、マイク・フェチの宿命が到来しました(笑)



各年の元旦の記事をお読みになりたい方は、こちらでご覧くださいませ♪



まず、昨年2023年度のライブ音響制作業界において、上半期の話題を圧倒的な勢いで埋めつくしていた物といえば、何と言っても、



イタリア製機材メーカーのウィジコム社から新発売されたワイヤレス・トランスミッター「MTH410」に、超一流ドイツ製メーカーのゼンハイザーによる定番ダイナミック・カプセル「MD 5235」を組み合わせるというセットアップが、



日本国内のあまりにも多くのアーティストや夏フェス等から発注され、夏休みにテレビのライヴ映像で見ない日はないという、ある種の不気味かつ異様すぎるフィーバーが、マイク業界を席巻していた事ですね!



ご存知のように、日本人の有名ミュージシャンの中で初めてウィジコム製のマイクを導入してカスタマイズし実績を重ねてきたマイク・フェチ界のパイオニアである福山雅治さんも、今回の新製品に切り替えられたわけですが、



さすがは殿堂入りを果たしているマイク・フェチなだけあって、他人の真似はせず、ゼンハイザー製品の中で最も新しく開発された「MM 445」系統のカプセルを組み合わせて、新たなMYマイクとして愛用され始めていたのですが、今回の紅白に持ち込んでいただけなかった点は非常に残念でした。



つづいて、年末の音楽番組でマイク・フェチが高かった方々を褒め讃えようのコーナーですが、


サウシードッグ
Mステのスーパーライブで Saucy Dog の石原慎也さんが、アメリカの超実力派メーカー TELEFUNKEN 社製の有線ダイナミック・マイク「M80 もしくは 81」を持ち込んで、絶妙なバランスを達成されたのは素晴らしかったし、何よりあの日のテレ朝の音響エンジニアさんが作ったセッティングが、他のミュージシャンも含めて有線マイク勢が一番自然に音の芯が伸びていて、逆にメインのワイヤレス・カプセルであるゼンハイザー MD 5235 の音色が若干ぶ厚く出てしまうという、近年では類稀に見る現象が発生していたからこそ、相乗効果でよい結果につながっていましたね。



また、FNS歌謡祭の中継では羊文学の皆さんが、ゼンハイザーの若い有線ダイナミックマイク「MD 435 もしくは 445」や、イギリスの sE Electronics 社製ダイナミックマイク「V7」を持ち込んで、マイク・フェチ達の琴線をくすぐってくれたのも記憶に新しいですが、



しかし何と、レコ大の過去映像のプレイバックで、マカロニえんぴつのはっとりさんが、2年近く前の2021年度の段階で、上記ゼンハイザーの新型ダイナミックをステージに持ち込んでいたという驚愕の事実が判明し、遅ればせながら全世界のマイク・フェチ一同を代表して、多大なる賛辞を送らせていただきたく思います!



さらに生放送ではないですが、今年度は熊本エミさんという今後30年間の日本音楽シーンのレベルを根底から変えるポテンシャルを持った歌い手が歌唱王で優勝したり、ミリオンシンガーという比類なきクオリティーの歌まね番組が躍動したりと、これほどまでに日テレからインスピレーションを頂く一年になるとは予想していませんでした。



しいて言えば、ミリオンシンガーでレコーディングに使用されている複数のサイドアドレス・コンデンサー・マイクの中で、ノイマン社やテレファンケン社製の王道ラインナップよりも、我らがソニーが一度は生産終了したにもかかわらず世界中で大炎上したため仕方なく製造を再開した、国産真空管コンデンサーマイクロフォンの歴代最高傑作「C-800G/9X」のヘッドグリルに直接ゴムで巻くタイプの、半径が小さくて、通常よりオンマイクで歌えるポップガードを組み合わせた際の音質が、最も原音の再現性が高くトゲもなくリアルに聴こえるので、日テレの担当者さんには是非このセッティングの使用頻度を高めてもらいたいですね。



前置きが長くなりすぎましたが、皆さんご存知のとおり、NHK は昨年度の第73回紅白歌合戦において、日本はおろか世界の音楽番組の歴史の中でも最高だったと言って過言ではないくらい非の打ち所のない驚異的な完成度を現実のものとしてしまい、次回以降は一体どうなってしまうのか不安だったのですが、案の定その懸念は的中し、人間が人間の手で作り上げる生の作品が、一年後も完璧な状態で再現されるのはほぼ不可能であるという、この世の厳しさを痛感させられる結果となりました。



しかし今回の紅白で批判を受けるべきポイントの多くはエンジニアさんの繰り返しの詰めが甘かったヒューマンエラーあるいは未必の故意によるバランスの崩壊が原因ですので、次回までには必ずや名誉を挽回すべく改善策を見いだしてくださると信じていますし、そのために本記事ではクロロが考え得るかぎり最も辛辣な批評を容赦なく浴びせかけさせて頂きます。



