普通においしい〈1〉~〈8〉 | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

 フリーランスの編集者兼ライターです。
 主として日本語関係のことを書いています。

 ちょっと事情があって、下記からお引っ越し。

普通においしい【1】──大丈夫か、毎日新聞 

 

 下記の仲間。 

日本語アレコレの索引(日々増殖中) 

http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-306.html 

日本語アレコレの索引(日々増殖中)【4】 

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1583890705&owner_id=5019671 

 

 

mixi日記2011年01月26日から 

 

 これは●●すぎる。 

 だって「普通においしい」の類いが問題視されるようになったのは相当古い。 

 たとえば下記は2006年11月30日のブログ。 

【「普通においしい」 - 平野啓一郎公式ブログ】 

http://d.hatena.ne.jp/keiichirohirano/20061130/1164869939 

 

 こんなに歴史のある?言い回しで、いまではかなり普及しているものを、いまさらこんなふうに取り上げるのはどういう神経だろう。別にこういう言い方を積極的に支持するつもりはないが、たま~に使ってしまう自分が怖い。 

 専門編集委員ってなんの「専門」なのかは知らないが、この感性と情報収集力には相当危ういものを感じる。大丈夫か、毎日新聞。いや、あまり大丈夫じゃなかったか(黒笑)。ゴメン。オレが悪かった。記事中にも恐ろしい内部告発メッセージを見つけた。「毎日は見ないよ。普通の日本人だから」……なんということを。 

 こういう記事を書くと、現代では下記のような扱いを受ける。 

【毎日記者「ここの店、うまいの?」 若者「普通においしいですよ」 記者(普通にって何だ…?)】 

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1590896.html 

 

 このテの掲示板は問題があるものも多いが、今回に限れば説得力がある。妥当なコメントを転載しておく。 

================================ 

11 : 雪ちゃん(広西チワン族自治区):2011/01/25(火) 15:24:25.69 ID:EtXr4ZsbP 

普通に(お世辞でなく、含みなく、保留なく)おいしい 

って意味だろ 

言葉は変化すんだよ 

 

95 : こんせんくん(栃木県):2011/01/25(火) 15:30:48.54 ID:RH4GXTbB0 

>>11が正解。 

マスコミのグルメリポートとかで大袈裟に「うまい!!」とかいうのがあまりにも多すぎるから 

そういう誇張無しに、普通のテンションでも十分おいしいと言えますってことだ。 

自分たちが作り出した悪文化のせいで生まれた言葉なのに理解できないとは 

おめでたいんだなこの記者さんは 

 

17 : きららちゃん(長屋):2011/01/25(火) 15:25:23.43 ID:kCbLPQOW0 

以前から散々普通にみんなおかしいと思ってるって言われ続けてた事を 

普通に記事にしちゃうなんて普通じゃないすなw 

================================ 

 

 

【ネタ元】毎日新聞 

http://mainichi.jp/select/opinion/maki/news/20110125dde012070062000c.html 

 

================================ 

牧太郎の大きな声では言えないが…:普通においしい? 

 

 東京・新橋のバス停前。とあるラーメン屋に列ができている。 

 

 列の最後尾の若者に「ここ、うまいの?」と聞けば「普通においしいですよ」。 

 

 普通においしい? よく分からないが……ともかく並んだ。 

 

 うまかった。太麺。味はこってり。5枚も入っている「海苔」はバリバリとして最上品なのだろう。隣り合った、例の若者に「うまいじゃないか?」と言うと「そうでしょ」と笑っている。 

 

 何か、彼とは日本語が通じたような、通じないような……会社に戻って、この奇妙な経験を同僚に話すと「普通においしい、というのは、すごくおいしい!という意味ですよ」。 

 

 エッ、本当なのか? 

 

 普通の「普」は「並」の下に「日」と書く。「並」は横に広がることを表し「通」はあまねく知れ渡っているという意味。だから広辞苑で「普通」は(1)ひろく一般に通ずること(2)どこにでも見受けるようなものであること……とある。この若者は「広く知れ渡ったおいしさ」とでも言いたかったのか? でも「普通においしい」はやっぱりおかしい。 

 

 同僚は「今の若者は、もの心ついてから不況の連続。自分のことを“普通以下”と考えている。だから彼らが言う“普通”とはワンランク上の事なんですよ」。 

 

 そういえば「普通」という言葉は曖昧だ。 

 

 社会現象になった「AKB48」を「ごく普通の娘じゃないか」と思っている。彼女らにオーラを感じない。だから、といって「嫌い」ではない。普通である。 

 

 昔の大スターには熱狂的なファンがいる半面「嫌いだ」という人も多かった。美空ひばり、松田聖子……大スターに対する「好き嫌い」は両極端だった。 

 

 「AKB48」を嫌いな人は少ないような気がする。誰もが嫌いでないのが、大スター? 彼女たちは「普通」にして「すごい大スター」なのかもしれない。 

 

 僕が東京・秋葉原の近くに住んでいると聞いて、親戚の若者が「毎日、AKB48が見れますね」とうらやましげに言う。「AKB48」は秋葉原のビル8階の専用劇場で毎日、公演しているらしい。 

 

 「AKB48? 興味はあるけど……毎日は見ないよ。普通の日本人だから」と言ってから……当方の言い分が正確に通じたか?ちょっと心配になって……。日本語は変わったのか?(専門編集委員) 

 

毎日新聞 2011年1月25日 東京夕刊 

================================ 

 

 

普通においしい【2】── 

「普通においしい」でも、別にいいんじゃね!? 

