心の深いところで、静かに悲しんでおられる方がいました。
その方は、すべてを一人で背負い、誰にも弱音を吐かず、ただ懸命に生きてこられた方でした 。
長く続くご家族の介護。
身も心も、もう限界に近い状態だったのでしょう。
「どうか…元気になりたいです」
その一言を聞き、加持をさせていただくことになりました。
しばらく身体に触れ、気を感じてみましたが、いわゆる邪気のようなものは感じられません。
これは祓うものではない。
そう感じ、早めに読経へと入りました。
背中にそっと手を当て、般若心経を唱え始めます。
その瞬間…バリバリバリバリッ!
バリバリバリバリッ!
まるで電気が走るような感覚が、全身を突き抜けました。
「 響いた」
そう感じ、さらに力を込めて般若心経を三遍唱えました。
精一杯の光を感じながら…
すると御依頼の方の身体が、ゆっくりと後ろへ 、後ろへと倒れてこられます。
祈りが届いたとき、人の身体はとても正直に反応します。
加持を終え、静かに手を離しました。
するとその方は、驚いた様子でこう言われました。
「私、加持の間ずっと浮いていたんです。
それから今、目の前がとても明るくなりました!」
加持が深いところに届いたとき 、閉じていたものがふっとほどけ、また光が戻る。
加持は、その方の内にある力が再び動き出す“きっかけ”として働くこともあるのでしょう。
帰り際、その方の背中は、来られた時よりも少し軽く見えました。
祈りというものの不思議さを、改めて感じさせていただいた一日でした。
そして改めて、般若心経の力を強く強く感じられた日でした。