それでは、今回もクロロの心に響いたミュージシャンの方々を考察します♪

審査員 北口榛花 国枝慎吾
有吉弘行 浜辺美波 司会者

天童よしみさん
マイク : ソニー「DWM-02」トランスミッター + シュア「SM58」カーディオイド・ダイナミック・カプセル
インイヤー・モニター (IEM) : なし
マイク自体はNHKのど自慢のプライム・セットアップなので問題ありませんが、商店街のド真ん中という劣悪なモニター環境の中でも、安定した実力を発揮されていました。



緑黄色社会 長屋晴子さん
マイク : シュア「AXT200 + SM58」ワイヤレス・カーディオイド・ダイナミック
インイヤー・モニター (IEM) : おそらく両耳、須山補聴器「FitEar
昨年度から比較して、NHKホールのステージ上におけるミックスの方向性が変わり、オケとマイクのシグナルをほぼ完全に分離して別々にコンプレッサーが掛けられており、さらにマイクの信号に会場のアンビエンスがかなり多めに混ぜられているため、結果的にノイズ・フロアが上昇し体感音圧が下がるリスクをNHK側が犯しているわけですが、ポテンシャルのある歌い手は辛うじて自力で乗り切れています。


スナック ジュジュ苑
JUJUさん
マイク : シュア「AXT200 + SM58」ワイヤレス・カーディオイド・ダイナミック
インイヤー・モニター (IEM) : 不明
ある意味ジュジュさんの色んな要素が混ざった複雑な声質により、普通はミックスに埋もれそうな区間で逆に中域が突き抜けてくるという、面白い現象が観測されました。


ミレイ
miletさん
マイク : シュア「AXT200 + SM58」ワイヤレス・カーディオイド・ダイナミック
インイヤー・モニター (IEM) : 両耳、メーカー不詳
体調もイヤモニも私生活も問題なさそうで自信に満ちたパフォーマンスであったにも関わらず、101スタジオからの中継の音圧レベルが他に比べて著しく低い致命的ヒューマンエラー、あるいはNHKが4K/8K用の22.2チャンネルのサラウンド・ミックスにこだわりすぎて通常のテレビの2ミックスをないがしろにしており、優れた歌い手がどんなに頑張っても躍動感ゼロで優れて聴こえない最悪の状態を強要され、ミレイさんが可哀想です。



大泉洋さん
マイク : シュア「AXT200 + SM58」ワイヤレス・カーディオイド・ダイナミック
インイヤー・モニター (IEM) : 両耳、須山補聴器「FitEar
大泉さんは予想以上によい響きで歌っていたと思いますが、このあたりから本ホールのステージ上での音色にも違和感が出てきており、おそらくボーカル・シグナルのリミッティングがピークのみに反応して抑制される設定なので、男性は最も目立つ中低域のフォルマントのみが誇張されて他の帯域が聴こえずらくなり、逆に女性は中域以上がキンキンして下が細る負の連鎖が生まれているため、全帯域をまんべんなく押し出すためにはピークではなく RMS あるいは Envelope の値にリミッターが反応するように設定変更すべきでした。


ミセスグリーンアップル
Mrs. GREEN APPLE 大森元貴さん
マイク : シュア「AXT200 + SM58」ワイヤレス・カーディオイド・ダイナミック
インイヤー・モニター (IEM) : 両耳、メーカー不詳
ニュース休憩を挟んで、さらにミックスのバランスがおかしくなり、大森さんが普段から発揮できているようなヘッドボイスやファルセットの声の芯が全く伸びず、アンビエンスのノイズ・フロアに埋もれてしまったため、まだコンデンサーマイクで音圧変化を抑制する戦略のほうがマシだったかもしれません。



坂本冬美さん
マイク : シュア「AXT200 + SM58」ワイヤレス・カーディオイド・ダイナミック
インイヤー・モニター (IEM) : 左片耳、「Sensaphonics
あのクセの強いフル・シリコン・シェルのセンサフォニックスというイヤモニを、片耳のみ装着するというクセの二重奏を試みたにも関わらず、見事に結果がピッタリはまって、ここ数年で一番自然な響き方だったと思います♪



Official髭男dism 藤原聡さん
マイク : シュア「UR2 + BETA 58A」ワイヤレス・スーパーカーディオイド・ダイナミック
インイヤー・モニター (IEM) : 両耳、「64 Audio (旧 1964 Ears)」
milet さんの欄にも書きましたが、皆さんにも録画音源やネット上の再配信で何度も確認して頂きたいのは、スタジオ間の中継での音圧管理の指針が、今回のNHKは完全に崩壊しており、101のようなスタジオで奏者がどんなにダイナミックに頑張って演奏しても、マスターフェーダーのコンプで全ての躍動感が殺されてしまい、視聴者には情熱のカケラも伝わってこない最低の放送になってしまいました。 しかし、藤原さんは真に実力を試される64オーディオのイヤモニにメーカー変更し、自分が達し得る限りの情熱と表現を必死に伝える努力をされたので、全体の放送音声は聴く価値すら感じられないほど粗悪でしたが、人間の心や魂は伝えてもらえたと感じています。