 

mixi日記2011年01月27日から 

 

 牧太郎氏(毎日新聞のコラムの筆者)に比べるとはるかにまとも。 

 下記参照。 

普通においしい【1】──大丈夫か、毎日新聞 

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1663324882&owner_id=5019671 

 

 しかし、この記事の筆者の谷川氏の感覚もノネナールが強い。この「普通」に関しても近いうちにまとめたい。 

 ということで保留にしておく。 

 ところで、このコラムを読んでいて一瞬混乱する人いない? 原因は「筆者」って言葉。こういうふうに引用文があるときは、要注意。引用文の筆者(牧太郎氏)なのか、このコラムの筆者(谷川氏)なのか、わかりにくくなる。 

 

>「他者の言葉に違和感を持ったとしても、その場その時に、その他者の話し相手へ通じていれば、別にいいじゃん」 

 その場ではそのとおりだとも思う。でも言葉の問題は、そういう態度では済ませられないことも多いのよ。 

 

 

【ネタ元】ガジェット通信 

http://get.nifty.com/cs/catalog/get_topics/catalog_110126000076_1.htm 

================================ 

「普通においしい」でも、別にいいんじゃね!? 

2011.01.2617:34 

 

 

 「普通においしい」という表現が話題になっています。1月25日付の毎日新聞夕刊に掲載されたコラムが火をつけたようです。書き手は、牧太郎さん。「サンデー毎日」の編集長をつとめた経験もある記者で、言葉のプロフェッショナルといえる方なんですね。 

 

 ある日、牧さんが東京・新橋のラーメン屋にいった。行列に並んでいた若者に「ここ、うまいの?」と聞いたところ、「普通においしいですよ」という答えが返ってきた。コラムでは、「普通」と「おいしい」という言葉の組み合わせに違和感を表明しています。 

 

 筆者は、ある大学で非常勤講師をやっていますが、女子学生に「ラルクアンシエルとか、好き?」と聞いたとき、「普通に好きですよ」という答えが返ってきました。また、バーのカウンターで、20代後半と思われる男性に「そのカクテル、うまいですか?」と聞いたところ、「普通にうまいっすよ」という反応が。 

 

 ようは、この「普通に……」という言い方は、かなり普及しているようなのです。数年前までは、この「普通に……」という言葉の使い方に、牧さん同様、筆者も違和感を持っていました。でも、おそらく30代以下の人々は、それこそ普通に使っている言葉だと気づいてからは、あまり気にならなくなったのです。 

 

 アーティストでも食べ物でも、その年代の人に好きか嫌いかをたずねると、「普通」と答える人もたくさんいるような気がします。この場合は、「好きでも嫌いでもない」という意味で使われることが多いようです。言いかえれば、「どうでもいい」とか「どっちでもいい」ということなんですね。 

 

 つまり、「普通に……」の「普通」という言葉は、「どっちでもいい」という意味なのですから、ある言葉の前に「普通に……」といった場合、「あってもなくても、『普通に…』に続く言葉の意味が変わらない」というニュアンスの流行り言葉なのではないか、と筆者は理解しています。 

 

 日本語の伝統みたいなものを、守ることもたいせつだと思います。他方、言葉やその使い方は、時代によって変わっていくものだ、ともいえましょう。「他者の言葉に違和感を持ったとしても、その場その時に、その他者の話し相手へ通じていれば、別にいいじゃん」というのが筆者の意見ですが、みなさんはどうお考えでしょう? 

================================ 

「普通においしい」でも、別にいいんじゃね!? 

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1482262&media_id=85 

 

 

普通においしい【3】── 

「普通においしい」「普通に可愛い」 

 

mixi日記2011年02月01日から 

 

 まず辞書をひこうと思ったが、普通(いつもは「フツー」と書いているが、この日記は「普通」と書く)の語釈しかのっていないのでやめておく。節操なく新しい用例を入れているWeb辞書がまだ採用していないってことは、まだマイナーな用法なのだろうか。一般的に、「普通においしい」と言ったらどういう意味なのだろう。この種の「普通に~」の形で使われるのは「普通においしい」以外だと「普通に可愛い」「普通におもしろい」あたりだろうか。後ろに否定的な言葉は来ない気がする(現段階では)。 

 ネット検索した結果、参考資料を2つ厳選した。 

 

