最近のマイブーム。








手削りでのリード製作。







ことの発端は…

コロナ禍で暇だった時期に、セミロングスクレープ(削ってある部分が長い)とか、ほぼロングスクレープとか試すようになって手削りする機会が増えたこと。







メイキングマシンはショートスクレープ(削ってある部分が短い)で、大量にかつ短時間で仕上げに近い形まで作れるので楽なんですね。ブレもないですし。

メイキングマシンをかけて、あとは少し調整して終わりです。

だから全部手削りするのは暫くやってなかったんですけど。






久しぶりに最初から全部手で仕上げてみたら、上手く仕上がるリードが多かったのです。

リード材の質や微妙な厚みの差をダイレクトに感じられるので、早い段階から調整しながら進められるからですかね。







前提として、メイキング、手削り、どちらにもメリットデメリットがあるので、どちらの方が良いとかは言わないです。

初心を思い出して今は手削りを続けています。

それがちょっと楽しい。






リードついでに昔の話。






私は高校生の頃からリードを作ってましたが、

その頃、ジュニアオケで親交のあった故吉水先生(アメリカンスタイルのパイオニア)との雑談をよく覚えてます。




「とにかく沢山リードを作りなさい。1000本作れば色んなことがわかるようになるよ」




何がわかるようになるかは当時??でしたが、リードを作り続け、1000本を超える頃には確かに自分なりの理論ができ、人に教えられるレベルまでには到達しました。






また、高校時代の師匠であった故丸山盛三先生は、「とにかく自分で考え、研究しなさい」とおっしゃいました。

色んな材とチューブの組み合わせを掛け合わせて相性を調べたり、スクレープのながさ、仕上がり全長の差異を比べてみたり。

今考えると、試して失敗した(無駄にした)リードや経験が私の知識の裏付けであり、技術になっている訳です。






今の時代は情報が山のようにあります。

私がオーボエを始めたころ何年もかかって集めた情報を、数秒で手に入れることができます。

効率がよくて素晴らしい時代になりました。






ただ、その情報が正しいのか、良いのか、悪いのか、間違っているのか。

失敗も含め実際に経験しないと見極めることはできないですし、本当の意味での自分の知識や技術にはならないのです。






時代はハイテク化しているのに、リードの作り方は何十年も変わってないんです。

少なくとも私がオーボエを始めた30年以上前からは何も変わってないです。






多少性能の良いメイキングマシンが出たり、葦ではなく樹脂のリードが誕生したり。

そんなことは些末な違いにすぎす。







人間国宝や、機械ではできないレベルでの製造ができる職人さんとか、技術の頂点はやはり人なんですよね。





だから、効率が良くて楽な反面、失敗する機会が減る今の時代は良いのか悪いのか。

そんなことを考えたりします。






でもね。






結局は。

良いリードを用意できれば、何だっていいんデスよ。(先生の話をした意味…)