応募者全員{ガ/ニ}もれなくもらえる〈2〉 | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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日本語アレコレの索引(日々増殖中)【16】 

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1945401266&owner_id=5019671 


mixi日記2016年月日から 


 直接的には下記の続きだろうな。 

【応募者全員{ガ/ニ}もれなくもらえる〈1〉】 

http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12126879195.html 


 質問者の補足。 

==============引用開始 

どうやらNo.12の回答は的を射ているようですので 

できれば「もらえる」に近い言葉 

例えば「受け取れる」「得られる」などを用いて 

この質問の回答として 

もう少し分かりやすく解説していただけないでしょうか? 

回答のように「読める」だと「違う」感が拭えず受け入れられませんので 


「応募者全員にもれなく得られる」 

ん~やっぱり気持ち悪い 

==============引用終了 


 質問者のお礼コメント。 

==============引用開始 

「子供ニ ボールが受けられる(こと)」「子供ニ(も)読める本」 

この場合「子供にだって」「子供にさえ」ということですよね? 

質問の文にはそのような要素は一切ありません。 

==============引用終了 


 そうか。たしかにそうだな。 

「太郎ニ読める古文書」や「子供ニ受けられるボール」をできるだけ自然な文にしたくて(も)を加えたけど、元の例文には(も)は加えにくい。勇み足かも。 

 そうこうしているうちに、「okwave」にも同様の質問が出た。 

【購入者全員にゲットできる】 

http://okwave.jp/qa/q9125920.html 

 こういうケースはたいてい同じ質問者によるマルチポストなんだが、今回は違うみたい。困った。 


 いろいろ考えるに、「ニ」が使えない例がかなりありそう。 

 いままであがった例で考えてみる。(も)は外し、変形した形で考える。元の形だととにかく異和感が強くて。 

 すべて「ニ」よりも「ガ」のほうが自然、というのは大前提。 

 異和感が強いものはX、これならかろうじてアリのものは△にする(Xでもいいかも)。 


【1】X 応募者全員ニもらえるプレゼント 

【2】◯ 太郎ニ読める古文書 

【3】◯ 子供ニ受けられるボール 

【4】◯ 子供ニ受けられる試験 

【5】△ 購入者全員にゲットできるクーポン 


 質問者から提案のあった「受け取れる」「得られる」と、当方が考えたものを加える。 

【6】△ 応募者全員に受け取れるプレゼント 

【7】△ 応募者全員に得られるプレゼント 


【8】◯ 子供に受け取れる宅急便システム 

【9】△ 太郎ニ泣ける話 

【10】△ 太郎ニ笑える話 


 こうして並べても何がなんだか……。「可能動詞」であっても、異和感の程度には大きな差がある。 

 もしかすると、質問者のお礼コメントにヒントがあるのかも。 

「◯◯にだって」「◯◯にさえ」「○○でも」etc.……のニュアンスのあるものは◯なのでは。 ↑で◯のものは、全部そういう傾向にある。

「もらえる」が受動的だからかとも考えたが、能動的な「ゲットできる」にしても異和感がある。 

【6】と【8】を見比べると、同じ「受け取れる」でも異和感の程度が違う。【8】が「子供にだって」のニュアンスになっているからではないだろうか。 

 ……ってことにしてもらえないかな。 


 疑問は残る。 

1) 【1】が「子供ニもらえるプレゼント」ならOKなのか。語感的にはX。ただ、「子供にだってもらえるプレゼント」と言えなくはない気がする。 

2) 【9】が「感性の鈍い太郎ニ泣ける話」ならOKなのか。語感的にはX。ただ、「感性の鈍い太郎にだって泣ける話」と言えなくはない気がする。




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