参考資料1【「普通においしい」 - 平野啓一郎公式ブログ】(2006年11月30日) 

http://d.hatena.ne.jp/keiichirohirano/20061130/1164869939 

 この平野啓一郎って、あの平野啓一郎だよな(意味不明)。ちょっとビックリ。2006年11月の記述ってところに価値がある。 

【平野啓一郎説】======================== 

 あとは、「普通においしい」という言い方もそうですね。これも意味が分からないという人がいますが、どうしてでしょう? たとえば、ブルーチーズを食べたとき、人は、「クセがあるけどおいしい」という言い方をします。そんなふうに条件や留保をつける必要のある食べ物とは違って、ストレートに、一般の誰もが「おいしい」と同意するであろうような味の食べ物(あるいはその水準に達している食べ物)を食したときに、現代人は「普通においしい」と言うわけです。 

================================ 

 

参考資料2【2010-08-04 「普通においしい」の用法】 

http://d.hatena.ne.jp/hiiragi-june/20100804 

 こっちにはいろいろ出ている。 

【『三省堂国語辞典』説】==================== 

 生きのよい現代語辞典を標榜する『三省堂国語辞典』第6版は、「俗」と断りながらも「普通に、の形で『ごく自然に考えて。わりあいに』」の用法を載せ、「普通においしい」の例文を挙げている。「並」より上を示すホメ言葉だが、さりとて格段に旨いというほどではない、といった感じだ。あえて不等記号を使って表すと―― 

 

 すごくおいしい>かなりおいしい>普通においしい≧おいしい>普通>あまりおいしくない>まずい、という順になるかもしれない。 

 

【『続弾!問題な日本語』説】================== 

 同書によれば、「普通においしい」は 1)「お世辞ではなく、おいしい」という積極的な賞賛を表すのにも使われるようだ 2)この場合の「普通に」は「おいしさ」の程度ではなく、お世辞ぬきの、素(す)の判断であることを表している、と記述。さらに続けて、「正直なところ」や「率直なところ」と重なる用法だ、とも解説している。私見では、この用法が含意するところは単なる賞賛だけでなく、意外性という点もあるように思う《注》。 

================================ 

 

参考資料3『続弾!問題な日本語』 

 p.59~のテーマが「普通においしい」。 

 書き手は矢澤真人筑波大助教授(当時)。末尾のまとめの部分を引用する。 

 

【引用部】 

若い人たちは、「普通」を〈自分はそれに積極的に関わらない〉というニュアンスで使ったり、「普通に」を〈お世辞抜きで〉〈素(す)で〉〈正直なところ〉という意味で使ったりしています。これらは、本来の使い方からは、ずいぶんかけ離れたものです。(p.62) 

 

 引用部を読むだけで、日本語があやしい書き手って気がする。1文目が長すぎる。こんなに長いのに「片たり」にしなかったのは立派だけど、やはり避けるべき。2文目はこんなに短いのに「は、」が2回も出てくる。 

「普通に」を説明するのに、「普通」から書きはじめるのは本格派。ただ、このまとめは……。 

 本文で「普通」に関して下記のように書いている。 

 

【引用部】 

 友達関係を表す場合などでは積極的には関与しない間柄を表す場合もあるようです。「なあ、俺のこと好きか」に対して「普通」と答えられたら、どうでしょう。ある年代以上の人は、「俺は単なる友達なんだ」とがっかりする一方で、安心もするでしょうが、そんな答えをされたら、若い人はひどく落ち込みます。あなたに関心がない、好きと嫌いのスケールにも載せられない、という積極的な不関与を宣言されたことになるからです。(p.60) 

 

「普通に」とはあまり関係のない話だが、書き手の論理性を示す例なので、長めに引用した。これは何が書いてあるんだろう。「俺のこと好きか」に対して「普通」と答えたら、それはかなり明確な拒絶じゃないかな。それは若い世代だって同じだろう。それで安心するような相手にこんな質問したら、「単バカ」だよ。前提がおかしい。それにしても「積極的な不関与」ってどういうこと? 

 食べもので考えよう。「(食べもの)は好き?」に対して「普通」と答えた場合は、2つ考えられる。 

  1)とくに好きでも嫌いでもない 

  2)普通に好き 

 どちらかと言うと、1)だろうな。 

 もうひとつ考えられる側面がある。話している相手に「積極的な不関与」を宣言している。たとえば、親が「○○はどう?」と訊いたときに反抗期のガキが「普通」と答える。これは、詳しく話すのがメンドーなときの無難な答えとして定着している気がする。 

 

 で、同書の「普通に」に関する記述。 

【引用部】 

 もう一方の「普通に」のほうですが、「普通においしいよ」は、標準的なおいしさだ、世間並みのおいしいという範囲に入る、という意味のほかに、「お世辞ではなく、おいしい」という積極的な賞賛を表すのにも使われるようです。この場合の「普通に」は「おいしさ」の程度ではなく、お世辞抜きの、素の判断であることを表します。「正直なところ」や「率直ところ」と重なる用法で、「マジ」にもこの用法があります。(p.61) 

 

 この記述にある「標準的なおいしさだ、世間並みのおいしいという範囲に入る」が、なぜまとめから抜けてしまったのだろう。思うに、「本来の使い方」は「並」って意味ってことなんだろう。ちょっと違うと思う。本来は「普通においしい」という言い方自体をしないと思う。それは「おいしい」って言うの。それに、「並」の意味もあって、もう少し上の意味もあると、結局どんな意味なのかわからないよね。 

 さらにいくつか疑問がある。 

〈「おいしさ」の程度ではなく、お世辞抜きの、素の判断であること〉ってどういう意味? 「普通においしい」を「お世辞抜きにおいしい」(これは絶賛に近い褒ほめ言葉だろう)と言いかえたら、それは〈「おいしさ」の程度〉ではなくなるの? 

