こんばんは。都議の栗下です。
本日新たに見つかったコロナ感染者数は78名。これまでの最高であった一昨日の68名を上回るもので、依然予断を許さない状況です。

未だ混乱の収束が見通せない中ではありますが、オリンピック・パラリンピックの新しい日程が2021年7月23日に決定され、カウントダウンも再開されました。中止でこれまでの投資が丸々無駄になるのではなく、延期日程が早々に決まった事は喜ぶべき事ですが、同時に延期によって生まれる経済的損失をどのようにカバーしていくかということは大きな問題です。今日はその中でも、私がこれまでも取り組んできた東京ビッグサイトの利用問題についてお伝えしたいと思います。


東京が誇る国内最大の展示場であるビッグサイトはご存じの通り、多くのイベントや展示会に活用されてきました。もともと稼働率は非常に高く、ビッグサイト利用する枠を取るのは、一年先から調整をしなくてはならないのは当たり前。毎年行われる既存のイベントで殆ど埋め尽くされてしまうので、新規のイベントが新しい枠を確保するのはさらに困難という状況でした。

そこにきて、東京オリンピック・パラリンピックの際にメディアプレスセンターとして活用されることが決まったために、施設準備も含め約1年半にわたって、大部分を占める東展示棟が閉鎖されることが決まりました。しかしながら、それでは産業に対するダメージが大き過ぎるということで、オリンピックに向けて新たにに南展示棟と東京テレポート駅前に青海仮設展示棟を増設し、対応する予定でいました。各展示棟の面積などについては、下図を参照いただきたいと思います。

2019年に予定どおり、南展示棟と仮設展示棟が竣工され利用が始まったものの、利用できる会場面積はとしては減少。またこれらの会場もコミケが終了するはずだった5月中旬から五輪が終わった後の10月まで予定できなくなることから、ビッグサイトでのイベント開催に関わる事業者の間では不安の声がありました。そのため、都議会の中で質疑などを通じてイベント事業者への配慮を求めてきました。結果、2020年は調整などできる限り努力をすることで閉鎖が行われる前の8割程度までのイベント用面積を確保できることになっていました。

しかし、この度オリンピックが延期されたことで、その前提となっていた利用スケジュールが根底から覆ることとなりました。下図を参照いただきたいと思いますが、利用可能であると考えられていた期間に五輪開催および準備の期間がずれ込んでくるということです。ちなみにこの従来利用可能とされていた期間には現時点で既に多くのイベントの予約が入っています。


【問題1:東展示棟は塩漬けになるかもしれない】

中でも最大の面積を占める東展示棟は、1年間かけて五輪メディアセンターとして既に整備された状態であり、五輪前に解放する事は容易なことではありません。つまり、東展示棟は丸ごと2021年秋まで塩漬けになる可能性があるということです。


【問題2:青海仮設展示棟の利用期間延長は必須】

五輪開催にむけて整備された青海仮設展示棟は、テレポート駅からのアクセスの良さ、低廉なコストで、イベント関係者から高い評価を得ていました。ただし、あくまでも法律上の仮設建築物の位置づけで作られたために、五輪開催が終わる2020年12月末まで利用した後に解体することが決定されていました。
しかし、この度の延期によって利用リソースが逼迫する状況を鑑みれば法律的、技術的な問題をテコ入れしつつ、2020年以降も利用を存続できるようにしていく必要があります。


【問題3:西・南展示棟は一刻も早い復旧と綿密な調整を】

東展示棟の解放が困難な一方で、西展示棟、南展示棟は開催スケジュールを丸ごと一年後にずらすことによって、利用可能な期間を作り出すことが期待されます。つまり理論上、2021年の5月迄は利用可能になるのではないかということです。しかし、新型コロナウイルスの問題がまず収束しないことには、新たな利用再開日を見出すことができないという問題があります。また、東展示棟が塩漬けで使えなくなるとすればこの新たに生まれる期間の調整だけでは足りなくなってしまう事は明らかです。いずれにせよ、既に五輪開催後のスケジュールを押さえているイベントとは綿密な調整を行い、負担を最小限に抑える必要があります。

以上、現在生まれている大きな問題点3点について挙げましたが、2月下旬から続くイベント自粛で、イベント開催事業者は既に極めて大きなダメージを受けている状況です。ここに五輪延期に伴う利用面積縮小が重なれば、イベント関連産業の傷は更に深いものになってしまう事は言うまでもありません。そして、イベントや展示会が縮小するという事は、あらゆるビジネスにネガティブな影響を与えることに繋がります。

この危機的状況を打破するために、上記3つの問題の解決に加え、新たなスペースを確保することも検討すべきと私は思っています。もともと、海外と比較して、東京のイベント・展示会場スペースは都市の規模に対して慢性的に足りておらず、最初にお伝えした通り、新規イベントが殆ど育たないという問題を抱えていました。混乱の最中、新たに支出を増やす事は容易ではありませんが、一刻も早い事態の収束、傷ついた中書企業への後押しに加え、新たなスペースの確保についても求めていきたいと思います。