救急搬送され

入院となった母


もう何回目になるだろう


何かあった場合

積極的な治療はしないこと

入院と同時に退院後の話


必ず言われることで

体の状態と年齢的に

積極的な治療は望まない


退院後は


この機会に別の施設へと

毎回考えても間に合わず

結局元の施設に戻るしかなかった


救急搬送を繰り返すたび

そのうち元の老健が当たり前になり

それで問題ないと思われた


今回はもう既に最期を迎えそうで

元の施設ではなく

家に近い病院へと転院に


未だ審査中ではあるが


病院の相談員さんに

転移先を紹介してもらい

家族が直接連絡するように指示された


すぐ見学予約を入れ

翌日には見学と説明を受けた

見学とはいえ

病院の療養病棟は見られない

受付で早口の説明があっただけで

流れのまま申し込んだ

待っている患者が多く 

いつ順番がくるかわからない

わかってはいても

ぶっきらぼうな説明には不満

悪い印象しかなかった


母の場合

優先度は高いと思われるが

療養型の病院を目指す人は

同じような状況かもしれない


そのときの対応があまりに冷たく

人として扱われないかもという

不安が押し寄せてきた


審査待ちの間に

他の施設を模索し始めた


とはいえ

ネットで検索しても

いったいどこが良いのかわからない

宣伝文句は美化し過ぎ


豊富な財産でもあれば

望む施設が見つかるだろうに


そのうち条件を入力して

検索していたら

電話がかかってきた

適切な施設をご案内しますと


藁をもつかむ思いで

代わりに探してもらえるならと

半信半疑ながらも依頼した


無料とはいえ

本当にいいのかわからない

決まったら10万円もらえるとか

何かカラクリがあるのだろうか


紹介された施設に予約してもらえる

話を聞いたり見学するのは自分なので

とりあえず行ってみることにした


行ってみて気づいた

条件が必ずしも合うとは限らない

当たり前だけど身に沁みる


ここは生活の場なので

違いますよという

食べたり飲んだりが不可能な母

それを告げると


栄養はどうするのですか?

あなたは栄養を与えないつもりですか?

何もしないで放っておくのですか?

他にやれることがあるのでは?


まるで私が母をネグレクトして

放り込むために探しているような

そんな言われ方に傷ついた


穏やかに最期を迎えられるよう

ただ静かな施設を求めていただけ


入居できる対象ではなかったのだ


施設側も困惑したのだろうが


心が折れかけていた私

深く傷つき

絶望的な気持ちになった


もし今後元気になって

ご飯が食べられるようになったら

紹介会社を通さずに直接電話してと


すでに回復を見込める状態ではない


それを知らずに紹介してくるのは

迷惑だと言わんばかりだった


医療側は

食べたり飲んだりできず

治療の必要はない

苦痛なく静かに最期を迎えるには

何もしないでおく方がいい


私もそのつもりで覚悟を決めた


福祉側は違うのだろうか

栄養をとれなければ取る方法

例えば胃ろうとか

点滴でも何でも栄養を与え

できるだけ長く生きていれば

例え苦痛を伴っても

寄り添いますと言うのだろうか


大きな窓疑問を持ったまま

行くあてもなく彷徨い


難民になっていることに気づいた