こんばんは。都議の栗下です。
本日新しく見つかった都内の新型コロナ感染者数は144名。過去最高を記録することになりました。

一昨日7日、ついに緊急事態宣言が発令されました。それ以前から準備を進めてきた東京都は都民に対する外出自粛要請に加え、商業施設などに対する自粛要請をセットで直ぐに行えるよう、準備を進めてきましたが、後者については「自粛要請の対象施設のあり方」を巡って地方と国とのせめぎ合いが生じています。

東京都が準備してきた対象施設を含む素案に対して国が待ったをかけ、10日発表、11日から実施と時期がずれ込むこととなりました。具体的には、対象施設に入っていた理容・美容室・ホームセンターなどについて、厚生労働大臣からこれらは必要な施設で自粛の対象にはならないという見解が示され、政府対処方針も大幅に変更。都道府県は国との協議と専門家意見聴取を経た上で決定しなければならないというタガがはめられたのです。

■3月28日時点の方針

4月7日(宣言当日)タガがはめられています・・。

国が対象施設に新たな注文をつけてきたのも理解に苦しむ話です。
東京都がなぜこれらの施設を要請対象に入れてきたのか? それは国が定めた特措法45条2項で政令に定義されている「多数のものが利用する施設」に、理髪店や百貨店・スーパー・その他物品販売業を営む店舗(ホームセンターがこれにあたる)が明記されているからです。
国で決められた法律に基づいてつくった対象がけしからんと言われるのであれば、自己否定としか言いようがありません。
また、緊急事態宣言を行った後は対象地域の首長に権限が付与されると定められており、都の意向に対して上から押さえつけようというのは法の趣旨を歪めるものです。

そして何よりも、この一刻を争う緊急時に新たに調整の時間が必要になってしまったことが大きな問題です。各種報道で、大阪府など他の自治体からの問い合わせに対しても、国の対応は遅れてきたということも明らかになってきました。週末まで、政府が緊急事態宣言について否定的なスタンスを取ってきたために生じたものと思われます。一刻も早く、本来の法の趣旨通り、各自治体の首長の意向を最優先して詳細を決定しなければなりません。

また、政府は休業中の補償に対して否定的なスタンスを取っていますが、自粛要請を実行力のあるものにするためには補償もセットでなければなりません。また、長期化するコロナの影響によって多くの事業者は既に大きなダメージを受けています。生きるためにそれが必要だという方は大勢います。

現金給付など他の支援策についてもそうですが、政府は国民の要望に対して真正面から応えられていないと感じています。そしてその裏には厳しい国の財政事情があるわけで、日本の内部がいかに脆弱になっているか、この危機的状況の中で隠しきれなくなってきています。

今を繕うことに拘泥する政府を動かすためには強力な世論が必要です。一刻も早くコロナの問題を収束させ、日本が抱える諸課題の本質的な解決に向けて踏み出せるよう力を貸していただければ誠に幸いです。