MTVアンプラグド (MTV Unplugged ボブ・ディラン 95年) | のすたるじあJAZZ喫茶へようこそ

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記憶の彼方のレコード棚から、忘れかけてた演奏を、一枚ずつ取り出して聴きなおす・・・

MTVアンプラグド (MTV Unplugged ボブ・ディラン 95年)
ボブ・ディランのライブ盤が3枚続きますが、25歳のダブリンの瑞々しさ、35歳の「激しい雨」のパワーに比べると、54歳のアンプラグドは、良くも悪くもここまでの「時間」というものを感じさせられます。

アンプラグドという企画は、クラプトンのようにエレキでガンガンやっていたアーティストが生ギターを抱えた時にどんなパフォーマンスを聞かせてくれるのか、といったところに妙味があるので、もともとアンプラグドでやっていたディランの場合はそれほど新鮮さがあるわけではありませんが、それでもデビューから30年以上たってこうした演奏が遺されたことにはともかくも感謝すべきなのでしょうか。

枯れた味わいという見方は確かにできる、しかし声も歌い方も変わってしまい曲が始まってから暫くたたないとわからない「時代は変る」や、元の曲の魅力がどこかへ行ってしまったような「ライク・ア・ローリング・ストーン」、棘が抜けて気楽な感じさえ漂う「廃墟の街」などを聞くと、本当のディランはこんなんじゃないぞ、という声があちこちから聞こえてくるようです。
一方で、日本版のみのボーナストラックという「ラヴ・マイナス・ゼロ/ノー・リミット」のしみじみとした歌はこの盤ならではのものだし、あまりアンプラグドらしくない「ディグニティ」のノリの良さも心地よいものです。
そして何より、30年前の詩を一語ずつ噛みしめるように歌う最後の「神が味方(With God on Our Side)」は、宗教的な感情さえ漂う感動的な名演だと思います。

もし神が味方なら、次の戦争を止めるだろう・・・