椎名林檎さん
マイク : 有線 AKG 「LC (生産終了)」 コンデンサーに見せかけた世界に一本の特注品
インイヤー・モニター (IEM) : 両耳、「Sensaphonics
十年以上ご愛用されている廃番コンデンサーマイクの筐体を、ほんの少し大きめに特注で再現した一点モノのマイクで挑んだ3度目の紅白も、カッコよく決めてくださいました。



ゆず
マイク : シュア「AXT200 + SM58」ワイヤレス・カーディオイド・ダイナミック
インイヤー・モニター (IEM) : 両耳、須山補聴器「FitEar
全体の音質環境の管理体制が劣悪である今回の紅白の舞台においても、生きた人間の活力をしっかりと響かせて伝えきり、比類なき実力を知らしめてくれました♪



星野源さん
マイク : ソニー「DWM-02」トランスミッター + ソニー「CU-F31 もしくは CU-F32」ダイナミック・カプセル
インイヤー・モニター (IEM) : 両耳、須山補聴器「FitEar
SONY 製のデジタル・ワイヤレス・マイクが初めて紅白の舞台に現れたのは、実は12年前の司会者用マイクとしての採用だったのですが、今回ついに、他社メーカーのマイク・ヘッドではなく、ソニーの純正カプセルを使用して紅白で実際に歌った史上初の歌手として、星野源さんの名が刻まれました。 おめでとうございます


スーパーフライしほ
Superfly 越智志帆さま
マイク : シュア「AXT200 + SM58」ワイヤレス・カーディオイド・ダイナミック
インイヤー・モニター (IEM) : 不明
今回の紅白の悪い部分が全て出た、最悪のミックスでしたね。 歌い出しの瞬間からコーラスのシグナルがメイン・ボーカルより押し出されて不自然に暴れてるし、志帆さまの声の芯は終始細く聴こえて躍動感のカケラもないし、いっそコーラスに掛けられてたコンプのセッティングをメインに持ってきて、そっくりそのまま入れ替えたほうがよかった。 どう考えてもヒューマンエラーか、エンジニアによる陰湿なイジめにしか聴こえない、はっきり言ってクズ同然の悪夢なので、早急に忘れることをオススメします。



エレファントカシマシ 宮本浩次さん
マイク : シュア「AXT200 + SM58」ワイヤレス・カーディオイド・ダイナミック
インイヤー・モニター (IEM) : 両耳、須山補聴器「FitEar
いつも通りの情熱が伝わってきて、よかったです。



藤井フミヤさん
マイク : シュア「AXT200 + SM58」ワイヤレス・カーディオイド・ダイナミック
インイヤー・モニター (IEM) : なし
プロがステージ上で音を奏でるは何たるか、ベテランの極意のようなものを感じました。



福山雅治さん
マイク : シュア「AXT200 + SM58」ワイヤレス・カーディオイド・ダイナミック
インイヤー・モニター (IEM) : 両耳、おそらく「Ultimate Ears
記事の冒頭でも触れましたが、今年度の紅白に Wisycom のマイマイクを持ち込んでくださるのを期待していたので寂しかったです。 しかし、年末の各番組で使用されたイヤモニのメーカーから再び替えてきたにも関わらず、シュアのメイン・ワイヤレスでもポテンシャルを存分に出しきれる感性の鋭さと適応力に、感銘を受けました。



MISIAさん
マイク : ソニー「DWM-02」トランスミッター + ソニー「CU-F31 もしくは CU-F32」ダイナミック・カプセル
インイヤー・モニター (IEM) : 両耳、「64 Audio (旧 1964 Ears)」
ほんの数十分だけ星野源さんに先を越されましたが、SONY の純正デジタル・ワイヤレス・カプセルを使用し、NHKホール内にて紅白で歌った史上初のシンガー認定、おめでとうございます♪



それでは今年も、クロロの無敵の主観によるランキングを発表します♪



年末MYマイク “持ち込み王” 決定戦
1位 : ミーシャさん
1位タイ : 星野源さん
3位 : 椎名林檎さん
4位 : Official髭男dism 藤原聡さん



こだわりの “イヤモニ王” 決定戦
1位 : 坂本冬美さん
2位 : Official髭男dism 藤原聡さん
3位 : 椎名林檎さん
4位 : ミーシャさん
5位 : 福山雅治さん



2023年度 第74回紅白歌合戦 MVP
1位 : ゆず
2位 : Official髭男dism 藤原聡さん
3位 : 福山雅治さん
4位 : 坂本冬美さん
5位 : 藤井フミヤさん



では皆さま、本年もあまがえるクロロのあまやどりを、



どうぞよろしくお願い申し上げたてまつります(^-^)/