こんばんは。都議の栗下です。

 


「東京都の不健全図書指定を受けた書籍はAmazonから消える」というのは今や結構有名な話だと思いますが、古本屋での中古販売はどうなってしまうのか?などについてはあまり知られていないようなので、この度まとめておこうと思います。

 

現在は、メルカリやヤフオク等、インターネットを通じて個人が気軽に物品の販売をすることができるようになりました。それらのサイトやアプリでの販売に罰則はあるのか?などについても触れていきたいと思います。

 

 

■不健全図書がAmazonから消えるのはなぜ?

 

 

まず最初にAmazonの件から。


東京都がAmazonに対する働きかけを行ったことがあるか?と問うたところ、

東京都青少年条例ではAmazonを含むネット販売事業者に対して、働きかけおよび指導をした事例は無い。

という答えが返ってきました。

 

条例の条文では指導対象を「図書類販売事業者等」と定義しており、ネット販売事業者が都内に所在していればその対象になるとも解釈できますが、実際には条例を守っているか抜き打ち調査の対象になっているのは「対面で販売を行っている事業者」とのことです

 

えっ?じゃあなんでAmazonは不健全図書を消すの?

ということになりますが、これはあくまでもAmazonが自社の判断で行っている「自主規制」の一環であり、東京都からの働きかけを行っているわけではありません。


仮に不健全図書指定されたとしても、「あなたは18才以上ですか?」という問いを咬ませれば販売続行できるはずであり、なぜそれをせずにAmazonが一発退場にしてしまうのかといえば、あくまで想像になりますが業界最大手ゆえの企業イメージへの配慮ではないかと思います。


ちなみに、他県での「有害図書」などは削除の対象となっておらず、商品登録ルールにわざわざ「東京都健全育成条例」と名指しで表記がされています。

 


やはり、東京都での指定と他県での指定は全く重みが違うということについては言えると思います。

 

 

■メルカリ、ヤフオクなど個人での中古品売買は?

 

上記の「ネットは調査してませんよ。」という前提をそのまま当てはめることになりますので、メルカリ、ヤフオクでの規制もあくまで「自主規制」ということになります。

 

メルカリにおいては書籍に限らず、成年向け全般について個別に削除を行っているようです。

「成年向け」の定義は社内には共有されているのかもしれませんが、比較的ファジーな印象。

一見ただの青年誌に見える不健全図書「善悪の屑 4巻」も普通に売られていました。

 

 

 

一方、ヤフオクにおいては、「あなたは18才以上ですか?」という問いをかませることで成人向けの商品も売買が可能になっています。


ヤフオクはもともと18才以上のみが利用可だったのを途中で15才まで引き下げたという経緯も関係しているかもしれません。


但し、成人向けもすべからくOKというわけではなく、JCなど、18才未満、児童ポルノに関するものについては2013年から対処するようになったようです。

 

以上を見て頂くと、ECサイトではそれぞれのガイドラインで運営が行われているということがわかると思います。

 


■ブックオフなどの中古品店(古物商)では?

 

条例は原則として「対面販売」を対象としてきたと書きました。

 

それでは、ブックオフなどの中古品店で不健全図書を販売すると罰則が科されることはあるのでしょうか?


答えは「YES」です。図書類販売事業者等の「等」の部分に古物商が含まれているとのこと。

 

実際に、青少年健全育成審議会へ毎回報告される立ち入り調査の対象にブックオフをはじめとする中古屋が含まれているそうです。

調査の際には、数百件もある不健全図書一覧をみながら、店内の書籍をチェックして、見つけた際には指導するとのこと。

 


沢山のアルバイト店員が管理をする大型中古品店で、店員側が不健全図書を正確に把握できるはずもなく、これについては実際に販売されているケースも多いよう。私もブックオフでよく指定図書を見かけたので、いつも不思議に思っていました。

 

 

いかがだったでしょうか?

 

青少年健全育成条例(他県も含め)ができたのはインターネットの存在しなかった昭和の時代であり、条文そのものはともかくとして実際の運用は「対面販売」が対象になっているということですね。ネット上まで範囲を広げてしまうと事業者の数が膨大になる他、公平なチェックなどが難しいという理由もあるかもしれません。

 

事実上、インターネット販売は各々の事業者の自主規制によってゾーニングがされ、十社あれば十通りのスタンダードがあるということですが、Amazonなど最大手のスタンダードは他社への影響も大きいです。

不健全図書指定→Amazonから消えるということの意味の大きさは、実体以上のものがあるかと。

 

今後も、動向について注視頂ければ幸いです。