こんばんは。都議の栗下です。

 


「五当分の花嫁」「ガールズ&パンツァー」の違法Tシャツを販売目的で所持していたとして男性2名が逮捕されました。
中国からTシャツを輸入し、自身が運営するサイトで販売する目的で計50枚を所持していたそうです。

 


この摘発に対して講談社は「(こういった著作権侵害に対して)今後も、刑事告訴・民事提訴等の断固たる姿勢で臨んでまいります。」との声明を発表しました。

パチもん、バッタもん、様々な呼ばれ方をしますが、古くからあるこの海賊版の問題はコンテンツ文化を守っていく上で大変重要なテーマです。
著作権法は複雑化しており簡単に語り尽くさせるものではありませんが、今日はまず海賊版の問題がいかに大きいかについて書きます。


■デジタル時代の海賊版問題

改めて海賊版とは何ぞやということをはっきりさせておくと、
(Wikipedia より)

私が子どもの頃には、駄菓子屋やおもちゃ屋に行くと、アニメ・マンガのキャラクターを使ったいわゆるパチものが跋扈していたイメージがあります。忘れられないのが爆発的ブームとなったビックリマンチョコのシールだけをガチャガチャで販売し、よく見たら名前が「ロッテ」では無く「ロッチ」とか・・。

(読売新聞1988年2月20日より)

昔は、今ほど情報伝達の波及力もスピードもありませんでしたので、各地でこういった海賊版が見逃されて来たのかもしれませんね。
しかしインターネットの発達した現代においては、かつてとは違った深刻さが生じてきました。デジタルデータは容易にコピーが可能で、販売場所もサイバー空間が主になっています。

グッズやブランド品も大きな問題なのですが、今回は特にコンテンツ産業に対して甚大なダメージを与えている海賊版マンガサイトについて特に取り上げたいと思います。


■「海賊版マンガサイト」の深刻さ

マンガの違法ダウンロードサイトといえば、多くの方は18年4月に閉鎖された「漫画村」を思い出すのではないでしょうか。
漫画村は16年1月に開設され、5万~7万点にわたるコミックや漫画雑誌などを無断で掲載。17年9月~18年2月で延べ約6億2千万人が閲覧し、被害額は約3200億円に上ると試算されています。

電子コミックの市場は近年急拡大していますが、その成長にも大きな影響を与えるほどの規模の被害だったと言います。

(海賊版サイトの被害と法整備の必要性について 出版広報センター より)

ご承知の通り、最終的に「漫画村」運営者は逮捕され、サイトも閉鎖されましたが、それでもまだ500サイト以上の違法サイトが残っていると言われています。

例えば、海外でも高い知名度を誇っているNARUTOは、その違法サイトの内の一つを通じて違法ダウンロードされた分だけ数えても現実世界での2000万部にも上るとの記録が残っています。

(海賊版サイトの被害と法整備の必要性について 出版広報センター より)

本が売れないと言われて久しい今、出版社各社とクリエイターにとってどれほど深刻な問題が伝わるかと思います。

 ■これまでの対策と2020年法改正

この深刻な問題に対して出版界は様々な対策を進めてきました。具体的には違法サイトに対する警告や警察と連携しての摘発、違法サイトに誘導するリーチサイトの撲滅、正規品マークの導入や普及啓発などです。

(海賊版サイトの被害と法整備の必要性について 出版広報センター より)

しかし、ネットという無限とも言える空間の中で、イタチごっこのように新たな違法サイトや手口が蔓延ることとなります。現在の法のもとでは摘発にも時間がかかり、そのスピードに対応できていないのが実情です。

そういった経緯もあり、本年(2020年)6月に国会で著作権法の一部が改正され、その一部は10月1日から施行されています。この中身については明日の記事でまた触れたいと思います。


続く。