こんばんは。都議の栗下です。
今日の都内新規感染者数は緊急事態宣言以降最少の3名。そして、待ちかねていた東京都の自粛解除に向けたロードマップが正式に発表されました。

感染拡大への不安の声、経済ダメージへの不安の声、本当にかつてないほど多くの声が私宛にも届いています。
その、二律背反のテーマを可能な限り両立させるために、都民ファーストの会としても独自のロードマップを示し、重視すべきエッセンスについても提言を進めてきました。

本日昼の発表でしたが、すでにその概要については多くのメディアが報じています。そちらと以下の資料原本もご覧いただければと思いますが、私からはあえて、課題と思う点について書きたいと思います。





■ 新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/007/967/20200522001.pdf


まず、「自粛要請対象になっている事業者から見て、先行きが不透明」
な点については大きな課題があります。

自粛要請の解除=ステップが上がる条件は、「2週間を目安にモニタリングにした上での総合的な判断」です。
最低でも各ステップで2週間の期間がかかるとすれば、全ての条件を満たしたとしても全ての自粛解除は最速で7月下旬〜末ということになってしまいます。しかし、よくヒアリングしてみると2週間はあくまで目安であり、各指標のバランスを見て、それより早まる可能性も十分あるということについても明らかになりました。
しかし、都が定めた7つの指標を見て2週間より早まるか否か各事業者が予測することは極めて難しいと思われます。また、「総合的な判断」というのはその理由について明確な説明が難しく、仮に早まったとしても恣意的な判断をしたといわれてしまう恐れもあります。

故に2週間に囚われずに、モニタリング分析状況を出来る限りこまめに発信しつつ、判断の具体的なタイミングについても早期に示すべきだと考えています。
すでに大きなダメージを負っている事業者にとっては、1ヶ月間でも気の遠くなるような期間です。先行きが見えるということはロードマップ策定した理由ともいえるとても大切な点です。


また、「クラスターリスクが高い(とされる)業種にとって、絶望的」
という点も課題です。
クラスターが発生した事例のあるカラオケ、ライブハウス、スポーツジム、大型イベント等については、上記「2週間ルール」を順守した場合、自粛要請が全解除になるまで最速でも2ヶ月を要する可能性があります。これは、既に大きなダメージを負っているこれらの事業者にとってあまりにも過酷ではないかと正直感じています。

ロードマップ発表後にヒアリングをした結果、これらの業種の自粛要請解除が極めて厳しい設定になっているのは「国の対処方針」によるものということが明らかになりました。
今後、事業者による感染拡大防止のための努力を後押しするとともに、それを汲み取った上で、解除を早められるように国へと働きかけていくべきと考えています。

以上、現在、感じている2点について書きましたが、最初に述べたとおりそもそも「安全」と「経済」という相反するものを両立するという極めて難しい判断が求められています。実際に置かれている立場やその方の考え方によって、「安全が第一だ!命はお金で買えない」また「経済が悪くなることによって出る自殺者の方が深刻だ!」という声を実際に半々くらいずつ頂いています。

故に、知事をはじめとするリーダーには今、覚悟と信念が求められています。
私も議会のいちメンバーではありますが、安全を確保した上で経済ダメージを出来る限り最小化するために少しでも貢献できるよう提言を続けたいと思います。