こんばんは。都議の栗下です。


緊急事態宣言からちょうど2週間。各種指標は未だ予断を許さない状況です。東京五輪の開催可否に関して連日の様に海外メディア発の報道が飛び込んできます。大会関係者の様々な思惑が交錯しているのはわかりますが、だからこそ多額の税金を投入している都民国民の理解を得ることに軸足を置いて早めの決断と説明をすべきだと思います。

さて本題に入りますが、昨日ロシアの裁判所でデスノートをはじめとする幾つかの日本アニメのネット配信を禁じる決定が出されました

※ 日本アニメ人気の露、「デスノート」「いぬやしき」など国内配布禁止

実は先月検察庁はNARUTOの禁止も一緒に求めたそうですが、現地のボヤルスキー議員が疑義を呈したこともあって、決定からは除外された模様。表現の自由を守る議員の活動が光りますね。

※ ロシア議員がアニメ『ナルト』を擁護 前日に作品の禁止が要求

今日、世界の表現規制を考えるために取り上げたいのは「デスノート」です。
2003年−2006年に週刊少年ジャンプで連載され、アニメ・映画その他多くの派生作品を生み出した超人気作品ですが、世界では物議を醸すことも多いようです。実際に規制をされている国もあります。

■ロシアでなぜ槍玉に上がるのか?
実はロシアでデスノートが危険、とされるきっかけとなった事件があります。

2013年、エカテリンブルグで少女の傷ついた遺体が見つかる事件が発生。調査の結果、「飛び降り自殺」と判定され、彼女の持ち物の中にデスノートの本があったことから、これが原因では無いかという推測に基づき父母団体がデスノートの発禁を求めるということがありました。

自殺とデスノートの関連性について特に具体的な証拠が示されているわけでもなく、違和感を禁じ得ませんが、デスノートのストーリーが「死への興味を助長するという」という理由での訴えだそうです。なお、同父母団体はプーチン大統領に直訴するまでに至りました。


■中国では回収騒ぎ。アニメもブラックリスト入り
中国は2007年にデスノートの関連出版物やグッズ、DVDを子どもの人格形成に有害であるとして海賊版を含めて没収(香港は除く)するという対応を行なっています。その後アニメ版についてもウェブ配信を禁じるブラックリスト入りに。

中国においては、アニメ・マンガは勧善懲悪のストーリーでなくてはならず、ノートに人の名前を書いて殺すような悪人が主人公の漫画など許されないという趣旨の理由だそうです。中国もロシアも社会主義国、デスノートや今回禁じられた「いぬやしき」には社会転覆の要素が含まれており、そういったところを危険視されているということもあるかも知れません。

■アメリカのデスノート
規制とは若干ズレますが、デスノートは2017年にNetflixで映画化もされています。かなり大胆なアレンジを加えているので賛否もあるようです。


今回取り上げたいのは、もう1人の主人公と言ってもよい「L(エル)」が黒人ラッパーというところです。近年のアメリカドラマにおいては、アフリカ系や、アジア系などをもりこまねばならない!という所謂ポリコレの風潮がありますが、それも関係しているかもしれません。


以上、デスノートという同じ作品でありながら、国によって色々なことになっていました。

これに限らず海外での規制事例を見ると、何が良くて何が悪いのかは、人間が決めていることであり、その土地や時代によってそれらは移りゆくという、本来ごくごく当たり前、しかし普段見失いがちなことを感じさせられます。

日本においては、何が正しく何が間違っているのかということはあくまでそれぞれの人々の意思に委ねることができるように「民主主義」の礎として表現の自由をこれからも守っていかなくてはいけないとそのたびに思います。


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即売会デビューにはもう少し時間がかかりそうですが読んで頂ければ嬉しいです!