〈「マジ」にもこの用法があります〉ってどういう意味? マジは本来は「真剣」で、「マジにおいしい」なら「本当においしい」だろう。「お世辞抜きにおいしい」とほぼ同義。 

 それは「この用法」があるってことなのかな。そういうふうに普通に(一般的に)使うってことだと思う。はかにどんな用法があるの? 

 いろいろ加味すると、「参考資料3」は考慮に入れないほうがいい気がする。 

 

「参考資料2」に出てくる不等式?はおもしろい。注目すべきは中央部。 

 

かなりおいしい>普通においしい≧おいしい>普通>あまりおいしくない 

 

 こういう考え方でいいと思う。 

「普通」を文字通りの意味で考えたら、「普通においしい」は「おいしい」とほぼ同じになる(普通においしい=おいしい)。だったら単に「おいしい」でもいいだろう、という考え方もできる。そこでポイントになるのは「参考資料1」の記述。〈そんなふうに条件や留保をつける必要のある食べ物とは違って、ストレートに、一般の誰もが「おいしい」と同意するであろうような味〉ってこと。この意味だと、「お世辞抜きでおいしい」までほめてはいない。 

 世間の一部で解釈しているように、もう少しほめていると考えるなら「普通においしい」のほうが「おいしい」より上と考えてもいい(普通においしい>おいしい)。この意味でも、「お世辞抜きでおいしい」までほめてはいない。 

 注目したいのは、「参考資料2」に出てきた「意外性」。 

 たとえば、すんごく評判の悪い店・料理人(身近な作り手を想起するのはご自由に)の料理が、全然まずくなかったときに使われるのが「普通においしい」。見た目がグロい料理が全然まずくなかったときにも使われる。「意外性」ですね。 

  「ごめんね。まずかったでしょ」 

  「いや、そんなことないって。普通においしいよ」 

 ほほえましい会話だな。 

 まったく逆の場合はどうなるか。 

 評判のいい(あるいはバカ高い)店・料理人の料理が、まずくはないけどとくにおいしくもなかったときに使われるのは……。 

「普通」なんだろうな。これも「意外性」と言えば「意外性」。 

  「どう? 料理にはけっこう自信があるの。おいしいでしょ?」 

  「いや、そんなことないって。普通だよ。どっちかって言うと、惜しい」 

 性格がtobiすぎるorz。 

「普通に」と「普通」は辞書的には大差がないと思うけど、こういう状況で考えると、真逆とまでは言わなくても相当違う印象になる。 

 いやぁー、日本語ってホントにおもしろいですね。

 

 

普通においしい〈4〉「普通に」「フツーに」「ふつうに」── 

「普通にかわいい」は、普通にほめてるのよ 

 

 テーマサイト&トピは下記。 

1【普通に強い?】 

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1259327022 

2【「普通に」の使い方】 

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=37442370 

 

 近年の「普通に」の使い方には2種類あるような気がしてきた。 

 非常に微妙な話なので、奥歯にいろんなものが挟まったような話になることを覚悟で。 

 端的な違いを考えるのに、下記の例で考えてみる。 

 

1) 普通においしい 

2) 普通に好き 

3) 普通に強い 

 

 1)はいままでに見てきた例。 

 おそらく、下記の不等式で理解できる。「並より上の普通」と呼ぶ。ニュースのテーマになっている「普通にかわいい」もコレだろう。元々の【ネタ元】http://oshiete.goo.ne.jp/qa/4329734.html?from=mixi_news&check_ok=1を読むと、●●女に対する投げやりな相槌にもとれるけど(黒笑)。 

 

かなりおいしい>普通においしい≧おいしい>普通>あまりおいしくない 

 

 ところが、2)3)になってくると、ちょっと違ってくる気がする。 

 2)の場合、「好き」の度合いが云々ではなく、気持ちのありようって気がする……これじゃ何を言ってるかわからんだろうな。 

 いいかえるなら、「自然体で好き」。「同情でもなく」「ヘンな含みもなく」「純粋に」くらいの気がする。テーマサイト&トピ「1」のリンク先からひく。 

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C9%E1%C4%CC%A4%CB 

================================ 

若者言葉。スラング。「フツーに」 

お世辞でなく、含みなく、保留なく。 

「当然のごとく」、「自然と」というニュアンス。 

以下のように、フツーにみんな使ってる言葉です。 

 

用例 

「フツーに好きなだけ」(北川景子・2009年、月9ドラマ「ブザー・ビート」) 

「この料理、フツーにおいしい」 

「今朝、フツーに雨が降った」 

================================ 

 

 これは普通においしい〈3〉──「普通においしい」「普通に可愛い」http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1666477246&owner_id=5019671でひいた平野啓一郎説にも通じる。 

