主語の省略 | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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日本語アレコレの索引(日々増殖中)【25】
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mixi日記2021年05月20日から

 テーマサイトは下記。
【お願いいたします。】2021/03/25
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/12274802.html
===========引用開始
日本語の主語について、質問があります。
例えば誰かに「先日起きた事件について、少し思うことがある。それは、、、ということだ。」という文章をメールで送るさい、「私は」をいれ、「先日起きた事件について、私は思うことがある。それは、、、ということだ。」としても、個人的には意味は同じだと思いますし、少しくどいかも知れませんが、後者の方がより正確に情報を伝えていると思います。
また、同じくメールで誰かに「単位のことで、君に聞いたことがあったと思うが、、」という文章に、「私が」をいれ、「単位のことで、私が君に聞いたことがあったと思うが、、」としても、意味は同じで、後者の方が正確に情報を伝えていると思います。
私は日本語を専門にしている訳ではなく、単にくどくても、正確な情報を伝えたい意識がとても強い為、できることならば、それぞれ挙げた例文の後者のように「主語」を入れたくなってしまいます。
しかし、日本語を研究されている金谷さんという方が御自身の論文「日本語に主語はいらない」の中で、
主語を明記することで、他の意味を作りうる、として、主語をいれるのは間違いである、とされています。

私は上記の例文のように、くどくとも、主語をいれたいのですが、この方の主張(論文の一部)を読み、入れてはいけないのかと気落ちしています。
一方で、入れないと気が済まない性格です。

どちらでも良い、と言われればその通りだと思いますが、主語があっても良い、ということを言われている方の書籍、論文がありましたら、教えて頂けると幸いです。
よろしくお願いいたします。

私が指摘した論文のページは写真で添付させていただきます。

質問者からの補足コメント
写真が見にくいようなので、補足で論文に書かれている内容を記します。おおよそ、以下の通りです。

「サバをさばいた」に例えば「我々は」をいれてしまうと、「我々はサバをさばいたが、彼らはどうなのか?」、他にも、「何故昨日来なかったのか?」に「あなたは」をいれてしまうと、「彼らは来たのに」という別の意味が発生してしまう可能性があり、主語を記すのは正しくない、ということらしいです。

補足日時:2021/03/25 13:07
御回答ありがとうございます。
また質問を2つ失礼します。
1.金谷氏の言う「主語を明確にすることで、他の意味が生じうる」というのは、その会話に他の人が、当人がその場にはいなくとも、会話の脈絡には存在する場合、ということが言えるでしょうか?

2↑であるとすれば、ラジオの人生相談に相談を送る場合、「この度、夫婦関係について、ご意見をお伺いしたことがあり、(私が)メールを送らせていただきます。」といった内容であれば、(私が)と入れたところで、他の意味が生じうることはまずないと思うのですが、如何思われますか?
この際、くどいから駄目だ、といったことはなしでお願いします。
===========引用終了

 コメントを回収する。

No.5

回答者: 1311tobi 回答日時:2021/03/26 22:22
>私は日本語を専門にしている訳ではなく、単にくどくても、正確な情報を伝えたい意識がとても強い為、できることならば、それぞれ挙げた例文の後者のように「主語」を入れたくなってしまいます。

 それはそれでひとつの考え方だと思います。好みの問題でしょう。
 ただ、そういう書き方はクドいと思いますし、一般には稚拙な文章と考える人が多いと思います。
 複数の人物が出てくる物語なら別ですが、通常のやり取り(たとえばこのサイトの質疑)では、とくに断わりがなければ、主語は「私」です。だからあえて書く必要がないことが多いのです。別に書いてもかまいません。
 逆に言うなら、主語は「私」でないときにだけ、そう明記すればよいでしょう。

 金谷氏が主張しているのは、「日本語に主語はいらない」です。いいかえるなら「日本語は必ず主語が必要なわけではない」「日本語には主語(という明確な概念)がない」ということだと思います。
 引用してくださった論文が読めないので補足コメントから引用します。

>「サバをさばいた」に例えば「我々は」をいれてしまうと、「我々はサバをさばいたが、彼らはどうなのか?」、他にも、「何故昨日来なかったのか?」に「あなたは」をいれてしまうと、「彼らは来たのに」という別の意味が発生してしまう可能性があり、主語を記すのは正しくない、ということらしいです。

 これは、「我々は」を入れてしまうと「ハ」には対比の働きがあるので、「ほかの人は……」の含みが出てしまうということでは。実は「ガ」にも似たような働きがあります(こちらは「対比」ではなく「排他」 or 「総記」と呼ばれます)。
 ほかでもない「〝あなたが〟○○した」と書くと、「ほかの人はどうだった」「ほかのひとがしたのは何?」という含みが出てしまうということです。
 でも多くの場合、そのあたりは文脈でわかるので、あまり意識する必要はないはずです。「含み」が出てしまうだけで〈別の意味が発生してしまう可能性〉はめったにないのでは。
 
 ハの働き(対比)に関して詳しくは下記をご参照ください。
【これならわかる!? 助詞の「ハ」の使い方  教えてgoo】
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12285486151.html
 ガの働きに関して詳しくは下記をご参照ください。
【チャレンジ日記 「は」と「が」12)?】 総記のガ(排他のガ) 対比のハ
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12429402539.html

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