日本語の正しい方はどちらですか にくい づらい | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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 主として日本語関係のことを書いています。

https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9084452.html


質問の内容。
==============引用開始

①トイレの水が流れづらい
②トイレの水が流れにくい
どちらが正しい日本語なのでしょうか。
教えてください。

==============引用終了

 

No.7

  • 回答者: 1311tobi
  •  
  • 回答日時:2015/10/14 20:49

どちらも「間違い」ではありません。

 

 どうやら、「〜にくい」はたいていの場合OKのようです。
「〜づらい」は不自然なことがあるようです。
 ↑の場合、「流れづらい」をどの程度不自然に感じるのかは、個人差がありそうです。
 No.5のコメントが多くの示唆を含んでいる気がします。

 詳しくは下記をご参照ください。
【【難い(がたい) 辛い(づらい) にくい 教えて!goo】辞書〈2〉(仮)】
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12084207604.html
 以下は一部の抜粋(重言)。

 非常に多くの示唆を含むので、細かく見ていく。 
〈個人的には「~づらい」は心理的・主観的な要因を伴う場合に使うもの〉 
 という考え方には説得力を感じた。ただし、では「~にくい」は物理的・客観的な要因を伴う場合に使うのか、と短絡的に考えるのは危険だろう。 
「主観・客観」の話はだいたいホニャララになる。 
【”大きい犬”と ”大きな犬”とは、どのような使分けをすれば良い、のでしょうか?】 
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9075399.html 

 まず出てくる例文は「バスが遅れ{△づらい/にくい}」。 
 こうなる理由は、よくわからない。詳しくは後述。 
 以下、参考資料が3つ出てくる。やはりちゃんとした文献があれば、少しは前進できる。 

「参考1」は表記の問題。個別の記述を並べてみても、何も発見はないだろう。出てきた用例は基本的に両方OKだろう。 

「参考2」は『言葉に関する問答集 総集編』。 
〈中に「づらい」の語釈に、「その動作が苦痛を伴ったり困難である意を表す」となっているもの〉があるって、カッコでくくるなら、ちゃんと原典を示してもらえませんか、文化庁さん。 
 例文が2つ出てくる。 
「通り{△づらい/にくい}車イス」(〈心理的に苦痛を伴う場合だったら〉「づらい」) 
「燃え{△づらい/にくい}」(「づらい」は〈心理的な抵抗を感じるとき〉) 
  
「参考3」は『明鏡国語辞典 第2版』。 
「壊れ{× づらい/にくい}」(「~づらい」は非意図的動作には使いにくい) 
「(個人的な事情や気持ちから)入りづらい大学」 
「(個人的事情で、または倍率が高くて)入りにくい大学」 
「× 雨が降りづらい」(自然現象をあらわす動詞) 
「× 冷えづらい冷蔵庫」(非意図的な動詞には付きにくい) 

 下記は個人のブログだが、いいところをついている気がする。(←何様) 
【~がたい、~にくい、~つらい】 
http://meew.air-nifty.com/diary/2007/11/post_131 … 
〈「~づらい」は心身的苦痛を感じる状態に用いる〉は、そんな気がする。 
〈「~にくい」は客観的状態を表わす〉はどうなんだろう。こう書いてしますと、〈「~づらい」は主観的状態を表わす〉ということになりかねない。それはちょっと違うと思う。 
『明鏡国語辞典 第2版』にあるとおり、「~にくい」はどちらに〝も〟使うのだろう。 
「~にくい」は意図的・非意図的のいずれの動きにも使う。 
「~にくい」は客観的な理由による困難さも表す。 

 役に立ちそうな例文を多少加工して、もう一度並べる。 
1)燃え{△づらい/にくい}薪 
2)バスが遅れ{△づらい/にくい} 
3)通り{△づらい/にくい}車イス(〈心理的に苦痛を伴う場合だったら〉「づらい」) 
4)燃え{△づらい/にくい}(「づらい」は〈心理的な抵抗を感じるとき〉) 
5)壊れ{△づらい/にくい}(「~づらい」は非意図的動作には使いにくい) 
6)×雨が降りづらい(自然現象をあらわす動詞) 
7)×冷えづらい冷蔵庫(非意図的な動詞には付きにくい) 

 6)7)は「にくい」が使えるのだろうか。 
 6)は「雨が降りにくい」は、論理的にはアリだけどなんかヘン。 
「陽があたりにくい」ならアリかもしれないが、通常は「陽があまりあたらない」「陽あたりがよくない」と言うのでは。 
 7)は「冷えにくい冷蔵庫」は、論理的にはアリなのだろうか。ちょっとヘンな気もする。 
「熱をもちにくい素材」「電気を通しにくい素材」あたりなら自然に感じるけど。 

 さて、1)~5)を確認する。 
 たいていの場合はどちらも使えるが、1)~5)のようなときは、「~づらい」は使いにくい。いつでも「使えない」ではないので、むずかしい(泣)。 
「~づらい」が使えるのは心理的な要因が絡むとき……という傾向がありそう。 
「~にくい」は一部の例外以外は使える。 
 むずかしいことはわからないが、個人的な方針は決まった。 
 基本的に「~にくい」を使っておけば間違いない。「~づらい」はよほど自信がもてるときでなければ使わない(笑)。 

 さて、本題に関して。 
①トイレの水が流れづらい 
②トイレの水が流れにくい 
 どちらも「間違い」ではないだろう。 
「流れにくい」なら、どこからも文句がつかない。 
「流れづらい」が自然か否かは微妙。 
 個人的にはOKだと思うが、論理的に考えると、△なのかもしれない。×なのかもしれない。関知したくない。 
「×冷えづらい冷蔵庫」の仲間なのか、「△壊れづらい冷蔵庫」の仲間なのか……言葉の神様に訊いてください。 

 これが「水を流し{づらい/にくい}」ならどうなるか。 
「流しづらい」は、論理的にはOK。なんらかの事情があって「心理的に困難なら」なのだろう。これもあまり関知したくない。 

「はがれ{づらい/にくい}壁紙」 
 非意図的だけど「~づらい」もOKだろう。 
「はがし{づらい/にくい}壁紙」 
 こっちは意図的だから問題なし? 心理的な問題ではなく、単に物理的な場合もあると思うけど。 

 あと、『言葉に関する問答集 総集編』にあるらしい〈接尾語としての「にくい」は早くから見えるけれども、「づらい」の方は、遅く採録されている〉という記述も気になるが、むずかしくなりそうなのでパスする。

 

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