【平野啓一郎説】======================== 

 あとは、「普通においしい」という言い方もそうですね。これも意味が分からないという人がいますが、どうしてでしょう? たとえば、ブルーチーズを食べたとき、人は、「クセがあるけどおいしい」という言い方をします。そんなふうに条件や留保をつける必要のある食べ物とは違って、ストレートに、一般の誰もが「おいしい」と同意するであろうような味の食べ物(あるいはその水準に達している食べ物)を食したときに、現代人は「普通においしい」と言うわけです。 

================================ 

 

「好き」の場合だとわかりやすいかもしれない。「同情とかではなく好き」「財産目当てじゃなく好き」(いつの時代だ?)という感じで、ヘンな含みがなく好きってことだろう。本来の「普通に」に近いかもしれない。「自然体の普通」と呼ぼう。 

 

 3)になるとさらにわからなくなってくる。 

 これはどっちともとれるとも言えるし、イチバン異和感があるとも言える。 

「普通に強い」は、「並より上の普通」のニュアンスがある。たぶん平均値より強い。ただ、それは単に「強い」じゃないか、って気もする。 

「自然体の普通」ともとれるけど、それも単に「強い」じゃないかって気がする。そうなると、〈3〉で見た「意外性」も加味する必要があるのだろうか。 

 これはいわゆる「若者言葉」に共通する気がするが、何か便利な言い回しが登場すると、どんどん派生的な使い方が出てくる。そのうち「それはちょっと違う」ってものまで含まれ、結局なんとなく雰囲気では理解できても、どういう意味か説明できなくなる。「可愛い」なんかもそうだし、最近の例だと「大丈夫」や「全然」もそう。 

 あれ? 「大丈夫」や「全然」は「若者言葉」じゃねえか。 

 

 

 バイト敬語/若者言葉関連のコレクションは下記参照。 

【関連トピ紹介】26──バイト敬語/若者言葉 

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=55300424 

 

 

【ネタ元】教えて!ウォッチャー 

http://blog.goo.ne.jp/oshiete_watcher/e/76ac76e9a09c202e84c2966a425d98fe?fm=rss 

================================ 

男性の「普通にかわいい」って、ほめ言葉? 

 

レストランで30代女性と、19歳の男性が食事をしていました。雰囲気から姉弟ではなく、付き合ってもいなさそう。するとこんな会話が。 

 

女「ねぇ、私のこと、かわいいって言って」 

男「かわいいですよ」 

女「そう言わなきゃ殺されるもんね」 

男「いえ、普通にかわいいと思います」 

女「じゃあ、私はお母さんに見える?」 

男「母よりずっと若いですし、普通にかわいいと思います」 

 

10代の男性から、30代女性がかわいいって言ってもらえただけでも、もうけもんな気がするのですが、女性は「普通にかわいい」の“普通”が引っかかっているよう。 

 

「『普通に可愛い』って可愛いの?」 

 

彼が発した普通って、どういう意味でしょうか? 

 

■意味どおり、人並みということ 

 

   「“ごく一般的”だと解釈しています。特別にかわいいわけではないけど、親しみやすい意味での“普通にかわいい”では」(kimiyan101さん) 

 

   「“一般的に”ではないでしょうか。質問者さんが恋愛対象ではなかったため、そう言ったのだと思います。恋愛対象なら、かわいいと言うはず」(simakawaさん) 

 

意味をそのまま受け取って、“一般的”と解釈する人もいれば 

 

   「この場合は“お世辞ではなく”くらいの解釈だと思います」(tooma37さん) 

 

   「“冷静に見ると”“本質的に”といったニュアンスと思っていました。芸人っぽいリアクションをしているアイドルに『彼女、普通にかわいいよね』とか」(hat01_189さん) 

 

   「私もよく使いますが、おいしいを例にすると 

すごくおいしい>おいしい>普通においしい>普通>まずい>かなりまずい 

という感じです。どっちかというとおいしい時に使います」(noname#83374) 

 

積極的には認めないものの、肯定できると際に使うという意見も。全体的に“可もなく不可もなく”といった回答が多く、“普通”に深い意味を求めなくとも、という気がします。 

 

■「普通に」という前置詞は一種の逃げゼリフ 

 

しかし、いじわるな見方をすると、10歳以上も年上の女性から「かわいいって言え」と要求されることは、一種のおどし。男性に女性への好意がなく「かわいいって言わないとめんどくさいし、でも額面通りに受け取られるのも嫌」という気持ちがあったとすれば? 

 

   「“そうではなく”とすればいいのです。今回なら、一般男性の大半が容姿について60~70点以上はつけるであろう程度の魅力はある、でしょうね」(okwindanceさん) 

 

   「みなさんの言う“一般的に”“冷静に見て”に、私は“客観的に”も加え、その複合的なものと考えます。興奮したり、感動すれば“普通に”はつけません。この場合は一歩ひいた、第三者的評価ですね」(pirukuru51さん) 

 

上記の2つの回答を見ると、彼の“普通に”は仕方なく言わされた褒め言葉への逃げ口上と受け取ることができるかもしれません。 

 

   「質問文を拝見した時、口裂け女の話を思い出しました。口裂け女には『それなりに』と答えるのが正解だそうです。彼は賢いです」(yurie0000さん) 

 

もし30代女性が男性から「普通にかわいい」と言われたら、“かわいい”ではなく、“普通に”の部分に本音が潜んでいることを肝に銘じたほうが無難かもしれません。 

 

津島 千佳 

================================ 

 

男性の「普通にかわいい」って、ほめ言葉? 

