肘の痛みでMさんが来院されました。

 

病名は肘部管症候群です。

 

肘の内側にある肘部管というところに何らかの神経圧迫がおこり肘の痛みや手の小指にしびれが起こる病気です。

 

最初に手の親指が痛くなりある施術所で親指の付け根に鍼をして電気を流す施術をしたそうです。それをしていると痛みが減少したそうですがこんどは肘に痛みがでたそうです。

 

前回は親指の痛みについて解説しましたが今回は肘の痛みについて解説してゆきます。

 

病名は肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)です。

 

肘部管とは肘の内側のくぼみにある尺骨神経が通っている管のことです。

(黄色が尺骨神経・赤が肘部管)

肘の内側を触るとピリピリするところがあります。そこです。

 

この方は肘を強く曲げると小さなプツンという音がして痛みが走ります。

 

この音は尺骨神経が伸びきって肘部管の中でわずかに内側にずれるときにおこる音です。

(肘を曲げたところ。尺骨神経が伸びきっている)

 

眠るときに肘を曲げて寝る癖があるため就寝時に痛みがおこるということです。

 

そのため病院では肘にタオルを巻き曲げにくくして寝ることを指導されました。

 

ただ日中は歯磨きをしたり髪は洗ったり強く肘を曲げる動作をしたときに強い痛みがおこるそうです。

 

私の見立ては長期間の親指の痛みのため親指に力を入ないようにしたため肘の内側の筋肉が弱り細くなり肘部管を外側から圧迫ことができなくなったために肘部管の中の尺骨神経が移動してしまうためにおこっている痛みだということです。

 

そのためにはまず親指の根元の関節を正常化しそれと同時に手のつかれと痛みをとって力を入れやすくしてゆくことです。

 

長期間の痛みのため手が弱っているのでごく軽く小児はりを肘から手にかけて丁寧におこないました。

 

すると痛みが軽減していると言われました。

 

何度もこのブログでお伝えしているように適切な刺激量は患部を正常化して元気にする効果があります。

 

確かに強い刺激は痛みをとる効果はあるようですがそれを繰り返すとたんだんと疲労して弱ってきて最後には衰弱してしまうのです。

 

またこれ以上曲げたときに痛みがおこる角度があることを指導しました。

 

それは肘を強く曲げたときに神経が伸びきったからです。

 

その角度以上に曲げるときには肘の内側を反対の手で圧迫する方法を伝えました。

その二つを実行するだけで痛みのおこる回数が半減したそうです。

 

痛みの原因となる生活習慣をなるべく取り除くことは治癒に向かう過程ではとても大切なことです。

 

また鍼灸施術をする過程では適切な刺激量を守ることがとても大切です。

 

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