こんばんは。くりした善行です。

 

引用RTした投稿に入っていた、葉梨康弘新法務大臣の「児童ポルノ」に関する発言のまとめ記述について、この記事が引用したとする2009年6月26日の衆議院法務委員会の議事録と照合してみました。

 

結論としては、全般にわたって、まとめに記された趣旨を直接的にした発言は見当たらず「そう取れなくもない」といった強引なまとめが目立つ、また同趣旨の発言が見当たらなかったものも少なからずありました。

 

主張全体からすれば、葉梨議員が所謂「表現規制派」であることは間違いなく、今後注視が必要だという点には変わりありませんが、少なくともWikipediaの記述に関しては適切なまとめとは言えないと感じましたので、私の投稿の「纏めた人はえらい」とする部分は撤回させて頂きます。

 

権力に対してのチェックや指摘は重要なことですが、それらをするにあたっても責任が伴います。加速する現代社会においては一つ一つの情報を全て正確に把握することは容易ではありませんが、今後さらに気をつけながら取り組んでいきます。

 

以下、「Wikipediaの記述」「私の見解」「元となったであろう葉梨議員の発言」を掲載していますのでご確認頂ければ幸いです。私もできる限り、同趣旨の発言があって欲しいという気持ちを保ちつつ一通りチェックしたつもりではありますが、もしも「きちんと発言している!」という該当箇所がありましたら教えていただければ幸いです。

 

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■メール、郵便FAX、いかなる手段で児童ポルノを所持していても逮捕する。

→上記の趣旨を明確に発言した記録は見当たらなかった。『郵便』『FAX』については発言すらない。

 

「所持ということであれば、持っているという事実については、これは所持ですから、もう明らかなんですね。現行犯的なものでやっていかざるを得ないでしょうし、物がなければ所持ということになりません。」

 

 

電子メールに児童ポルノが添付されているかどうかは、ファイルを開く前に分かる。

■電子メールがきたら児童ポルノだと思えばいい。

→上記だけでは趣旨も不明だが、この内容を明確に発言した記録は見当たらなかった。

未必の故意が成立するためには、児童ポルノをメールで受けた際「児童ポルノの可能性がある」と認識していなければならないという趣旨の発言がある。

 

「そして、一つは所持の故意性です。ですから、先ほどの例で、もしかしたらこんなメールが送りつけられてくるかもわかりませんよというようなものが来たとして、私はそれで、個別に、全体として、単にパソコンを開いているということだけで未必の故意が成立するとは思えないんです。このメールというのはもしかしたら児童ポルノかもわからない、そういうような認識というのはやはり必要になってくるだろうと思うんです。」

 

 

■今までの映画も本も写真も18歳未満のヌードが含まれる場合処罰する。

→上記の趣旨を明確に含む発言は見当たらなかった。むしろ「故意犯でなくてはならない」発言している。

 

「昔、うちの蔵の中に、蔵なんて私のうちはありませんけれども、旧家であれば蔵もあるんでしょう、蔵の中に、何百年か前の児童ポルノがあるかもわかりませんよ。そこまで家捜ししようという話じゃないので、これはあくまで、罰則がありますのは、自己の性的好奇心を満たす目的で所持、保管するという故意犯、これを罰しているわけです。そして、みだりに児童ポルノを所持し保管しちゃいかぬ、みだりにですから。それで、たまたま地震で蔵が壊れた、そういうものがあったといったときは、それはちゃんと廃棄してくれればいい、そういうことじゃないかと思います。」

 

 

宮沢りえサンタフェは見たことがないが、児童ポルノに該当する場合、法改正後の単独所持は処罰する

→上記の趣旨を明確に含む発言は見当たらなかった。「サンタフェ」は児童ポルノに該当する可能性があるとは言っている。

「私自身も余り品行方正な生活をやっていたわけじゃないんですが、「サンタフェ」は見たことがないものですから、具体的に「サンタフェ」が児童ポルノに当たるのかどうかということについては、今ここで結論づけて申し上げることはできません。