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1559192&media_id=116 

 

 

普通においしい〈5〉──懺悔の記録「フツーにできる」 

 

mixi日記2011年05月01日から 

普通においしい〈5〉──懺悔の記録「フツーにできる」 

 

 このところトピへの書き込みをする意欲が急激に減退している。 

 理由はいろいろあるが、最大の理由は「それどころじゃない」ってことだろう。 

 それでも気が向くと、書き込んでしまう。(←病気?) 

 そいでもって、下記のトピに書き込んだ言葉づかいについて懺悔します。 

【ワード:質問&回答用のためのトピック】ワード編 パート2(50~63) 

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=58918321 

 

 Wordでもテキストボックスのリンクなんてできるのね。世の中にはWordやExcelでムチャクチャ凝ったレイアウトをしている人がいることを知ってはいた。この話は長くなるからパス。 

 気になってヘルプで検索してチャレンジしたら、アッサリできてしまった。ただ、このへんが困った話で「リンク」という言葉を知らないとヘルプでもネットでも調べにくい。 

 当方が「59」のコメントで書いたこと。 

================================ 

 テキストボックスをリンクさせるということではありませんか。 

 一般のDTPソフトでは基本的な機能です。 

 Wordでやるのは初めてでしたが、ヘルプを見てやってみたらフツーにできました。 

================================ 

  

「フツー」と書いてからコメントを入れるまでにちょっとためらったけど、訂正はしなかった。 

 あとからジンワリとヤな気持ちが広がってきた。 

 この「フツー」はどういう意味なのか。 

「簡単に」はちょっと違う。当方はWordでテキストボックスを使ったことは数えるくらいしかないし、リンクなんてさせたこともない。ヘルプに従っておそるおそるやってみたらできてしまった、ってとこ。決して「簡単に」ではないけど「とくに問題なく」できてしまった。 

 一般的にこういう使い方があるのだろうか。 

 たとえば通行止めになっていたはずの山道が通行できたとする。 

 これは「フツーに通れた」だろう。 

 逆の場合は「不通で通れなかった」……それが書きたかったのか? 

「とくに問題なく通れた」とほぼ同義だな。ただ「フツーに通れた」だと「いつもどおり通れた」にできるけど、↑の「フツーにできた」は「いつもどおりできた」にはできないな。 

 念のため『大辞泉』をひいておく。「特に変わっていないこと」でいいか。そうなると、フツーに使えそうなんで、とくに懺悔の必要もないか。 

 なら許そう。(←オイ!) 

 

■Web辞書(『大辞泉』から) 

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E6%99%AE%E9%80%9A&stype=0&dtype=0 

================================ 

ふ‐つう【普通】 

[名・形動]特に変わっていないこと。ごくありふれたものであること。それがあたりまえであること。また、そのさま。「今回は―以上の出来だ」「―の勤め人」「朝は六時に起きるのが―だ」「目つきが―でない」 

 

[副]たいてい。通常。一般に。「―七月には梅雨が上がる」 

 

[用法] 普通・普段・通常――「普通(普段・通常)は六時半に起きる」のように、へいぜいの意では相通じて用いられる。◇「普通」は意味の範囲が広く、「どこにでも普通に生えている草」のように、ありふれている、珍しくないの意、「ごく普通の子」「普通科」のように、特に変わりがない・平均的・一般的なの意に使われる。これらは「普段」「通常」は使えない。◇「普段」は、常日ごろの意に重点があり、「普段の力を出せた」「普段の心がけの問題だ」などでは「普通」「通常」は使えない。◇「通常」は文章語的。いつもどおりで特別の事情がないこと・場合をいう。「勤務時間は通常九時から五時までとする」は、「普通」も使えるが、特別の事情があれば変わることもあるという含みも込められている。 

================================ 

 

●バイト敬語/若者言葉のコレクション 

http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1818.html

 

 これもあった。重複かな。

【普通に考えればわからないかな】mixi日記2012年11月05日から

普通においしい〈6〉……確かに言葉はかわっていく

mixi日記2021年06月04日から

 テーマサイトは下記。
【「普通に○○」の意味は?】2021/06/03
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/12393311.html
===========引用開始
「普通に○○」という言い方の意味が分かりません。

例えば「普通に美味しい」とは、どういう意味なのでしょうか?

