新宿のジャズ喫茶&バー DUG が27日に閉店となった。
いまも貴重な昭和のジャズ喫茶的空間が残ってるというのでその間際に行ってみたところ、地下へ降りる階段のみならず前の歩道にも待ち行列ができている状態だった。
だが、そこが数十年前に自分が行ったことのある DUG なのかどうか、お恥ずかしい話だが残念ながら確信が持てなかった。
そこであらためて調べてみると、まず DIG が 1961年(昭和36年)にALTA裏アカシアの3階でスタートし、最新のジャズをじっくり聞かせる店として人気を呼んだ後、1967年に DUG が、店内での会話が可能で酒を飲みながらジャズを楽しめる姉妹店としてオープンしたという。
ただしこの時は新宿紀伊国屋の裏の地下の店舗で、さらに1977年に靖国通り沿いの3階建てビルに新しく new DUG がオープン、これが87年および2000年と移転して今の新宿靖国通り沿いの地下に落ち着いたということらしいのだが、そうなるとかつて店主が訪れたのはどこの何という店だったのか・・・
店内の雰囲気についてはおぼろげな記憶というか印象が残っているものの、それがどの場所のどんなビルだったかは思い出せるはずもなく、いずれにしてもこのたび閉店となった店舗だった可能性は低いのだと思う。
ところで、今も残る吉祥寺のジャズ喫茶を再訪してみた時の感覚で言えば、確かに同じ場所の店の中の同じ椅子に座ったとしても、若い頃にいくらかの緊張感をもってドアを開け、聞こえてくるジャズに感覚を研ぎ澄ませていた頃の空間がそのものとして甦るわけではない。
それはもちろんこちらが年を取ったということもあるけれど、流れる音楽も全てが教科書のように思えていた70~80年代とは違って幅が広くなってきているし、空間を共にする客たちの醸し出す雰囲気も当時とはずいぶんと変わっているからだ。
それでもその店が物理的になくなってしまうのは残念なことに違いなく、特に DUG はジャズ写真家の中平穂積氏が “音楽・写真・空間” を一体で楽しむスタイルとして磨き上げ、穂積・塁両氏によって守られてきた空間としてのDNAの濃さというものがあるだろう。
であればこそ逆に、レコードや再生装置だけを引き継いでどうにかなるものでもなさそうだが、目下新たな店舗探しに奔走中ということなので、またどこかでの復活を期待したいと思う。