 ですから、先ほど申し上げましたのは、「サンタフェ」が当たるか当たらないか、それぐらい有名なものであれば、宮沢りえさんが当時何歳だったかというのも大体わかるでしょうから、政府の方でもそれぐらいのサービスはしてくれるんじゃないんですかというようなことで申し上げたんです。」

 

 

■過去作品のどれが児童ポルノかどうかは政府が調査して回答する。

→上記の趣旨を明確に含む発言は見当たらなかった。「サンタフェ撮影時の年齢が17歳なのか、18歳なのか政府は調査くらいしてくれるのではないか」とは言っている。

 

「それで、大家捜しをしなきゃいけないとかいう話もありましたが、例えば「サンタフェ」であれば、あれだけ有名なものであれば、未必の故意という話もありますが、大体、具体的に、それが一体十七歳なのか十八歳なのか、そこら辺のところはいろいろなところでまた問い合わせをしていただければいいし、それぐらいのサービスは政府の方もやってくれるんじゃないかというふうに思います。」

 

 

■童顔・制服着用のポルノは児童ポルノである。

→「制服を着ているかどうか、顔が幼いかどうか」でほぼ年齢の推定が可能という趣旨の発言はしている。

 

「十八歳未満かどうかというのは、先ほど未必の故意の議論もありますけれども、明らかに、顔から見てなかなかよくわからなくても、制服を着ているとかそういったことで大体それは推知されるという場合もありましょうし、あとは顔が幼いかどうかということで。それが十八歳未満かどうか、客観的に見て、ほぼ十八歳未満じゃないかなというように推定がされるようなものかどうかということが一つありますね。」

 

 

■ジャニーズでも乳首が写っていたら児童ポルノだ。

→民主党案を批判する中で、「民主党案の定義に従って言えばジャニーズの裸でも児童ポルノではないか」とは言っている。

 

「殊更強調するように乳首を露出しているのが、どんなものでもなり得るし、どんなものでもなり得ないし、その場その場で見るしかないというようなことだとすれば、定義の範囲としては民主党案の出来がよくない。」

 

「「性器等」といった場合には男性の乳首も入りますよね。ですから、ジャニーズが上が裸になったものは入らないというのは、これは性器等は明らかに露出はしている。露出をしているけれども、それは、ジャニーズの場合は「殊更」ということにならないけれども、普通の男の子が裸になったら、これは「殊更」になる場合もある。では、「殊更」というのは一体何なんだろうと。では、殊さらそれを強調するようにジャニーズが胸をこうやって乳首を出している、これはならないということですか。」

 

「「殊更」と「強調」というところがみそで、どんなものでもなり得るし、どんなものでもなり得ないし、その場その場で見るしかないというようなことだとすれば、今の定義の範囲としては、私がこう言っては申しわけないんですが、ちょっとできがよくないというふうに言わざるを得ないかなというふうに思います。」

 

 

■児童ポルノの判断に芸術性は考慮しない。

→「芸術性があるからといって、児童ポルノを所持しているのは、正当な理由で所持しているとはいえない」とは言っている。

 

「これは当初から、法案、一貫してということですけれども、芸術的な作品であるかどうかということで児童ポルノに該当するかどうかということでの限定を付しているというわけではございません。まず、これは定義の問題ですね。

 みだりに持つということについては、それは正当な理由というのがあれば持てるということですけれども、芸術性のある写真だからといって、一般人が持っていて、それが児童ポルノに当たるのであれば、それは正当な理由があるとは言えないだろうと思います。アメリカの例で、芸術的なものは除外しているというのを、私どもも質問通告がありまして調べてみたんですけれども、明確にその出典が明らかじゃないので、チャイルドポルノグラフィーに関する定義かどうかというのはちょっとわからないということでございます。」

 

 

■ヌードはすべてポルノである。

→「強調」の定義について発言する中で、一部のヌードでも「強調」になりうるとは言っている。

 

「背中だけのヌードなんだけれども、下はちゃんと着衣を着ていますといったものも強調になるかもしれないし、ならないかもわからないということでいうと、現場は混乱しますね。」

 

 

■ハードディスクに入っている画像を何回開いたかで故意性を審査する。

→同趣旨の発言がある。何回も見ているということであれば性的好奇心を満たしているということになり、立証における大きな材料になる。

 