1.普通程度に美味しい、という意味。
  美味しいと言えば美味しいけど、まぁ普通かな?と言う感じ。
  美味しい度
  普通に美味しい < 美味しい < とても美味しい

2.美味しいが、取り立ててどう美味しいとは言えない。
  どこにでもありそうな一般的な味。でも、美味しいよ、と言う意味。
  美味しい度
  普通に美味しい ≒ 美味しい < とても美味しい

3.単に、美味しいに「普通」が付いただけ。
  美味しい度
  普通に美味しい = 美味しい < とても美味しい

この中に正解はありますか?
無い場合、意味を教えてください。
「普通に美味しい」の意味でもいいし「普通に○○」と言う場合一般の説明でも構いません。
===========引用終了

 懐かしい話やなぁ。
 この問題に関する当方の初エントリーは2011年01月26日。
【普通においしい〈1〉~〈5〉】
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12678533803.html

 この時でさえ、さんざんいろいろな意見を読んでいて、改めて書く気にはならなかった記憶がある。
 いい機会なんで少し書いてみたい。
 何がすごいって、質問のしかたが本格的。もはや古典的なテーマでこういう質問のしかたをされると、ウカツなことは書けない……はずなんだけど。
 例によって主観が並ぶ。なんだかなぁ。
 そんななかで燦然と輝くのはNo.8のコメント。
 辞書も苦労していることがうかがえる。貴重な資料なので、そのまま引用させえもらう。
===========引用開始
>例えば「普通に美味しい」とは、どういう意味なのでしょうか?

「意外に美味しい」「思ったより美味しい」「まあまあ美味しい」「けっこう美味しい」等々。
場合によっては「とても美味しい」という意味だったりします。その場面の状況次第です。

いくつかの国語辞典には、近年の俗な用法・新しい用法として取り上げられています。

■『三省堂国語辞典 第七版』(2014年1月10日)
ふつう[(普通)]
[一](名・形動ダ)
①~④ <略>
⑤〔俗〕〔「普通に」の形で〕
(b)べつに変なところがなく。とても。
 「あの人、普通に歌うまいよね」「このアイス、わたし的には普通においしい」
(b)当然(であるかのように)。
 「あんなことを言われたら普通におこる」「おれが言ったことを、なに普通に忘れてるんだ?」
〔⑤は、二十一世紀になって広まった言い方〕
[ニ] (副)<略>

■『新明解国語辞典 第八版』(2020年11月20日)
ふ‐つう【普通】
[一] <略>
[運用][一]の近年の俗用として、ふつうに」の形で、(1)プラス評価の語に続くとき、その類の中では突出するほどではないにしろ、期待以上に平均水準を上回っていたという評価を下す言い方になる。また、否定的な予想に対し、意外に良い結果が得られた場合にも言う。例、「『あの店の料理はどうだった?』『普通においしかった』」「無口な人だと思っていたが、話してみると普通によくしやべる人だった」(2)動作・行為を表わす語に続くときは、普段どおり変わりなく、という意味で用いられる。例、「きのうは普通通に仕事に出掛け、普通に酒を飲んで家に帰った」
[ニ] (副)<略>

■『明鏡国語辞典 第三版』(2021年1月1日)
ふ‐つう【普通】
[一]〔名・形動〕
① 他の同種のものとくらべて特に変わった点がないこと。特別でなく、ありふれていること。「ごく普通の考え」「普通とは違った印象」⇔特殊
②〔新〕《「普通に」の形で》ありのままであるさま。正直なところ。「普通においしい」「『あれ、どこから出てきた?』『普通に店から』」
[使い方](1)この「普通に」は、状況によって「意外に」「思ったより」「まあまあ」「ただ単に」などさまざまな意を表す。(2)会う約束をした人が来ないので連絡をとったところ、「ごめん、普通に寝てた」と謝るなどの場合は、「特別な理由があったわけではなく、単に寝ていたのだ」「そんなつもりもなく、寝ていたのだ」といった意を表す。
[ニ] 〔副〕<略>
===========引用終了

 No.9で『大辞泉』をひいている人もいる。でも肝心のところは作文(しかも相当ヘン)。
 しかたがないよ。ひいているのは例によってパチモンだから記述が古い。なんの参考にもならない。せっかくパチモンはダメだと教えてあげたのに、学習能力ゼロ?
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12616971831.html

 新しい『大辞泉』の記述は下記。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%99%AE%E9%80%9A/#jn-193346
===========引用開始
ふ‐つう【普通】 の解説
[名・形動]特に変わっていないこと。ごくありふれたものであること。それがあたりまえであること。また、そのさま。「今回は普通以上の出来だ」「普通の勤め人」「朝は六時に起きるのが普通だ」「目つきが普通でない」
[副]
1 たいてい。通常。一般に。「普通七月には梅雨が上がる」
2 (「に」を伴って)俗に、とても。「普通においしい」

[補説]2は、「普通におもしろかった」のように、称賛するほどではないが期待以上の結果だったという意味合いで、肯定的な表現と組み合わせて2000年代から用いられるようになった。 
===========引用終了

 ちゃんと俗用の「普通に」のことが書いてある。
 ただ、「2000年代から」は疑問。↑の〈1〉でひいた平野啓一郎のブログは2006-11-30。世間で使われはじめたのは、当然それより前。たしかな根拠はないが、前世紀末(すごい響きだな)から使われているのでは。
 こういうのは調べにくい。「普通に使われる」のような例との区別がつかない(泣)。

