今日…、神から能力が与えられる日。
能力で、人生が大幅に変わると言っても過言では無い。
だから、
(きっとこの日が一番人生の中で一番に、大切で、大きい物だろう…)
なんて考えて
一歩、また一歩と、歩き始める。
王国の教会はまるでお城のようで緊張感がヤバイ…。
カチコチに固まった足をブリキの錆びたおもちゃのようにゆっくりと動かして、扉の前に立った。
そっと扉に手を触れて、少しずつ力を入れていく
『うおお…』
思ったよりも重い…
ギィ…
『ぬおおおお…!』
バタン!
勢い余って扉を叩きつけてしまう。
人の顔がこっちを向いていた。
少し口には笑いがこもっていた気がする。
恥ずかしくて顔が赤くなったような気がして
地面を見て駆け足で向かった。
わぁぁ!
ここが僕が能力をもらう教室…!
少し埃っぽい気もしたけれどそれはきっと古いからだろう。
ステンドグラスの明かりがホッとさせるような。
緊張感を持たせるような。
よく分からないけれど
なんだか凄い感じがした。
ブリキのように足を動かし、なんとか席に着く。
教室は、ザワザワとした雑談と緊張感に溢れている。僕はその中で想像と妄想で頭をいっぱいにした。
僕が能力を発動させるとどんな悪い奴も
捕まえてしまう姿
どんな悪い奴も降参する姿
誰も僕に勝てない姿
色々な姿を考えた。
想像と妄想を繰り返してしばらくすると
祭壇に誰かが、来た。
黒いローブに包まれた大体僕らと同じくらいの
身長。男性か女性かよく分からないほどにフードを深く被っている。見えるのは口のあたり…だけ
口が開くのが見えた。
『能力を授かる前に能力についてどれほど知っているのかの確認をします。』
『それではNo.コード1から順に聖書の通りに答えてください。』
僕はNo.コード3だな…!
大丈夫だ!聖書を徹夜してまでずっと読んでたんだから!完璧なハズだ!
能力は、神から授かる。
そして
能力は心が綺麗な物にしか与えられない。
そして
能力は最高クラス、普通クラス、最弱クラスに分けられる。
(大丈夫大丈夫)
能力は、一人につき一つしか与えられない。
二つ以上の能力を手に入れようとした者は
神の捌きを受け死んでしまう。
(次が僕の番だ落ち着け〜)
え、えっと…悪い事に能力を使うと…?
………
神は怒り……
雷がその者に落ちる。……
そのときに能力は消えて…しまう?
(ヤバイ綺麗に読めなかった。)
(一人だけだし…)
(気にしない気にしない。)
『それではNo.コード1から順にこちらへきてください。』
少し時は経ち、僕の番がやってきた。
黒いローブの人について行くと目の前に十字架があった。
ステンドグラスの暖かくもあり冷たくもある光に
照らされて、神秘的でもあって幻想的でもある。
『祈りを捧げよ』
能力は祈る事で神様と自分の心を繋ぐ。
繋ぐ事で、神様に自分の心が、
能力を与えるのがふさわしいか決められる。
僕は心の悪を出し、良い者を取り入れるかのように深呼吸をし、姿勢を正し膝をつく。
そして祈る。
ふわりと浮いた気がした。
瞬間
何も感じなくなる。
ここは何処だろう?
水の中?それとも雲の中?
何をしていたのだろう?
目を開ける。
すると、ぼやけたものが見える。
それは
ゆっくり見えるようになる。
気づくと十字架の前にいた。
黒いローブの人はびっくりしたような顔をしていた。
だからこそすごい能力を授かったのだろうと僕は期待した。
しばらくして黒いローブの人がやってきた。
そしてコホンと、咳払いをし
『それでは、能力が何を授かったのか検査をします。明日来てください。』
家にスキップしながら帰った!
ワクワクする!
はやく、はやく!
時間よ!
祈りを捧げたときの
ローブの人の顔を思い浮かべる!
あんなに驚いてたのだから!
ワクワクしすぎて
眠れない夜を過ごした。
スキップしながらまた行く。
昨日重いと思った扉も今日は軽々とあけられた。
誰よりもはやく席に着いた。
そして時を待った。
少ししてみんなが集まってきた。
そのあと黒いローブの人…ではなく
白いローブの人が祭壇にやってきた。
『検査をします。コード1の方から順にこちらへ来てください。』
僕は緊張と期待が高まってドキドキと
心臓の音が聞こえた。
しばらくして僕の番がやってくる。
僕は白いローブの人の言った通りの事をした。
まぁ、『落ち着いてください。』
って何度も言われたけど。
その後白いローブの人はコード順に
紙を渡していった。
どうやらあの紙に能力が
書いてあるようだ。
手に取った人が驚きを隠せてなかったり、喜んでいたりするのはそのせいだろう
コードは、3のはずなのだが先に4が呼ばれた。
『えっ!?』
僕はそう思わず言ってしまった。
みんな、手元に夢中で気付かなかったようで
僕の声は何処か遠くへと消えてしまった。
その後みんなに白いローブの人が解散だと伝えた
そして、僕のところに来て
『あの、少し良いですか?』
と聞いてきた。
あ、良いですよ。
個別とはこれは、勇者みたいな感じとか!?
それともチートな能力!?
期待は高まった。
しかし、能力の検査は期待を裏切った。
『……。』
暫しの沈黙。
思い切ったようにその人は言った。
『あなたの能力は…無いんです。』
『へ?』
『……えええええええっ!?』