田上さん(仮名)が言う「もうホールにそんな体力がない」という状況とはいったいどんな状況なのでしょうか?
レジャー白書によると、パチンコの参加人口は毎年激減し続けています。
1994年には約3000万人いた遊戯人口は激減の一途をたどり、2011年は過去最低の1260万人。
ついに約3分の1にまで減少してしまったのです。
そして、
「激減した参加人口を支えるのはほんの一部のヘビーユーザー」
という問題も重くのしかかります。
具体的に言うと、遊戯人口の約2割のヘビーユーザーがパチンコ台の約8割の稼働を支える、という現状です。
言い換えるなら、遊戯人口の8割はパチンコ台の稼働のたった2割分でしかない、ということなのです。
ライトユーザーと言えば1パチ、甘デジ、と投資が少なく、軽く当たるのが志向。
では、パチンコ店はどこからガッツリ儲けるかと言えば、もちろん参加人口のたった2割のヘビーユーザー達。
彼らにマックスを打ってもらい、そこからしっかり儲けることをもくろむわけです。
普通に考えれば、たった2割の人で全てのパチンコ産業にかかるお金を支えようとするのなら、無理が来て当たり前。
パチンコ業界はメーカー、ホール、揃いも揃ってそんなことも分からないのでしょうか?
実際、現状として、最後に残ったこの2割のヘビーユーザーからいかにむしり取るかを考える以外、業界を支えるすべを知らないのです。
そして、案の定、無理が来てしまいました。
恐ろしいことに、この2割のヘビーユーザーの内、更にその2割からほとんどの利益を上げているというデータもあるのです。
逆に言えば、ヘビーユーザーの8割はパチンコ屋の経費ほどしか負けていないのです。
?割の?割みたいな話ばかりで少しわかりにくくなってしまったかも知れません。
いっそのこと、遊戯人口に直してみましょう。
1260万人の2割、ということは約250万人
この250万人がヘビーユーザー。
この人たちがパチンコ台の稼働の8割を支えている。
そして250万人のうち、2割=50万人。
この人たちだけでパチンコ屋を儲けさせているというのです。
(これより先、この「パチンコ屋を儲けさせている」50万人をコアユーザーと呼びます)
ここで、純粋な質問がわきます。
このコアユーザーたち、生き残れるのでしょうか?
もちろん無理です。
こんなに利益搾取の対象が一部の人間に偏ってしまったら、彼らの財布が持ちこたえられるはずもありません。
パチンコをやめるか?
稼げるようになるか?
せめて、負けないようになるか?
この人達は最後はここに追い込まれるのです。
そして、現実問題として、ほとんどがコアユーザーをやめていくわけです。
パチンコ自体をやめたり、あるいは行く頻度を減らしてライトユーザーになったり、1パチ専門という意味でのライトユーザーになったりするわけです。
それは1260万人にまで減った遊戯人口を見れば分かります。
では、やめられないコアユーザーはどうするのでしょうか?
よっぽどお金持ちならこのままコアユーザーであり続けるでしょう。
そんなにお金持ちでないのがほとんどの人たちです。
さっきも言いましたが、「稼げるようになる」「せめて負けないようになる」しかないわけです。
そうやって、「コアユーザーのプロ化」が始まったわけです。
この「コアユーザーのプロ化」に拍車を掛けたのが、ネット情報。
弊社、「パチたま」もそのひとつですよね。
ところで、プロの最も大きな特徴、って分かりますか?
それは長時間遊戯です。
出ようが出まいが、ひたすら持ち玉で粘るわけです。
玉収支で見た場合、プレイヤー側に有利な調整にすることの多い低換金率のお店にとってこれは痛手でした。
このシステムだと、単純に粘るだけで、持って帰れるわけです。
そんな中にあって、大手マルハン等の等価戦略が集客面においても収益面においても一歩秀でるのを横目で見ながら、我先にと等価高価化の流れは始まります。
打つ時間の長さによっての有利不利が生まれない(あるいは生まれにくい)等価(高価)での立ち回り。
プロと客の境目は打てる時間の長さではなく、打つウマさになります。
・いかに無駄玉を出さないか?
・いかに出玉を多く稼ぐか?
・いかに早く無駄なくデジタルを回転させるか?
ここに集約されてきたのです。
そう、等価高価化の流れにあって、もう一つの変化とは、客の「打つ」技術の向上なのです。
反面、ホール側から見たとき、欲しい客は:
・そもそも負けるのは承知でも1パチ等で負け金額を安くし、長く遊べることを期待して来てくれる客
・4円パチンコをギャンブルの如く運良くあたりを引くことにかけて玉を無駄に垂れ流してくれる客
もし、仮にみんながみんな無駄玉を打たなくなるとホール経営はかなり難しくなります。
つまり、どんなにウマく打ったとしても、確率統計上負ける設定を全台に施すしかホールが儲ける方法はなくなります。
どんな凄腕プロが打とうとも1,000円あたり14~15回転程度しか回らない調整を全台に施す経営です。
まさに、パチンコホールの終末風景です。
実際、これに近い等価ホールに足を踏み入れたことはありませんか?
ただ、そんな調整で来客を期待出来ないこともホールは知っています。
だから、止め打ちの禁止等、遊戯の自由を奪う事で「ウマく打つ」ことを封じ込め、さっき挙げた「ほしい客」にすこしはマシな調整を提供出来る環境をつくり出しているのです。
あるいは、等価店などでは上手い人に打たれたら赤字覚悟、さっきの「欲しい客」に打って貰えれば黒字、という調整を施す「薄利多売」
その中で、2週間に1度はリリースされる新台を導入し、となりのホールに負けない設備施設(分煙ボードや休憩室など)を導入し・・・
もはや、銭形みたいな機種に振り回される体力などあろうはずもないのです。
そんな中、政府は消費税10%導入の検討を始めています。
いったい消費税増税はパチンコホール業にどんなインパクトを与えるのでしょうか?
田上さんの大きな悩みはこの消費税でした。
明日はその辺りの話をしたいと思います。
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