まず上記のイラストが『正中神経』です。
神経根はC6~Th1で、外側神経束と内側神経束からの分枝で形成される『正中神経ワナ』から伸びる神経です。
正中神経は、上腕では分枝を出さず、上腕筋と上腕二頭筋の間を走行し、肘窩に至ります。
肘窩で円回内筋の上腕頭と尺骨頭の間を通過し、浅指屈筋と深指屈筋の間を走行します。
その後は手根管の中を通って、手指に分枝を出します。
多くの前腕の屈筋に分枝を出して支配し、前腕の遠位で正中神経掌枝を出して、手掌の皮膚知覚を受容します。
また手根管の中を通ると、第1~3の総掌側指神経に分かれて、母指球の筋や第1~3の虫様筋を支配します。
正中神経が障害されると、母指球筋が委縮して『猿手』になり、母指と他の指腹を合わせる『対立運動』ができなくなります。
皮膚知覚は、示指や中指、薬指の母指側半分のPIP関節より遠位あたりが消失および減弱、手掌も減弱することがあります。
また手根管症候群などでは、手関節より先で症状が現れることになりますので、どこで狭窄や障害が起こっているかを精査する必要があります。
正中神経は、手指の支配に関与しているため、結構ややこしいですが、手根管を通ることや猿手などについて知っておかれるといいかと思います。