こんばんは。都議の栗下です。
 
 
2月7日までの緊急事態宣言が1ヶ月程度延長されるという報道が出てきていますね。感染拡大を抑えることは重要ですが、すでに住民も自粛疲れを起こしている中で同じようにやっても効果は薄まってくるのではないでしょうか。延長の際には内容について一部見直しをするなど、負荷の軽減と心理的にタスキを締め直すということも重要だと思います。
 
さて、今回は海外におけるマンガ規制ということで、2021年年明けから大きく動いている韓国のBLマンガ規制について取り上げます。BLマンガ自体がほぼ女性向けだということで、これまであまり関心がなかったという男性諸君も多いかと思いますが、表現規制について考える上で議論を呼びやすいBL(東京都の健全審においても90%以上はBL)について理解を深めることは重要だと思います。
 
■「ナマモノ」「アルペス」って知ってますか?
ナマモノについては比較的よく知られているかもしれません。男性アイドルグループのメンバーなど実在の有名人を題材とした二次創作であり、肖像権の関係上、作る側は様々な配慮をしながらグレーゾーンの中で楽しんでいるというのが現状かと思います。
 
独自の自主規制?として、J禁(ジェイ禁)・P金(ピー禁)などの表記をするものもあるようです。
 
J禁:ジャニーズファン及びジャニーズ事務所関係者見ないでくださいの意。ジャニーズアイドルが登場するから。
 
P禁:パンピー(一般人)見ないでくださいの意。内容について一般的な倫理感から離れている等の理由。
 
そして、これは知らなかったのですがアルペス。Real Person Slash (Slashは日本で言うところの× の意)の頭文字を韓国語読みしたものであり、いわば韓国のナマモノ。これが今韓国で大きな論争の種となっています。
 
 
■アルペスが規制の対象に?
アルペス(ナマモノ)は20年前以上から日本国内と同様、アンダーグラウンド的に楽しまれてきたそうです。
 
アイドル事務所も肖像権の問題はあるものの、広くアイドルが親しまれる上でも有益と考えてきたため訴訟などの問題はこれまで余り起こってこなかったということも日本と同じかと思います。
 
しかし、今年の1月12日にラッパーのイ・ロハンさんが、自身を題材にしたアルペスについて取り上げ、Instagramを通じて「気持ち悪い。アルペスは性犯罪」と発信したこと等からアルペスの是非について大きな議論が巻き起こっているとのことです。
 
 
上記発言の影響も有り、青瓦台(韓国の大統領府)が設置している国民請願の掲示板に「アルペス製作者や利用者について、処罰してください」という趣旨の請願が寄せられ、瞬く間に規定の20万人分の署名を集めました。
大統領府は20万名分の署名が集まった問題については、きちんと回答を出さなくてはいけないシステムということで、今後法改正についての検討が進むのではないかという心配の声が挙がっています。
 
韓国では昨年、新たな映像加工技術を使い有名人などを題材にしたポルノをつくるディープフェイクの活用などにも厳罰を適用できるよう法改正を行い、違反したものには5年以下の懲役と5,000万ウォン(460万円)以下の罰金が課されるようになりました。パッと見でもかなり重たい罰則ですね。
 
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今回は、アルペス(ナマモノ)規制議論について今後の動向が気になる韓国 のお話について取り上げました。
 
韓国がネットで20万人の署名を集めると請願として回答するというのは、国民の声を反映させるために画期的な方法である(韓国は一人一人にネットようIDのようなものが与えられているので一応不正はできないようになってるよう)反面、ネット上でよくわからないままに広がる一時的な感情の高まりも拾ってしまうという問題も孕んでいる様に思えます
 
韓国が国をあげてアルペス規制に臨めば、いつ他の国にも広がり、回り回って日本国内にも飛び火してこないとも限りません。
 
これまで、著作権は親告罪とされることで、権利者が許容する範囲で二次創作が文化を育んできたという経緯があります。今後の動向を注視していくともに、警鐘を鳴らしていかなくてはなりません。