こんばんは。都議の栗下です。

 

 

鬼滅の刃の劇場版「無限列車編」が公開されましたね。

コロナ渦にもかかわらず、わずか3日で興行収入46億2311万円を突破。3日間の興行収入と動員はともに日本第1位の記録だそうです。

 

 

この劇場版がPG12指定(12歳未満の子どもは親または保護者の指導のもと視聴すること)であることが話題となっています。

 

ですので、今回は映画の表現規制(レーティング)について簡単に触れたいと思います。

 

 

■映画のレーティング基準とは

 

 

劇場で公開される映画のレーティングは、映画倫理機構(映倫)が、各々の作品を審査した上で決定しています。

 

現在は、4種類のレーティングがあります。

 

「G」

GはGeneralの意。全年齢向け。下三つの区分にあてはまらないもの全てがこのGになります。特に制限はありません。

 

「PG12」

PGとはParental Guidance(親または保護者の助言・指導)の略です。

性・暴力・残酷・麻薬などの描写や、未成年役の飲酒・たばこ・自動車運転、ホラー映画など、小学生が真似をする可能性のある(と心配されている)映画がこの区分の対象。アニメ映画に関しても同様の扱いを受けます。

観覧自体が禁じられているわけではないので、テレビで地上波放送される時もそのまま放送されることが多いようです。

 

「R15+」

RはRestricted(観覧制限)を意味しており、15歳未満は観覧することができなくなります。

R15+はPG12よりも刺激が強いものに加え、いじめ描写・暴力団もの、偽造犯罪をテーマにしたもの対象になります。例えば北野武監督のアウトレイジなど

地上波放送は殆どなく、仮にあっても問題のシーンは編集されることが多い。番組表にもR15+指定と明記しなくてはいけないようです。
 

「R18+」

R18+はいわゆる18禁成人映画。
「著しく性的感情を刺激する」描写や反社会的な行為・麻薬などを賛美するなども指定のポイントになります。主人公が覚醒剤を常用しているレオナルドディカプリオ主演のウルフオブウォールストリートなどがこれに当たります。
指定されるとCM宣伝がほぼ不可能となり、公開できる映画館も限られてきます。地上波での放送もほぼ不可能。これは不健全図書指定と少し似ていますね。
 
 

■そもそも映倫とは

 

ごくごく簡単に触れたいと思いますが、終戦後の1945年当時、映画の公開についてはGHQが検閲を行っていました。その後、テレビ等と同様に、自主的な審査機関が設置されるようになり、1949年に映画界は「映画倫理規定」を制定し、その管理のために「映画倫理規程管理委員会」を発足しました。こちらが旧映倫と呼ばれる機関です。

 

1956年に公開された石原慎太郎の「太陽の季節」は映倫にも大きな変化をもたらしました。この作品における性表現や社会に対する影響は議論を巻き起こし、当時の世論と文部省は「映倫の規制だけでは不十分だ」という方向に傾きました。12月には映画界だけではなく第三者もいれて運営される「映倫管理委員会」(新映倫)が発足します。

 

その後、2009年に「映画倫理委員会」、2017年に「一般財団法人 映画倫理機構」と組織改編を行い現在至ります。

年間約800本の公開映画の審査を行い、そこから得る審査料で運営がまかなわれており、公費は注入されていないようです。

一本あたり数十万円ほどの審査料がかかるとは知りませんでした。

 

 

<審査料基準・映倫HPより>

 

 

 

■レーティングは低い方が有利

 

商業主義的にいえば、視聴者を制限するレーティングは低ければ低いほど良い(映画で言うと「G」が望ましい)ということになります。

実際に、レーティングに引っかからないようにするためにマンガ原作よりも表現を抑えて劇場版を作るということはよくあることかと思います。

 

今回、鬼滅の刃劇場版が指定されたPG12は、視聴者を制限するという意味においては一般的に影響が大きいとは言えませんが、これだけ多くの注目を集める作品となれば話は別です。

特に、鬼滅大ヒットの要因は低年齢層、およびファミリー世代からの絶大な支持、というのは多くの分析記事が指摘しているところであり、PG12とはいえ、指定がかかることへの抵抗感もあったのではないかと推察します

 

しかし、それでも原作の表現を損なうことなく劇場版を作ったのは、視聴者が表現を受け止めてくれることへの信頼と挑戦。

「制作陣の矜持」と言えるのではないでしょうか。

 

ーーー

冒頭書いたように、ロケットスタートを切った鬼滅の刃劇場版ですが、興行収入の記録更新も期待されているようです。

 

 

 

 

作品の素晴らしさは興行収入で決まるわけではありませんが、私も応援したいと思います。