こんばんは。都議の栗下です。
 
 
昨日、今年最後の都議会定例会が終わりました。飲食店に対する時短要請協力金の予算などについて緊急での審議も行われましたが、都内一律の自粛要請については効果を疑問視する声も多く、時短要請の効果測定は今後迅速に行われるべきでしょう。
 
さて、今日はちょうど1週間前に行った都議会一般質問で取り上げたオンラインゲームにおける不当表示の問題について書きます。
 
昨今、通勤中に周囲の人々を見渡すと、子どもからお年寄りまで、本当に多くの方々がスマホでゲームをやるのを見かけるようになりました。
私は83年生まれで、ファミコンと同い年という世代ですが、自分が子どもの頃は「ゲームは子どものおもちゃの一つ」だったのが、これだけの市民権を得たということに感慨深い思いがします。
特に、近年はスマホの普及で爆発的に広まり、この10年間でオンラインゲームは実に5倍以上に成長しているそうです。
 
ゲームがインターネットに繋がって新たに加わった要素が「課金システム」です。黎明期においては少額かつ、オマケ要素が強かったような気がしますが、今や課金を行わないと中々進められない課金前提の人気ゲームが存在するなど、課金は当たり前になりつつあります。
しかし、この課金システムの宣伝広告については景品表示法に抵触する不当表示、つまり事実とは異なる表示が横行しているというお話を過日いただき、都議会で質問するに至りました。
 
質問した内容と答弁については、ねとらぼさんが取り上げてくれましたので以下の記事をご覧ください。
 
<スマホゲームの「ガチャ不当表示問題」が都議会で取り上げられる ゲームの課金問題が議題にのぼるのは初>
 
以下は、時間の関係で質疑では触れられなかった点について書きたいと思います。
 
 
■どんな違反があるの?
違反しているケースが数多く指摘されているのも関わらず、消費者庁からの処分が行われた事例はまだ数例しかありません。
 
例えば、キャラクターやアイテムなどについて事実より「優れている」という宣伝は優良誤認広告といって処分の対象ですが、人気スマホゲーム「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」で「ガチャ」で手に入る13体のキャラクターは全て「究極進化する」と発表していたところ、実際は2体だったことがわかり、2017年に消費者庁から措置命令が出されています。
 
また取引条件などについて事実よりもおトクに宣伝するのは有利誤認広告といってこれも違法ですが、16年にグリーが行ったオンライン検証企画の商品の数が、表示より少なく提供されていた事例などがあります。
 
いずれの誤認広告も明確な「嘘」であり、リアル店舗で行えば大問題になりますよね。しかし、オンラインゲームの世界ではこれらの嘘が罷り通ってしまっているとの指摘があります
 
 
■なぜ、対応が遅れているのか?
実はこの問題、かなり以前から問題が指摘されており、日本オンラインゲーム協会等の団体も2010年代前半から法令が遵守されるよう啓蒙活動を始め、ガイドラインなどの策定の努力も行ってきました。しかし、近年なお問題が深刻化するのは、いくつかの要素が関係していると言います。
 
一つは、海外メーカーが市場を席巻していることです。成長著しい中華ゲームをはじめ、オンラインゲーム市場においては海外企業が国内市場に数多く進出してくるようになりました。一見、日本ゲーム・アニメ等のコンテンツを使っていても、権利を買った海外企業が制作や運営をしているというケースも非常に多くなっています。海外企業においては景品表示法に対する理解が十分でなかったり、消費者訴訟が難しかったり、消費者庁も調査や処分を行うのに二の足を踏んでしまい事実上野放しになってしまっていることが多いと言います。勿論、法令を遵守している海外メーカーもあれば、違反の恐れがある国産メーカーもあるということも付け加えておきます。
 
また、宣伝広告のネットへの移行がさらに進み、影響力が大きくなってきていることも問題に拍車をかけています。最近はTVはほとんどつけず、ネット動画やネットニュースだけで済ますという方も以前に比べて多くなってきました。ネット広告の影響力も年々尻上がりになっているわけですが、こういった中で明らかに事実と異なる広告が掲出されれば、それだけ被害の恐れも大きくなるということです。
 
 
なぜ、多くの具体的事案が指摘されているのに、調査や処分が追いつかないのか?ということについて行政側からも何度か話を聞きましたが、「行政職員が調査のためとはいえ、勤務時間中にゲーム画面を開くのには抵抗がある」などのお話もありました。いや、そこは遠慮せずにジャンジャン調査してください・・・(汗)。
法令を守っていなくても、指摘をされないのであれば、今度は法令を守っている側のモチベーション低下にもつながります。
 
この度、都議会で↑の記事のような答弁を引き出しましたので、これをテコに具体的な対応についても求めていこうと考えています。ゲーム産業の今後に大きく関わるこの問題についても引き続き、注目頂ければ幸いです。