重文&複文 と 接続助詞 と デス・マス体の関係 | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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日本語アレコレの索引(日々増殖中)【17】
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mixi日記2016年04月19日から

 テーマサイトは下記。
【~が、~ですが、~けど、~ですけど】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9245607.html
==============引用開始
私が日本語を教えている学生がよく使う言葉について質問します。

1.日本語は難しいが、がんばります
2.日本語は難しいですが、がんばります
3.日本語は難しいけど、がんばります
4.日本語は難しいですけど、がんばります

2~4は問題ないと思いますが、
1だけは、目上の人に使うと失礼な感じがします。

2と4は「ですます」形なので、どちらも丁寧な表現だと説明できますが、
1と3の違いについては、どのように説明すればよいのでしょうか?
==============引用終了

 昔けっこう悩んだテーマを思い出してしまった。
 まず、質問に対する回答から。

 どれも間違いではない。
「が、」「けど、」の前後に文があり、「2」「4」は両方をデス・マス体にしている。「1」「3」は後半だけデス・マス体にしている。当然、「2」「4」のほうが敬度が高い。後ろだけデス・マス体にした「1」「3」は敬度が低く、ちょっとラフな感じになる。
 質問者が、「1」だけが「目上の人に使うと失礼な感じ」としている。
 これは、「1」と「3」は同じようなものなので、「1」がXなら「3」もXになる。
 ……というのが模範解答だろうか。

 もう少し付け加えるなら……「が、」と「けど、」だと、前者が書き言葉的(文語体とは別物)で後者が話し言葉的(口語体とは別物)。「が、」は 書き言葉的なので、前半のデス・マス体を省略したラフな感じとはちょっと相性が悪い。どういうときに使うのか想起しにくい。「3」は割に親しい先輩なんか に使うなら何も問題がないだろう。

 ここから先は主観に走る。
 個人的には、「1」は↑のような理由で不自然に感じる。一般には許容されている「2」「4」は相当気持ちが悪いので自分では使わない。でも日本 語学習者に「形容詞+です」の形をXにするのはムチャだろう。「の」を入れればOKなんだが、「4」に「の」を入れると別の問題が出てくるような。
【「形容詞終止形」+「です」 うれしいです うれしかったです】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2417.html

 ということで、厳密に考えるなら、下記になる(あくまでも個人的な主観)。
1.日本語は難しいが、がんばります     →△
2.日本語は難しいですが、がんばります   →△
  日本語は難しい(の)ですが、がんばります  →◯
3.日本語は難しいけど、がんばります    →◯(ケース・バイ・ケース)
4.日本語は難しいですけど、がんばります  →△
  日本語は難しい(の)ですけど、がんばります →△

 さてここからが、昔考えたこと。
 重文(&複文)とデス・マス体の関係。
 重文(&複文)とは何か、と考えると話が長くなるので、2つの文をつなげた文くらいにしておく。
 下記が簡潔かなぁ。
【単文とは・重文とは・複文とは】
http://www006.upp.so-net.ne.jp/inamoto/writing/yohgo/tanbun.html

 で、2つの文をつなげるのは、たいてい接続助詞だろう。
 多くの接続助詞は、2つの文を両方ともデス・マス体にするとクドい印象になる。
 なんでもよいのだが、かの有名な「から/ので/ため」で見てみる。ちなみに、〈「から」が主観、「ので」が客観〉と主張する人が多いが、デス・マス体(当方のマシンでは「でま」で単語登録されている)ではなくデマだと思う。
【「だから」「なので」の違い【1】~【7】  「~から」「~ので」「~で」「で」「から」「ので」】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1680.html
1)電車が遅れたから、遅刻しました
2)電車が遅れたので、遅刻しました
3)電車が遅れたため、遅刻しました

 このあたりは、前の文をデス・マス体にしないほうが自然だろう。もちろん下記のようにしても間違いではないが、個人的には何か事情がない限りこんな書き方はしない。
1)-2 電車が遅れましたから、遅刻しました
2)-2 電車が遅れましたので、遅刻しました
3)-2 電車が遅れましたため、遅刻しました

 これは、前の文がまだマシなのは「遅れる」という動詞だったから。形容詞だともっと悲惨なことになる。
4)おいしかったから、食べすぎました
5)おいしかったので、食べすぎました
6)おいしかったため、食べすぎました
4)-2 おいしかったですから、食べすぎました△
5)-2 おいしかったですので、食べすぎましたX
6)-2 おいしかったですため、食べすぎましたX

 4)-2は「です」がついてもかろうじて△(理由は不明)だけど、ほかはXって気がする。
 これが、逆接の接続助詞だと、前の文をデス・マス体にしてもさほどおかしくない。
 ただ、「おいしいです」はイヤなので「の」を入れる。「ん」のほうが自然かな。
7)電車が遅れたけど、ギリギリ間に合いました
7)電車が遅れましたけど、ギリギリ間に合いました
8)電車が遅れたが、ギリギリ間に合いました
8)電車が遅れましたが、ギリギリ間に合いました
9)おいしいけど、もう食べられません
9)おいしい(の/ん)ですけど、もう食べられません
10)おいしいが、もう食べられません
10)おいしい(の/ん)ですが、もう食べられません

 昔、理由を考えたけど、結局わからなかった。
〈逆接だと文の独立性が高いのかも〉と考えてサジを投げた。
 ただ、理由がハッキリしなくても、こういう傾向はあると思う。
 もっとも逆接の接続助詞は多数あるので、前の文をデス・マス体にしにくいものもある。気になる方はお調べください。
【接続詞(っぽい言葉)の役割──順接/逆接/並列・追加/対比・選択/説明・補足/転換】 【20130314改定版】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2727.html




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