こんばんは。都議の栗下です。
 
 
いよいよ、本年も残すところあと僅か、もう仕事納めされたという方も多いのでは無いでしょうか。
今日は、先般取り上げたガチャ不当表示の問題について取り上げた際にも数多く寄せられた「不当表示以前にそもそもガチャシステム自体がおかしい」という意見について改めて 整理すべく、日本におけるガチャ、そして海外でのルートボックス規制について書きます。
 
 
■2012年のコンプガチャ問題
ガチャ規制問題で我々が思い出すのは、2012年のコンプガチャ問題では無いでしょうか?
 
コンプガチャとは、コレクションをコンプリートさせることを条件に新たな景品を与えるシステムですが、コンプリートさせるために必要な課金額は一見するよりも、膨大な額となり射幸心を煽り、正常な判断を失わせうるとして、消費者庁は2012年に「『懸賞による景品類の提供に関する事項の制限』の運用基準」を改正し、コンプガチャをこの運用基準の中で禁止されている「カード合わせ」に該当するということを明記しました。
 
※ 消費者庁、コンプガチャは違法と判断。7月1日からは法的措置も
 

https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1205/18/news067.html

 

 

 
かくして、コンプガチャ自体は禁止されたわけですが、ガチャ課金の不当表示や本質的な課題については、その後も議論が続いていくことになります。
 
 
■ガチャ問題・日本と海外の根本的な違い
海外におけるルートボックス(ガチャ)問題について考える上でまず、ガチャに対する認識の違いについて触れたいと思います。
 
日本では、キャラクターやアイテムなど、ゲームを有利に進めるための要素がガチャの景品になっていることが多いですが、海外においてはスキン(キャラクターの見た目を変える・性能は同じ)が主流でした。メインはあくまでゲームそのものであり、ガチャで得られる景品はおまけということですね。
 
※ CS:GO:M4A4のスキンが1,400万円で取引成立! 史上最高額となった伝説スキンの正体
 
しかしそれでも、人気ゲーム Counter-Strike: Global Offensive のスキンが1件で1,400万円以上で取引されるなど過熱し、それらを通じた賭博も社会問題化しました。イギリスではスキン賭博をギャンブルライセンスを持っていない事業者が行えないように規制(2017)、デンマークでは賭博サイトへのアクセスを遮断する措置が行われました(2018)。
 
 
■欧州を中心としたルートボックス規制の潮流
これらについては「賭博」部分が問題が問題とされたわけですが、その後ルートボックス本体の規制を大きく動かしたのはスターウォーズバトルフロント2(2017)とされています。このゲームではクリアするために課金が前提になっていたり、取得確率が非常に低いなどの問題で大炎上しました。上述した通り、日本のソシャゲでは比較的よくあることかと思いますが、海外においては問題視されています。
 
※ 『SWBFII』が歴史的炎上、すべての課金システムを一時停止
 
結果、オランダ(2017)、ベルギー(2018)はルートボックスはギャンブルであり違法と認定し、EUが加盟する欧州議会に対応を提言、委員会での議論を経てルートボックス問題への対処について欧州議会の共同宣言を発出するに至りました。(2018年)
 
今年の6月頃、イギリスにおいてもルートボックス規制の機運が高まっているとの報道がありました。
かつてイギリスでは2017年に、「ルートボックスの景品は金銭的価値を持たないため、ギャンブルには当たらない」とされましたが、現実には金銭的価値を伴ってきているということで、判断力の未成熟な青少年を搾取から守るという文脈で、法改正への下準備がされているとのことです。
 
 
以上、日本ではオンラインゲームの半ば常識として受け入れられている感のあるガチャ課金ですが、海外特に欧州地域では近年、EU全体で議論されるほどの大きな問題に発展してきたという経緯があります。日本国内における、ゲームパブリッシャー(特に国内メーカー)は、オンラインゲームの収益源となっているガチャが公的に規制されるの前に自主規制で何とかしようとしていますが、海外における規制が更に進めば国内でも公的な規制も含めて議論がされる可能性が高まります。
 
個人的には、ガチャについてはエンターテイメントの一つのあり方として認めていきたいと思う一方で、課金トラブル(重課金・未成年など)や、不当表示などの問題が解消されなければ、「良い文明」にはならない。というのが現状の認識です。
 
不当表示の問題については、12月の都議会での質疑の結果東京都でも対応が行われることになりましたので、来年展開させていきたいと思います。