 こういう「従来の意味」に加えて「新し目の意味」が加わった言葉は要注意だろう。
 まず、「言葉変わっていくもの」ってのは事実だとは思う。でも安易に同調する気にはなれない。
 このテーマは何度か書いているので、下記を引用して逃げる。(←オイ!)
【「ウチの奥さん」の是非 言葉はかわっていくものだから……?】
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12397014034.html

 もうひとつ注意しなければならないのは、派生形のこと。
 新しくて便利な使い方が出てくると、日本語を知らないヤツほど飛びついて、微妙に違う使い方がドサドサ出てくる。そのため、使った人を問い詰めない限り、どういう意味で使っているのか真相はわからない(泣)。
「大丈夫」あたりが典型だろうか。
【「大丈夫ですか」考 日本語〈1〉~〈3〉】
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12365585116.html

 必要性皆無の「(さ)せていただきます」、ほぼ誤用の「ご利用いただけます」あたりの蔓延ぶりも頭が痛い。
 本題の「普通に」の新しい使い方の場合、本来はどういう形だったのだろう。
 おそらく、初期は質問者の「3.」だったと思う。これは平野氏のブログから推測するしかない。
 〈4〉からひく。

【「普通においしい」 - 平野啓一郎公式ブログ】
http://d.hatena.ne.jp/keiichirohirano/20061130/1164869939
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ところが、2)3)になってくると、ちょっと違ってくる気がする。
 2)の場合、「好き」の度合いが云々ではなく、気持ちのありようって気がする……これじゃ何を言ってるかわからんだろうな。
 いいかえるなら、「自然体で好き」。「同情でもなく」「ヘンな含みもなく」「純粋に」くらいの気がする。テーマサイト&トピ「1」のリンク先からひく。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C9%E1%C4%CC%A4%CB
================================
若者言葉。スラング。「フツーに」
お世辞でなく、含みなく、保留なく。
「当然のごとく」、「自然と」というニュアンス。
以下のように、フツーにみんな使ってる言葉です。
用例
「フツーに好きなだけ」(北川景子・2009年、月9ドラマ「ブザー・ビート」)
「この料理、フツーにおいしい」
「今朝、フツーに雨が降った」
================================

 これは普通においしい〈3〉──「普通においしい」「普通に可愛い」http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1666477246&owner_id=5019671でひいた平野啓一郎説にも通じる。
【平野啓一郎説】========================
 あとは、「普通においしい」という言い方もそうですね。これも意味が分からないという人がいますが、どうしてでしょう? たとえば、ブルーチーズを食べたとき、人は、「クセがあるけどおいしい」という言い方をします。そんなふうに条件や留保をつける必要のある食べ物とは違って、ストレートに、一般の誰もが「おいしい」と同意するであろうような味の食べ物(あるいはその水準に達している食べ物)を食したときに、現代人は「普通においしい」と言うわけです。
================================
「好き」の場合だとわかりやすいかもしれない。「同情とかではなく好き」「財産目当てじゃなく好き」(いつの時代だ?)という感じで、ヘンな含みがなく好きってことだろう。本来の「普通に」に近いかもしれない。「自然体の普通」と呼ぼう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「自然体の普通」は、質問者の1.~3.にはない。
 あえて言うなら3.に近かもしれない……ってこと。
 語弊があるかもしれないが、あってもなくてもほとんど意味がかわらない「普通」。
 これが原形の気がするが、現代で使われる「普通」は1.か2.が多いのでは。と言うより、ビミョーすぎて、1.か2.かはわからない。

1.普通程度に美味しい、という意味。
  普通に美味しい < 美味しい < とても美味しい
 個人的にはこれが一番素直な気がする。

 ↑「参考資料2」に出てくる不等式?に近い。
かなりおいしい>普通においしい≧おいしい>普通>あまりおいしくない
「普通においしい≧おいしい」だから、質問者の2.と同じとも言える。

 もっと話をコジれさせると、「普通においしい」は「とてもおいしい」と解釈することもできるらしい。個人的にはこの解釈はナシだが、No.8のコメントに下記のようにある。(b)は(a)だろうな。
===========引用開始
■『三省堂国語辞典 第七版』(2014年1月10日)
ふつう[(普通)]
[一](名・形動ダ)
①~④ <略>
⑤〔俗〕〔「普通に」の形で〕
(b)べつに変なところがなく。とても。
===========引用終了
 当方がひいた『大辞泉』にも〈2 (「に」を伴って)俗に、とても。「普通においしい」〉とある。
 こうなってくると、話はグチャグチャ。
 何が大元で、何が派生形で、何が主流で、何が亜流なのか……。
 そんなことは言葉の神様しかわかりません(泣)。

 

 

【20221223追記】

〈7〉扱い
いつから使いだした言葉でしょうか? goo

 

 やはり前世紀から使われているらしい。

 

 

【20230202追記】

〈8〉扱いモロッコ普通に上手い

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ブログランキングに参加しています。
下のアイコンを押してもらえると励みになります。たぶん。
とってもうれしいです。
※やはり「うれしいです」は美しくない。
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12282289501.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━