(冤罪の可能性があるかどうかについて、立証の仕方)

「そして、必ず取得の過程というのを立証しなければならない、これはちょっと違うんじゃないんですか。例えば、パソコンで、自分の外づけのHD、ハードディスクにある画像がありました、それを自分がダウンロードした、どこから取得したかわかりませんね。外づけのHDの中にある画像、もとはどこから取得したかというのは立証しないでも、自分のHDに、ハードディスクにそれをみずからダウンロードして、それを何回も何回も自分が開いて見ているということであれば、相当これは、自己の性的好奇心を満たす目的というのが立証の大きな材料になるんじゃないですか。そこにおいては、どこのサイトからとりましたということまで構成要件上必要はないというふうに思いますよ。ですから、必ず取得の過程というのを立証しなければならないということではないわけです。」

 

 

■写真や雑誌は、使い古されていたり手垢がたくさん付いていれば故意をみなす。

→上記の趣旨を明確に発言した記録は見当たらなかった。「手垢」などの発言は無い。

 

 

■冤罪など起こらない。

→足利事件について述べており、冤罪などは起きないとは言っていない。ただし、児童ポルノの所持について客観的事実に基づいて操作できるので、冤罪は起り得ないのでは無いかとは言っている。

 

「まず、自己の性的好奇心を満たす目的ということについての立証の仕方ということですが、先ほども申し上げましたけれども。ほかの法律にも同じような用語は多く使われていまして、その中で冤罪というような事例が起こっているということを私は承知はしておりません。」

 

「ですから、自分の性的好奇心を満たす目的というのは、たとえその自白がなかったにしたって、うちに大量の児童ポルノを持っている、その横に大人のポルノもたくさん持っているというようなうちで、児童ポルノを持っている方が、私は自分の性的好奇心を満たす目的じゃございませんと言ったところで、それは裁判所では多分通らない話になってくるだろう。ですから、自白だけに頼るということじゃなくて、やはり客観的な証拠に基づいて捜査というのはできるんだろうというふうに私は確信をしています。」

 

 

■自白は証拠の王様だ。

→自白は証拠の王者だという発言を、以下の趣旨で行っている。

 

「可罰性があるけれども、民主党案で、たくさんの児童ポルノを蔵書として所持している場合は罰せられないんですよ。そのことを踏まえて議論をしてくださいね。

 そして、一つの例として、それをとりました、自白がございましたと。でも、やはりその周りの状況というのは、つまり、それを開いてもいないというような状況であれば、果たして性的好奇心を満たす目的であったというふうなことが言えるのかどうか。あるいは、そのサイトの名前を、私は実はそのサイト、どこも全然知りません、知りません、知りません、けれども性的好奇心を満たす目的でしたというような自白、それにはやはり捜査の過程においても合理的な自白というのは必要だと思いますよ。ですから、一概にすべて、さっき、すべてということは言えないということを枝野委員もおっしゃられましたけれども、自白プラスそれがつけば必ずイコールということじゃなくて、やはりそれは外形的にいろいろな状況の中から、自白というのはもちろん証拠の王者ですから、大きな要素として判断されるだろうというふうに思います」

 

 

■捜査官は善良なので、自白を強いて冤罪を生じさせるようなことはないと信じている。

→見た形跡もない児童ポルノが家にあったとしても、性的好奇心のためだと自白を強要する捜査官はいないと信じているとは発言している。

「それと、もう一つ申し上げますと、具体的に、自白だけでといったって、さっきの例でいえば、昔、確かに週刊誌の中には児童ポルノというのはあったかもわかりません、それは私もよく知っています。でも、家を見たら、それが本当に何十年前のほかの雑誌と一緒に束になって、それで全然見た形跡もないし、ほこりをかぶっているといって、それでこいつは性的好奇心をとる目的だと自白を強要する捜査官なんて私はいないと信じていますよ。」

 

 

■冤罪の懸念なら、鞄に拳銃を入れられることだってある。

→冤罪の一つの例として挙げている。

 

