儀式の時間が近づいてきて、さあゾロゾロとスーツ姿や法被姿の人たちが集まってきました。
神職の皆様も、幣拝殿に集合します。
私の前方にいたお兄さんが映画「鹿の国」で諏訪信仰に興味を持った人で、その隣が出雲大社なども研究されている専門家。二人が色々お話ししていました。こちらの儀式では、幣拝殿奥からとっても貴重な宝物(箱入り)が出てくるのがハイライトとのこと。
で、肝心なその儀式なのですが…。「頭をお下げください」とアナウンスがあって、素直に下げていたので、あまりよく見えませんでした(笑)。ちらっと見たときには宮司様が、綺麗な布が掛けられた箱を持っていて、神輿にいれていたような…。
もつとも、よく見えずとも、聞くだけで個性的でした。
この種の儀式の際、神職様が独特のサイレンのような声を立てることは、神社ファンの方ならご存じでしょう。頭を下げていたので確たることは言えませんが、複数の神職様がかわるがわる声を立て、その声の響く間に宮司様が宝物の箱を神輿に移動させていたように聞こえました。
その声に唱和するものがいます。境内の巨木から響く「タララララ…」という音です。働き者のキツツキで、静謐の中に人と鳥とが和して響くさまは、まるで人間が山の神をお呼びする儀式を、小さな森の精霊が太鼓を鳴らして手伝っているかのようでした。
【補記】この記事を書くために調べたところ、この声は警蹕(けいひつ)と言って、人々に不敬がないように注意をし、警戒するための声だとか。この声そのものは、直接神様をお呼びする声ではないのですね。
宝物の箱には、とても貴重で大切なものが入っているのでしょう。しかし私には、山と、森と、この辺り一帯にうっすらと気配を広げる何ものか、とても暖かい気配が、その場に収束するように感じました。
さて、神輿が出立するようなので、慌てて布橋の中に回りこみました。
「境内にて神職の撮影禁止」と書いてあるけど、神輿を担いでいたのは氏子さんっぽかったからいいよね?(^^;
通常の神社の神輿と違って、上に鳳凰がおらず、自然な木の風合いを生かした神輿です。細工は非常に繊細。
諏訪大社上社本宮から前宮に列をなして歩いていきます。
音楽はありますが、基本的に厳かで、「祭りだわっしょい!」という感じではありません。
印象的だったのが、神輿担ぎの陣頭指揮を取る人がいて、10~20メートル歩いては、
「どこか自分だけ負担がいってるってとこはないか」
「みんな、きついのに黙ってよく耐えた。誇りに思うぞ」
といった言葉で、こまめに仲間を讃え、気遣い、励ましていたことです。
さながら、深山から重たい神聖な木を伐り出し、声を掛け合いつつ、道なき道を降ろしてくるよう。この地に住む人々の生き様を垣間見るような行進でした。
【続く】


