「先ほどから、答弁を求めていないので簡単に申し上げますけれども、自分のかばんの中に入れられたら陥れられる可能性があるといったら、それはけん銃だって入れられるかもわかりませんし、薬物だって入れられるかもわからないんですよ。非常に捜査機関に対しての不信感があるというのはよくわかるんです。よくわかりますけれども、だからといって、やはり実体法(※)の世界でこの規制というのを緩めるとかいうことがあってはならないと思いますよ。」

 

 

■マンガやアニメやゲームは悪影響があるのかどうかの研究する必要がある。

→マンガやアニメ・ゲームなどでもひどいものはひどい。という発言がある。しかし、02年米連邦最高裁判決もあるように、二次元と三次元の規制をエビデンスなくやってしまうのはいけないという発言もある。

 

「民主党が、「児童ポルノ」という用語を「児童性行為等姿態描写物」と変えようとしています。先ほどお答えいたしましたが、サイバー犯罪条約では、いわゆる疑似児童ポルノというのも児童ポルノに入っているんです、サイバー条約ですが。これは日本の法律の定義には入っておりませんけれども。

 これを、ただ「児童性行為等姿態描写物」とすることにすると、この法律の世界では、いわゆる疑似の児童ポルノ、漫画、アニメについては一切さわらないというようなことになりますけれども、そういう理解でよろしいわけですね。」

 

「そこのところは大変いろいろ議論のあるところで、例えば、今の法律でも実在の児童ということになっていますけれども、二百年前に製造された、明らかにその児童がもうこの世にいないといったものも、実はこの児童ポルノの対象にはなる。

 ですから、その意味では、いわゆる個人的な法益、社会的な法益ということで、我々は、ただ、二〇〇二年の米国の連邦裁の判決もよく承知しています。ああいう形でアメリカが強い規制をゲームとかアニメにかけたというのは、やはり表現の自由の関係から違憲であるというような判示がなされたわけですけれども、ただ、やはりゲームとかアニメでも、ひどいものはひどいんです。」

 

「ただし、問題は、社会的法益の部分ということで、例えばその傾向自体に対処をする。私は傾向がいいとは思いませんよ。では、例えばテレビゲームだ、アニメだ、漫画だといったときに、これはやはり二〇〇二年の米国の連邦最高裁(※)の判決もあるわけで、一律に全く実在の児童と同じような規制を全くエビデンスなくやってしまうというのは、これは私はいかがなものだろうかなというふうに思います。」

 

 

■民主案は相続物に児童ポルノがあっても逮捕できないので困る。

→「困る」とは言っていないが、小児性愛者の父親が亡くなり小児性愛者の子どもが大量に児童ポルノを相続した場合、民主党案では規制されないため、単純所持に関しては罰則をもって対処するところまで踏み込まないといけない。と指摘している。

 

「小児性愛者、ペドファイルでありますお父さんが亡くなりました、その子である子供もやはり小児性愛者、ペドファイルでございます。大量の児童ポルノを家宝として相続する行為は、民主党案では規制対象となりますか。」

 

「私、捜査機関じゃないものですから、小児性愛者であるかどうか判断できないというのは、これは具体的な捜査の事例に即して言っているのではなくて、ある小児性愛者が小児性愛者である子供に対して相続をした場合はどうですかというふうに聞いているわけで、立証できないからどうのこうのというのは、レベルの全然違う話なんです」

 

「今の民主党の改正案によれば、例えば、たくさんの児童ポルノを自分のうちで蓄積して持っている、そしてそれが、だれかれのポルノ写真、画像を持っていますよというふうに外で言っても構わない、そういう行為は規制はされませんよということらしいんです。それから、たくさんの児童ポルノを相続で受け取るという行為も、これも規制もされない。」

 

「また、家宝として児童ポルノを持っている。大量の児童ポルノを、これを相続によって取得する。相続というのは反復がありませんね、一回限りですから。そういった場合もこの法律によっては禁止することはできないんだろうというふうに思います。

 ですから、一般的な禁止規定を置きながら、ペドファイルの方々が自己の性的好奇心を満たす目的でこれを所持するというものについてはやはり罰則をもって対処するという、それぐらいのところまでは、我々としても、日本の子供あるいは世界の子供、これを守るために踏み込んでいかなきゃいけないんじゃないかというふうに考えています。」